SOFT レビュー
電撃オンライン編集部がオススメするソフトを個性的なレビュアーがアツく語る!
タイトル 『Shinobi』 レビュアー ジュピター藤平

『忍』シリーズとはあまり関係ないけど、よくできた3D・ACT!
(2,664文字)

●主人公はニンジャ。忍者ではありません
「忍者」。日本人ならば誰もがその姿形を即座に脳裏に描くことができるでしょう。鎖帷子を着込んで黒い覆面に黒装束、背中には1本の忍者刀。その職業柄、目立たない、というのが忍者の大前提なんじゃないかと思うわけなんですが、海外進出を果たした忍者……いや、あえて「ニンジャ」と言いますか、このニンジャは、少々勝手が異なるようです。忍者の持つ並外れた敏捷性と潜伏能力、そして場合によって発揮される暗殺者としての能力。こういった能力的な部分とミステリアスな印象がクローズアップされて、スーパーヒーロー並みの扱いをされている場合すらあります。
 ……と言えばおそらく察していただけると思いますが、『Shinobi』は「忍者」が主人公のゲームではありません。「ニンジャ」が主人公のゲームです。壁に張り付いたり(スパイダーマンやストライダー飛竜じゃあるまいし、忍者は壁を走るもので張り付きゃしないとは思うんですが)、あまりの動きの素早さに残像が残るといった、忍者の持つ「特殊能力」が前面に押し出された、ハリウッドのアクション映画みたいなノリです。この辺で抵抗を感じる人は、プレイ前に心の準備をしておきましょう。……なぜ心の準備をしてまでプレイしなくちゃいけないのか、って?

 おもしろカッコイイからに決まってるじゃないですか!!


●ちなみに、『忍』や『シャドーダンサー』ともあまり関係ありません
 本作『Shinobi』は、往年のセガの名作ACT『忍』シリーズの後継ということになってますが、内容的には共通点はないと言っていいです(そりゃ、刀や蹴り、手裏剣(クナイ)で戦うってのは共通ですが、そんなの忍者なら誰でも使うと思われますし)。かつてのように、雑魚相手に殺るか殺られるかといった緊迫感のある戦いは、残念ながら望むべくもありません。というか、本作の主人公は一族の頭領だけあって、1、2発なぐられただけで死んじゃうようなヘタレじゃないんです。先ほども述べました。要するにハリウッドのアクション映画なんです。ダイナミックな動き、スピーディーに敵を切り倒していく爽快感……。つまり、楽しみ方のベクトルがある意味完全に逆方向に向いているのです。

●いかにして敵を連続して倒し、殺陣を決めるかがポイントなんです
 普通にプレイして、ただエンディングを見るだけならそれほど難しいゲームじゃありません。EASYモードなら敵も弱く、忍術を使うタイミングさえしっかり考えておけば大体の局面は切り抜けることが可能です。もちろん、EASYだからって途中のステージでハイおしまい、なんてケチくさいこともなく、ちゃんとエンディングまで見ることができますし。ただ、それではこのゲームの楽しさの本質には迫れません。まぁ、チャンチャンバラバラやってるだけで楽しいっていえば楽しいんですが。
 本作では、一定時間以内に敵を連続して倒すと殺陣の演出が入ります。パターン自体はそれほど種類は多くありませんが、周囲の敵を一通り切り倒した後、主人公が刀を鞘に納めた瞬間に、周りの敵が一度に血しぶきを上げて倒れる、といった演出が入るわけですな。これを殺陣といいます。殺陣をガンガン決めていくことで高得点を得ることができる(得点に関しては後述)し、なにより気持ちがいい! しかも、うまくなればなるほど、効率的に、かつ美しく殺陣を演出できるようになっていきます。「決まった。あぁ、今の一連の流れは美しかった……」と、それほど大きくはないものの、でも決して小さくはない達成感を、短いスパンで連続して楽しむことができるようになっているのです。ここまでくると、もう病み付きですな。
 もちろん殺陣は、ボス戦でも有効です。主人公の持つ武器「悪食」は、敵を倒すごとに切れ味が増していくというシロモノで(殺陣の有効時間が切れると初期状態に戻る)、ボス戦ではこれを利用することで一撃で倒すことも可能となっています。一撃っすよ一撃。普通にやったら何百発も殴らなきゃいけないボスを、一撃で倒せちゃうんですのよ奥さん! で、殺陣の演出はボス戦でも有効だから、爽快感はいや増しますな。周囲の雑魚を切り、ボスの一瞬のスキをついて駆け抜けざまに一撃! 時が止まる中、静かに刀を背中の鞘に納める主人公。その瞬間、血しぶきを上げて倒れる雑魚、そして真っ二つになるボス!!
 ……どうですか。いい感じでしょ? 最初は狙わず(狙えず?)たまたま偶然に。次はそれを狙って練習し、ビシッと決める。その、偶然の出来事&練習&練習の成果というのが、実にいいバランスでうまくミックスされていて、爽快感、そしてプレイする意欲をかきたててくれるわけです。この配分は見事っすよ。


●個人的にはちょいとここが気になるんですけどね……
 殺陣の演出のパターンが少なすぎ&カメラアングルが謎。殺陣演出は特に空中で殺陣を決めたとき。1種類しかないってのはどうですか? しかも中盤以降、殺陣はほとんど空中ですよ? カメラアングルも微妙。これも基本的に空中で殺陣を決めた時。真横から主人公の腹だけ見せられても……。
 他にも、ボスの半数はもともと主人公の率いる一族の者たちだったのだが、誰一人として格好が忍んでないところとか、裏ヒロイン(?)的位置づけの朱羽の首が細くて長いところとか、ストーリーの先が見え見えなところとか、水にはまると死んじゃう主人公とか(忍者なのに!)、ビルとかから落ちると死んじゃう主人公とか(OPデモではヘリから飛び降りてビルの壁駆け下りてるのに)。……まぁ、ACTだからこの辺はいいんですけど。


●ちなみに隠し要素もいろいろあったりします

 3D・ACTにはつきもの、ってな感じもしますが、隠し要素も色々あります。主人公を蒼蛟龍や●●●・●●●にして通常のステージをプレイすることも可能だし、ストーリーとはまったく関係なく、ただ純粋にそれまでに培ったテクニックを試される、独自のステージ構成のEXモードなども用意されています。これらはステージ中にあるメダルを一定数入手するごとにオープンになっていくので、1度クリアしたステージも様々な目的をもって再プレイすることができるわけ。つまり、結論。

『忍』シリーズとはあまり関係ないけど、よくできた3D・ACTです!

ってこと。特にスピード感、爽快感、アクションのダイナミックさは出色の出来と言っていいと思います。ひとまず、すべてのボスを一撃で倒せるまでは、個人的にも頑張ってみたいですな(←未だ達成できず)。


このレビューを読んだ感想をお聞かせください

とてもよかった おもしろくなかった 特に何も感じない


(C)OVERWORKS / SEGA,2002

レビュアー紹介
ジュピター藤平
 美少女ゲームと格闘ゲームをこよなく愛す理論派ゲーマー。なんか、人とは違ったところにゲーマー的カタルシスを感じる傾向アリ。なかなか編集部に寄り付かない人。ゲーム雑誌業界での歴史はわりと古いらしいが、あまり語りたがらない。


●好きなゲーム
『ファンタシースターシリーズ』
『悪魔城ドラキュラシリーズ』
『東京魔人学園剣風帖』

(C)Media Works 2000-
インフォメーションお問い合わせプライバシーポリシーRSS