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超意外!? 呂布の知られざる特技が明らかに【三国志 英傑群像出張版#28-2】

文:電撃オンライン

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。

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三国志 英傑群像出張版を読む

 英傑群像出張版では、わたしが中国各地で集めた三国志武将の民間伝承の古書から、日本で知られていないものを厳選して文章をまとめて紹介しています。

 前回、関羽・張遼の二人の繋がりの深さを紹介分析しました。今回は彼らとは関わりも深い最強武将【呂布】の民間伝承をご紹介します!

超意外!? 知られざる呂布の特技が明らかに


 “人中の呂布、馬中の赤兎”(呂布は最強の男であり、最強の馬は赤兎馬である)といわれるとおり、呂布は方天画戟を操り赤兎馬を乗りこなす英雄だ。さらに彼は【筝(こと)※の名手】でもあった。
※筝は琴に似た楽器

 後漢末期、呂布を殺害して長安を脱出し袁紹(えんしょう)の元へ身を寄せていた。そこで10万の兵を率いる黒山賊の張燕(ちょうえん)を倒すのを手伝った。呂布が戦いで大勝利したことで、彼は少し傲慢になった。

 袁紹の武将の中には呂布に嫉妬する者もおり、誹謗中傷の噂が絶えなかった。袁紹も呂布が賢く勇敢であることを感じ、将来彼が自分の手強いライバルになることを恐れていた。

 呂布はまた聡明な男でそれを認識し“兵法三十六計”の【走為上】(走るを上となす=逃げるが勝ち)と決断する。

 妾に会うために洛陽にいくことを袁紹に相談した。まさに山に虎を放つに等しい行為だが、袁紹もそれを認めた。また、途中で彼を護衛するために50人の強力な兵士をつけた。

 兵士たちは呂布を護衛し、夜明けとともに旅をした。ある日の夕暮れ、洛陽からほど近い丘の上に陣営を築いた。

 実は彼らは袁紹から密命を受け、呂布を殺す準備をしていたのである。兵士はすべての準備を行い静かにの呂布の動きを監視した。

 天幕で呂布が十二弦筝を穏やかに落ち着いて演奏している。快適で筝の音色は耳に心地よい、時に川の激流のように、時に山がそびえ立つように、滝が流れるように。鳥が囀るような瞬間もあれば、虎が吠える瞬間もあり、鷲が空を飛ぶ雄大な瞬間もある。

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 高く感動的な音は夜空に波紋を広げ兵士たちは聞き入ってしまう。筝の音が寒い夜にゆっくりと消えていくまで、彼らは大きな夢の中で目を覚ました。急いで天幕に駆け込んだ。統率者が手を振ると兵士たちは呂布に剣を振り落とした。

 死んだ呂布を確認しようとすると、血の海に倒れたのは呂布の上着を着た歌妓だと気づいた。本物の呂布は美しい旋律の中で、彼らの目の前から逃げ去っていった。




 いかがだったでしょうか?

 あの粗暴にも思える呂布が筝の達人だったという話は、新たな彼の一面が知れて私は嬉しかったです。

 三国志演義では琴を弾くのは水鏡先生と諸葛孔明ぐらい。正史ですぐ思い浮かぶのは周瑜が音楽に精通していたというのと、劉備が音楽好きということでしょうか。

 呂布の新たな特技の発見できたり、機転の利かせたり、物語としては楽しかったですが、呂布に会いに行って兵士に殺された妾か歌妓(芸妓)さんは、なんだか可愛そうですね。呂布を逃がすために自ら身代わりになったのか、呂布に騙されてその場にいたのか……。


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 いずれにせよ、武勇に優れたうえ楽器もかっこよく奏でる呂布は、女性にモテモテだった事は想像に難くないところですね。


 来月も民間伝承などをお届けしますので、お楽しみに!

コラム未公開! 関羽の民間伝承パネル展示中


 春の三国志会で初公開した、本コラムで未公開の関羽の民間伝承が掲載されているパネルですが、こちらは引き続き展示を継続しております。

 7月末位までは展示しておくつもりですので、KOBE鉄人三国志ギャラリーのお近くに来られた際は、ぜひお立ち寄りくださいね!

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岡本伸也英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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