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ネタバレあり感想:『終末トレインどこへいく?』3話は表情がコロコロ変わる晶が不憫かわいすぎた回。ロードムービーかと思ったらゾンビ映画!? な驚きも

文:電撃オンライン

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 2024年4月15日(月)に放送されたTVアニメ『終末トレインどこへいく?』3話“ショートでハッピーイージーに”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『終末トレインどこへいく?』3話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。


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キノコの街と化した東吾野に一人不信感を抱く晶【終末トレインどこへいく? 第3話】


 突然の津波に襲われながらも、なんとか東吾野に到着した一行。住民は頭にキノコを生やしていること以外はただの親切な人たち……かと思いきや、静養と言おうとして培養と言ったり、やたらゴーヤを敵視していたりと、ところどころの言動が一々怪しい。

 とくにミストサウナについては明らかに強制的に入らせようとしていて、明らかに罠のように思えます。晶以外の3人はよくも悪くもお人好しなので、素直に好意を受け取っていましたが、疑いを持っていた晶だけはいち早く異常に感づきます。夜中に頭にキノコ生やした人影に監視されているのは普通に怖い。

 まだ疑念は確証には至っていなかった段階だと思いますが、マツタが食事をもってきた時、咄嗟にミストサウナには既に入ったと話を合わせたのはナイス判断でした。他にはポチしかいない状況だったので、一人だけ拒否したと知られたらどんなことをされていたか分かりませんでしたね。

 ただ、その食事でキノコ料理が振る舞われてましたが、キノコを食べるのは東吾野の人達的にはセーフなのかちょっと気になりました。


 しかし不信感を抱いているのは晶一人だけで、静留たちはすっかり旅行気分の様子。静留たちの様子を見た晶が「呑気すぎる……」と呟くシーンは、一見平和そうな空気と本気で絶望してそうな晶の表情のギャップが不憫かわいくて良かったです。

 その後、夜中にトイレに行きたくなって目が覚めたものの、結局怖くなってポチさんについてきてもらうのもかわいい。そこで静留たちを仲間にしようという東吾野の人々の悪巧みを盗み聞きして逃げ出す際、晶を捕えようとするキノコの動きがほぼ板野サーカス(※アニメ『超時空要塞マクロス』で糸を引くように飛んでいくミサイルの演出)になっていたのは爆笑しました。

クールな晶が秘めた熱い想いに心打たれた。ラストシーンはホラーのお約束?【終末トレインどこへいく? 第3話】


 翌朝、駅に戻った一行が見たのはゴーヤで覆い尽された車両でした(最初電車だと認識できなかったレベル)。たった1日でこの状態になるとは、一ヶ月くらい放置していたらもう周囲一帯がすべてゴーヤで埋め尽くされるのではないかと思えるほどの繁殖力。今のところは無害ですが、最終回頃に意思をもったゴーヤが人類を支配しようと襲いかかってこないかちょっと心配になります。

 マツタたちはゴーヤを異常なほどに嫌悪していましたが、これはキノコが低温多湿を好むのに対して、高温低湿を好むゴーヤは正反対の環境を好む植物なので、ある種の天敵として認識しているんだろうなと。けど、それはそれでギャルっぽい女子高生が電車に生えていたゴーヤをダイナミックに生齧りする光景を見せられると、自分も結構ビビるかもしれません。


 頭のキノコに栄養を吸い取られて倒れる街の住人、次々と様子がおかしくなっていく仲間たちという流れはちょっとしたホラー展開。一方で、キノコの影響で無気力になり、池袋に行くのを諦めかけている静留に、晶が「昨日(吾野から)出てきたばっかじゃん!」というもっとも過ぎるツッコミを入れていたのはつい笑ってしましました。

 そして前回の津波で線路が途絶えていたにも関わらず、やはり吾野からのモールス信号は届いているようです(ここに7G世界を解き明かすヒントがありそうな気も)。

 この極限状況でも、超高速で正確にモールス信号を送れる晶は相変わらず凄いなと感心しますが、ほぼキノコについての雑談をしただけで、何一つ有益な情報が得られなかったのは酷い。善治郎、2話でもそうでしたが話が本筋に入るまで時間が掛かるタイプのようなので、今後も同じようなパターンが続きそうな予感がします。

 その後のキノコに支配された住民たちが一斉に電車を襲ってくる絵面は、もうホラーというかゾンビ映画そのもの。

 キノコに寄生されてしまった際の解決策が“力技でキノコを引き抜く”だったのは笑いましたけど、キノコの根が脳とかに結びついてなくて本当に良かったなと。下手すると晶にとって一生のトラウマになっていたかもしれません。

 最終的には、正気を取り戻した静留の活躍で形勢は逆転しましたが、東吾野の住人たちは自分の意思でキノコになることを選んでいたようで、結局マツタたちを正気に戻すことはできないままでした。

 この、あくまでも途中に立ち寄る街は、主人公たちにとって通り過ぎる場所でしかなく、問題は解消されないまま旅に戻るというドライさ、まさにロードムービーという感じがします。


 その一方で、とにかく今回は晶の好感度が一気に跳ね上がった回でした。

 今まで4人の中で一番旅に否定的な発言をしていた晶が、「池袋に行く」という意思を誰よりも強く見せたり、葉香を探しに行く理由を「友達だから」と断言していたり、普段は冷めている雰囲気を出しつつも、胸の奥には熱い想いを秘めていたんだなと。


 今回の晶は表情がコロコロ変わるのも面白くて、とくにBパートの冒頭でゴーヤ狩りをさせられそうになった時、戸惑いや絶望、怒りが行き来しつつ、最後は泣きそうになりがらも覚悟を決める表情の変化は、アニメだからこそ描ける感情の移り変わりが分かる演出になっていて印象的でした。3話を見て晶が好きにならない人はいないんじゃないかと思えるくらい、晶の魅力がこれでもかと詰め込まれていたエピソードだったと思います。

 ただラストシーンのあれは、やはり晶にもキノコが生えてしまったということなんでしょうか…(トイレに行った際にキノコの菌が付着していたとか)。 解決したように見えて「実は…」というオチも、実にホラー映画チックな構成になっているなと思いました。

 水島監督によると、第4話は本作の方向性が分かるエピソードになっているとのこと。1話以降、どんどん面白さを増している作品でもあるので、4話にも期待大です。





米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。


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