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SOFT レビュー
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タイトル サカつく2002 J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! レビュアー HAL

それほどまでにやり込んでしまう『サカつく』の魅力とは?
(3,896文字)

 なんかメチャクチャ売れているらしく、売り切れでなかなか買えなかった人もいたとか。ああ、SS版やDC版も何百万本も売れていたら、生涯ACミランだったバレージのように、生涯DCで、クオリティも……ブツブツブツ。などと、遠い彼方を見る今日この頃。セガが生んだサッカーSLGの最高峰が、ついにPS2に登場しました。『サカつく』は、SS、DCがプラットフォームだったとはいえ、サッカーSLGの代名詞と言えるほどに成長したシリーズです。新作が出るたびに「マイナーチェンジ」だの、「あんまり変わってない」だの、「結局やることは一緒」だの言われてきましたが、このシリーズのファンの人は(私も含めて)、各作品を何百年もプレイしてきました。それほどまでにやり込んでしまう『サカつく』シリーズの魅力とはなんでしょう?

1:選手を集めていく過程が楽しい
 収録された選手数は、日本国内、海外選手を合わせて数千人います。実名の選手はJリーガーだけですが、日本国内、そして海外の選手の中には実在のスーパープレイヤーがモデルになっている選手がいて、彼らをチームに加入させ自分好みの(運と根気が必要だけど)ドリームチームを作り上げることができます。

2:選手を育てる過程が楽しい
 選手の成長はOF(オフェンス)バーと、DF(ディフェンス)バーの伸び具合と、練習後のコーチコメントで判断します。数値ではわからないところがミソで、コーチのコメントで「世界トップレベル」までいったとか「世界に通用」で止まったとか、能力に応じたコメントで一喜一憂してしまいます。さらにはOFバーが枠にくっついたとか、枠を突き抜けたとか、選手を究極まで育て上げることに破滅的な苦労を惜しまない「やり込み派」のプレイヤーの満足感も十分満たしてくれます。

3:試合を見るのが楽しい
 今見れば、SS版はちょっと古くさい感がありますが、当時としてはリアルでかつダイナミックな選手の動きに感動したものです。DC版になってからは、小野伸二選手のプレイをモーションキャプチャーで取り込み、動きのリアル感はさらにアップしました。そして忘れてはいけないのが、実況で「スーパー・エクセレント・ビューティフル・ゴール!!」と言われる「光りプレイ」。これは、ある程度能力の高い選手でなければ、発動しないスーパープレイで、欧州選手権でファンバステンが見せたスーパーボレーから、某人気マンガのツインシュートやバイシクルシュートなど、サッカーファンならニヤリとするような数々のプレーも魅力のひとつです。

 簡単に3つの要素を挙げてみましたが、『サカつく』は一言で言えば「サッカーポ○モン」です。選手を「集める」「育てる」「戦わせる」。この3つの要素は、どれか一つだけでも楽しいし、また3つとも究極レベルでやり込むこともプレイヤーの楽しみとなります。育成が苦手な人でも、FP(ファンタスティックプレイヤー→世界的にメチャクチャ凄い選手、全75人)、GP(グレートプレイヤー→世界的に凄い選手、全144人)としてランク付けされた選手をすべて獲得するという目標でプレイしても十分楽しいのです。これに関しては、サッカーを知っているユーザーはいろいろ想像できてもっと楽しめるかも。

 というわけで、PS2版です。はっきりいって、賛否両論巻き起こっています。私は、紹介記事や攻略本をまったく見ないで、発売と同時期にプレイを始めたので、おそらく多くのプレイヤーとゲームの進行速度はほぼ同じだと思います。まだ11年目なので、あまり先のことはわかりませんが、私なりに感じたことをツラツラと書いていきましょう。

1:序盤の難易度はシリーズで最も易しい
 今までの経験から序盤の乗り切り方のノウハウがわかっていることもありますが、PS2版はDC版(特に『特大号2』)に比べて簡単になったと感じられました(シリーズ中、一番簡単かも)。私の場合、ノーリセットで1年目J2優勝、そして2年目のファーストステージも優勝してしまった、という事実が物語っています。とくに2年目のJ1ファーストステージ優勝なんて、『特大号2』では、リセットなしにはまず考えられなかったことで、早い時期にJ1に昇格すると必ず「J1の洗礼」を受けたものです。
 ではなぜ、そんな奇跡が起きたのか?
 J1に昇格するとエディット選手が作れるようになります。今回はその能力に「当たりハズれ」があり、最初から能力値がほぼMAXに近い選手だったり、中途半端だったりします。私の場合は「当たり」でした。
 そしてエディット選手は、この2年目でダントツ得点王になり、しかも加入してすぐのファーストステージでいきなり「光りプレイ」を出してしまったのです。おそらく、その時点の能力はJリーグでNo.1のFWだったのでしょう。そして他のJリーグのクラブ能力は、DC版に比べて低めに設定されているため、エディット選手の爆発的なシュート力が「J1の洗礼」をものともしなかった、と考えられます。
 でも、PS2版で『サカつく』を初めてプレイする人にとっては難しいようです。最初は負けて腹が立つと思いますが、長い目でプレイしてください。少なくともDC版に比べて易しめになっているので、私としては評価できる部分でもありますが、物足りなさも感じたという複雑な気分です。

2:能力の高い選手がリストアップされやすい
 J1に昇格した途端、能力の高い選手がスカウトの能力に関係なくやたらとリストアップされるようになりました。実際にそのような設定になっているかどうかわかりませんが、私の場合はそれが目立ちました。これもおそらく、初心者の人への配慮でしょう。かつて『特大号』では、カンターとラゴス武威が、何度も何度も何度もうっとうしいほどリストアップされましたが、今回は選手を特定せずに、能力の高い選手を幅広く、そして簡単に獲得できるようにした、と推測されます。

3:契約交渉が1回きりの場合も……。ノーリセッターには地獄の仕様
 今までは年初の契約交渉には3回のチャンスがありましたが、今回、契約交渉が1度きりの場合があります。つまり提示した金額に不満ならば一発で退団してしまうのです。おそらく、選手の不満やプライドの高さが関係していると思われますが、ノーリセットで進めている人にとっては、悪夢のようです。なにしろ、能力の高い選手は能力に比例して(比例しないヤツもいるが)守銭奴のような連中ですから、要求する金額もハンパではありません。2億、3億の上乗せは当たり前な(とくにオマエだよ、岩城!!)こともありますから、契約交渉にはくれぐれもご用心。

4:試合のシーンがDC版よりしょぼい
 シリーズ経験者にとって、最も納得いかない部分がこれです。試合での選手の動きがDC版に比べて、遅い、ぎこちない、硬い……。選手のモーションがコマ落としになっているかのように、動きにスムーズさがありません。これは、試合をスキップすれば問題ないのですが、新しい「光りプレイ」も入っているので、やはり見ておきたいし……。

5:セーブ&ロードが早い
 これはもう圧倒的にPS2版に軍配が上がるでしょう。それにニュース画面への読み込みも早いです。試合前の旗がゆらめいている画面で、○ボタンを押したままにしていると、ショートカットできるのですが、ここもDC版より早くブラックアウトしますね。

 では、最後に……。『サカつく』というゲームは、育成SLGという形なので、パラメータによって試合の勝敗、点差などが決められます。しかし、このゲームにはある魔物が棲んでいます。それは「乱数」と呼ばれるランダム性です。この「乱数」というヤツは、いたるところで「神の手」を発動します。選手の配置を替える、試合中指示を出す、勝利プレミアムを出すなど、さまざまな要因で試合の展開はもちろん結果も変わります。このちょっとしたランダム性が、試合では番狂わせを引き起こすこともあります。これによって、明らかにチーム能力は劣っているはずなのに、なぜか勝ってしまうというプレイヤー側にとってはウレシイことも起こるのです。たぶん私の2年目はそれですね。そしてスカウトの有力選手を連れてくる”引きの強さ”も「神の手」の仕業でしょう。高額なのに、あまり連れてこないスカウトもいますからね。
 また、「10年目の壁」と言われる現象についても触れておきます。このPS2版でも、自分のクラブが強くなるに従って、他のクラブも強くなっていくドーピング現象が、10年目を境に起き始めると言われています。実は私のデータでもそろそろ予兆が現れてきたのですが、これは必ず10年目に起こるというわけではなく、プレイヤーによっていつ起こるかはまったくわかりません。もしこれが起きると、Jリーグは世界最強リーグになってしまうほど、とんでもない強さのクラブだらけになります。オーフェンやフォーゴなど、現在現役の選手はもちろん、エレやバウアー、グラーフなんて伝説的な選手もJリーグに集結してきます。そしてJリーガーたちも世界最高レベルの選手に変身します。ホントのJリーグもそんなレベルになってほしいものですが、そんな凶悪クラブが自分のクラブの前に立ちはだかってくるわけですから驚異です(回避は可能ですけどね)。このように神々しく言えば「神の手」、悪く言えば「不条理」な部分(ゲームとして痛い部分も)を受け入れられるかどうかが、『サカつく』にハマれるかどうかの最も重要なことかもしれません。
 大きな心を持ってプレイしていただきたいものです。



Original Game (C)SEGA CORPORATION,1999
(C)Smilebit/SEGA CORPORATION,2002


レビュアー紹介
HAL
 子どもの頃、ワールドカップでのブライトナーの活躍を見て感化され、サッカー選手を志すも、上の兄2人のサッカーセンスに劣っていることに気づき、野球に転向。心のどこかでサッカーへのオマージュがある。時代遅れの西ドイツ最強伝説を今に伝えるサッカー小僧。すべてのゲームに愛と毒を持ち、未だにMSXが最高位機種だと豪語する3DO好き。

●好きなソフト
『サカつく』シリーズ
『dancing blade かってに桃天使』