| タイトル |
『零〜紅い蝶〜』 |
レビュアー |
おぎのっち |
|
双子の姉妹を巻き込む恐るべき儀式…
和製ホラーの最新作が満を持して登場!(3,293文字)
●今年の秋は、やたらと涼しげです
11月のはじめ頃、CMが放送中止になってしまうほどに怖い某AVGの記事を担当している最中に、この『零』までプレイしろといわれた時は、編集部内で新手のイジメでも始まったのかと思いました。怖いの、苦手なんですよ、本当は。前作は知人がプレイしているのを横で見ていただけですが、それでもどれだけ怖いのかは十分に理解しているつもりです。でも結局引き受けて、おかげさまで四六時中幽霊やら何やらにご縁がある生活を送っています。というわけで、そろそろ何かが取り憑いてもおかしくないほどのホラー大好きライター(嘘です。ごめんなさい)が、この『零』の魅力を書かせていただきますので、少々お付き合いください。
●2人の姉妹が訪れた村とは…
物語の舞台となるのは、「地図から消えた村」といわれる皆神(みなかみ)村。突如としてすべての村人が消え、その存在すら忘れられたところです。そして、そこに迷い込んでしまうのが、繭と澪という双子の姉妹。彼女たちは思い出深い故郷を訪れていたのですが、霊感の強い繭が紅い蝶に導かれ、澪もまた、繭を追いかけてその村へとやって来てしまいます。村の中をさまよう2人に、かつてこの村で死んでいった人々の怨霊たちが襲いかかる…! 2人は何とかして村から脱出しようとするのですが、村をさまよううち、繭の様子に異変が現れて……という感じで物語は進んでいきます。
プレイヤーは妹の澪を操作しながら、この物語を進めていくことになるのです。ただ怖いだけでなく、村でかつて行われていた祭儀や、2人がなぜ巻き込まれたのか、など物語に深みを与える謎が多数盛り込まれ、プレイするたびに物語へ引き込まれていきます。基本的には前作をプレイしていなくても問題ありませんし、難易度もかなり抑えられていますので、よほどアクションが苦手という人でなければ、最後まで楽しめるでしょう。あ、あと怖いのがダメでなければ。霊の類は最初からたっぷりと拝めますので、その点は十分ご注意したほうがよろしいかと。
でもまあ、それが目当てのゲームなんですし、そういう意味では本当に満足のいくゲームだと思います。
●射影機(カメラ)を使った戦闘も幅が広がりました
『零』といえば、カメラを使った戦闘。今回も心霊カメラ小僧よろしく、あらゆる霊をバシャバシャと撮影していきます。フィルムは撮影するたびに消費していきますが、装填時間や霊力の強さに差があるフィルムが数種類用意されているだけでなく、一番霊力の低いフィルムは無制限に使えるようになっているので、基本的にはどんどんと撮影していってOK。カメラの各種性能は、戦闘で得られた念珠とポイントを使って強化することが可能で、強くなればより効果的に戦っていくことができます。どこをどう強化するかによって、戦い方というのも自ずと変わってくるでしょうから、戦闘の幅はかなり広がったといっていいと思います。
また、怨霊の動きを遅くさせたり、マヒさせるといった、強化レンズなどもあり、これらをどう利用するかも、戦闘を上手に進めるコツ。霊が近づくほどシャッターチャンスが増していくというのも戦闘のキモになっていて、遠くからでは安全だけどたいしたダメージを与えられない、近くなら外すとダメージを受けるのが確実だけど、決まれば大ダメージを与える、といったふうになっているのです。といっても、遠くでは攻撃を外しやすいうえに、次に撮影可能になるまでに霊の接近を許してしまうので、結局は近くまで引きつけて攻撃するのが一番な訳ですが、初めて出会う霊と戦う時は、その動きがわからないから近づかれるとドキドキもの。カメラを捨てて逃げられるものなら、ぜひそうしたいと思うくらいの緊張感が味わえます。
また、今回は2体、3体と複数の霊を同時に戦う場面が非常に多く、苦戦は必至。とはいえ、2体同時に攻撃すればボーナスが得られるなど、上手に戦うことでより多くのポイントを稼ぐこともできるようになっています。先にも言ったように、決して難易度は高くないので、慣れてしまえば適度な緊張感を味わいつつ、霊をどんどんカメラに収めていく爽快感も楽しめるようになるでしょう。
●お姉ちゃんがいい味を出しています
プレイヤーが操作するのは、双子の妹である澪ですが、姉の繭は、基本的にそのあとをくっついて行動します。ただ、物語が進むと彼女が勝手に行動してしまったり、2人が引き離されてしまう場面もあり、2人でいる時は姉を守らなくてはならない緊張感を、1人でいる時は側に誰もいない恐ろしさを味わうことができるのです。
個人的に楽しめるのは繭と一緒に行動している時。彼女は霊感こそ強いものの、霊に対して無抵抗の状態で、戦闘ではおびえるばかり(彼女が向く方向に霊が出現するので、どこから来るかわからない霊と戦う時は参考になります)。霊に捕まり、攻撃を受け続けると繭がやられてしまうので、戦闘では彼女を守る必要があるわけです。が、ここもまた戦闘のキモというべきところで、あえて彼女を攻撃させるのも1つの手になります。というのも、彼女が攻撃を受けている間こそがシャッターチャンスになる場合があり、少なくとも繭が攻撃を受けている間は、プレイヤーキャラである澪が攻撃を受けないのですから、ひどい言い方をするとオトリとして成り立つのです。というか、怨霊は霊感の強い繭を狙ってきますので、そこを上手に、あくまでも上手に利用して戦っていくのがいいでしょう。
それと、村を歩いていると、戦闘にはならない浮遊霊が登場することがあります。浮遊霊は撮影するとある程度のポイントが入るので、見つけたらどんどん撮影していきたいところ。しかし、澪の後ろをわずかな時間で走り抜けたりする霊もいて、そううまくは撮影できません。そして、撮影する時の最大の障害といえるのが、繭。後ろをピッタリとくっついて行動してくるので、後方に出現した浮遊霊を撮影しようとしたら、ドアップの繭の顔がフレームに! なんて場面も珍しくありません。いや、これは自分の操作がヘタなせいもあるのですが……。
とりあえずいいたいのは、お姉ちゃん、カメラ目線はやめてください、ということ。いっそのこと、繭を撮ってもポイントが入るようにしてくれればうれしかったのですが。なんていってみたり……。
あと、これは仕方ないのですが、怖いセリフを突然つぶやくのもやめてください。正直、お姉ちゃんのセリフが一番怖いです。とまあ、物語上重要なキャラであることは間違いありませんが、そんな何気ないところでも、いぶし銀の活躍を見せてくれるお姉ちゃんには注目してほしいと思います。
●ホラーが嫌いでなければぜひプレイを!
ホラーは嫌だといいつつ、発売前から延々とプレイさせてもらっていますが、よほど幽霊に怖い思いがあるとか、すでに何かが取り憑いている、なんて人でもなければ、十分にオススメできるタイトルです。注意してほしいのは、回復アイテムの数が限られているため、最初からどんどん使っていると、あとで困ってしまうよ、ということでしょうか。自分は仕事柄あえて攻撃を喰らってみるなど、結構無茶なことをしていたので、終わり際になってアイテムが尽きてしまい、結局最初からプレイし直しています。もちろん、繭が攻撃されても放っておく放置プレイは、いの一番に試しましたが……。それと、浮遊霊の撮影が、非常に難しい。もちろん、これも慣れてくれば撮れるようになるものですが、すべてを収めるのはなかなか大変かと。まあ、これも仕事上感じたことなので、やり込みたい人にとってはこれくらいで丁度いいのかもしれません。少なくとも、それくらい多くの浮遊霊が撮影できることは感心しました。ただ、アルバムに使うデータ容量が大きいですね。これは次回作で何とかしてほしいと思います。できれば、すべての浮遊霊を1つのアルバムに収められるようにしていただければ幸いかと。そんなこんなで、こんなヘタレでも、こんなに要望したくなる良質のホラーですので、ぜひプレイしていただけたらと思います。
|
|
(C)TECMO,LTD.2003
| レビュアー紹介 |
|
おぎのっち
電撃PSにて赤字覚悟で大売り出し中の若手ライター(といっても実はそろそろ若手でもなくなってきた)。
幼少から湘南に住んでいる”湘南ボーイライター”とは彼のことだ。湘南ボーイといえばサーフィンが趣味の男であると認識されがちだが、彼はボードには乗らない。いや、乗れない。しかし、そのかわりといってはなんだが毎月第3金曜日、浜辺のゴミ拾いを欠かさないことで”湘南ボーイ”をある意味体現していると自負している。小学生時代は半袖半ズボンで雨にも負けず風にも負けず6年間登校し、卒業式には校長先生から「いつも元気だったで賞」を授与された輝かしい経歴を持つ(校長先生、お元気ですか?)。あと、小学校3年生のときの学内球技大会でサッカーに出場し、ハットトリックを決めたことが自慢だ。
●好きなゲーム
『シスター・プリンセス』
『剣豪』 |
|
|
|
|