タイトル 『風のクロノア2 〜世界が望んだ忘れもの〜』
レビュアー 森澤しっぽ付き

プレイする人を選ばない、
世界中の人にプレイして欲しいACTの名作
(3,977文字)
●とにかく褒めまくってますよ、この人(オレ)は。
 '97年12月にPSで登場し、その後、地味〜にWS版(ストーリーは別物)も発売されていたACT『風のクロノア』の続編。つーか新作です。突然の嵐で、海に投げ出された主人公・クロノア。目が覚めたのは異世界・ルーナティアで、異変が起き始めているこの世界を救ってほしい…。と、巫女見習いのロロ&そのお供のポプカに頼まれて今回の冒険は始まります。ジャンプと風だま(敵を捕まえたりスイッチを入れたりする、いわゆるショット)という2種類のアクションを駆使してさまざまな謎を解いていき、世界を救うのが目的のACTです。とにかく、軽快な操作性と華やかなグラフィック、ちょっぴりホロリとくるストーリーは子供にも、大人にもプレイしてほしい作品です。

●『クロノア』といえば…ストーリーだっ!
「ストーリーだっ!」と思うのですがいかがでしょう? 今回は、たどり着いたルーナティアの世界に調和をもたらす鐘を巡る物語。いくらストーリー性があるからといっても、ACTではどうしても稀薄になりがちなストーリーを、『クロノア』では「パペットDISP.」と呼ばれるキャラ劇で魅せてくれます。それもステージの開始と、クリア時だけに挿入されるのではなく、新しい仕掛けが登場したときや新キャラに出会ったときなど「ここは説明が欲しい」と感じた時に入るタイミングの良さ。これがチュートリアルも兼ねているあたりは、ゲーム全体のバランスを取る意味でもよく考えられているなぁ…と感心します。肝心のストーリーそのものは、「大魔王がいるから倒してくれ」というような明解なストーリーではないのですが、ステージ進行とともにちょっとずつ「自分が何で冒険をしているのか」という理由に気づかされる展開に「不思議の国のアリス」や「ネバーエンディングストーリー」を思い出しました。そして最後にはもちろん「泣き」が入ります。「子供たちはちょっとだけ大人に…」。わかっていても、鼻の頭に力が入ってしまう。そんな心暖まる冒険を、ボクたちに与えてくれる『クロノア』の魅力はストーリー抜きには語れません。

●『クロノア』といえば…ビジュアルだっ!
「ビジュアルだっ!」と思うのですがいかがでしょう? ちなみにここでいうビジュアルとはグラフィックのことです。もはや、TV-CFや雑誌記事、店頭デモ…etc。もう既に、いろんなところで『クロノア2』を見かけることができますね。そんな時、つい思ってしまうのが「うわっ、キレイなグラフィック!」でしょ? 実際、バリバリのポリゴンでもなく、流行りのトゥーンシェーディングとも違うグラフィック(ナムコではこれを「クロノアフィルター」と呼んでいるそうですが)は、平面のイラストをムリヤリ3Dのモデルにおこした違和感がなく、可愛いキャラは可愛いまま、不思議な世界(背景など)は不思議な雰囲気のままゲームに登場してくるのはスゴイなぁ…と、ただただ感動します。なにがスゴイのか、技術的なことはよくわかってませんケド。
 また、見た目でいうなら、クロノアの移動に合わせて次々に変更される視点も楽しさの1つ。キャラの動きと、カメラアングルの移動が非常によく考えられているので、1回は視点の動きに注意してプレイしてほしいところ。とにかくクロノアの動きに合わせて、どんどん視点が変更されていくのに、不思議と3D酔いをおこしたり、違和感をおぼえたりしないんですよね。トランポリンの連続するところなどでは、クロノアの状況を把握するのに一瞬迷ったりするところはありますけどね。
「なにかスゴイ技術」で作られたグラフィックと、「視点の動き」さえ見た目として印象付けてしまうビジュアルなくして、『クロノア2」は成立しません。

●『クロノア』といえば…アクションだっ!
「アクションだっ!」と思うのですが…以下略。今回の『クロノア2』、実は前作とシステム的には変わっていません。いくつか新しい仕掛けなどはあるものの、操作方法などはまったく同じです。ところが、プレイした感じは前作と大きく違っていて、前作をプレイしている人にも十分手応えのある内容になっているのです。新要素を詰め込んで複雑な操作や謎解きを要求し難易度を調整しているゲームもたくさんある中、基本アクションの使い方でまだこれだけバラエティに富んだ仕掛けが用意できるんだなぁ、と感心しっぱなしでした。特に後半のステージは、パズルにも似た謎解きがこれでもかと登場し、アタマのカタイ自分はかなり悩みました。が、何度も失敗するうちに、ふとその解決方法やテクニックに気づくことができるのが『クロノア2』のスゴイところ。なにせ基本アクションですべてが解決できるのだから、答えになる発想にさえたどり着ければどんな仕掛けもクリアできるのです。この辺のゲームバランスはお見事! つい「もう30分…」とプレイしてしまうんですよね。
 ところで、今回追加された「アクションボタン」。使ってますか? ゲーム中にL1(orL2)ボタンを押すと、クロノアがリングを放り投げたり、ジャンプ中にクルっと回転したりするんですが…。これもつい押しちゃいます。ゲームクリアとはまったく関係ないし、だからどうだと言われても、それだけのことなんですが、気が付くと画面を走るクロノアをジャンプ&回転させたりしてます。ラスボスを倒すため、クリアに向かって一直線! っていうのもプレイスタイルの1つですが、RPGなどと違って本編以外に「遊び」を入れにくいACTだけに、これはちょっと楽しい。本筋のストーリーとは関係ないところで、つい余計なことをしてしまうゲームってありませんか? しかも、そういうゲームってたいていお気に入りだったりするでしょ? 『プリンセスクラウン』で猫を振り回したり、『ドラクエVII』で世界中の花を引っこ抜いてみたりした人は是非!

●『クロノア』といえば…キャラクターだっ!
「キャラクターだっ!」と思う…イヤこれは違うか。プレイしていて、ちょっと気になるのがこのキャラクター。クロノアを雑誌や、広告などで目にするとき決まってあの、愛くるしいキャラクターに目がいくし、他人に聞いても「あの犬みたいなヤツね」というくらい認知されてはいるんだけど、…いまいちメジャー感がないような…。見た目の可愛い印象や、しっかりした性格付けに反して、クロノアのキャラってあんまり立ってない気がするんですよね。思い当たる理由の1つは、ACTだからってこと。『クロノア』の場合、プレイしながらじわじわと染みてくる物語に「味」があるわけで、キャラの役割はストーリーがメインとなるRPGやAVGとは根本的に違う。ストーリーも大事だけど、それ以上にACT部分が主体で、パペットDISP.のメッセージを読むこと(キャラの性格を表現する会話や行動を見る)よりも、クロノアを操作してゲームをプレイしている時間のほうが長いわけです。ACTプレイ中は、自分の思う通りにクロノアは動くわけで、性格によってジャンプしなくなったり、すぐに疲れて座り込むなんてこともない。もちろん、仲間と会話しながら仕掛けを作動させることもACT部分ではありませんし。性格が見えている時間が少ないので、イマイチキャラがたってこないんだろうなぁ。さらに、キャラ自体に「毒」というか「ケレン味」が足りないのも原因の1つか? どのキャラも一様にボケでもツッコミでもない性格で、誰にも嫌われないキャラクターであるがゆえに、目立った性格が見えてこないキャラになってしまっているのかなぁ…。最後にもう1つ、今作で一番気になったのが、ゲーム全編を通して画面に表示されているクロノアが小さいこと。謎解きの仕掛けと、ヒントをスクロールさせずに1画面中に収めるためかもしれませんが、せっかくのクロノアくんが小さいことが多いのは残念。見た目以上に動きが可愛いくなっている今回だからこそ思うのですが、もったいない話です。

●『クロノア』といえば…ほかにもいろいろあります!
 いろいろと触れてきましたが『クロノア2』には、まだまだお楽しみが詰まっています。まず、「サポートモード」。これは、2P側のコントローラを使ってポプカを操作し、クロノアの冒険を文字どおりサポートすること。できることは、□ボタンを押してクロノアを大ジャンプ(敵を使わなくても2段ジャンプなみのジャンプができるとか、谷間に落ちそうな時に助けられる)させることができるだけなのですが、子供のプレイを親が助けたり、恋人と協力したりしてプレイするだけでなんか楽しい気がします。器用な人なら1人でコントローラを2つ使った「1人サポートモード」で楽しむこともできます。虚しい気持ちになっても知りませんが、攻略は簡単になるかも?

●『クロノア2』をプレイしていない人には、
人が一生で経験できる楽しみのうちの1つが残されています。
「まぁ、大げさな」と、自分も思います。でも、この作品に注がれたスタッフたちの思い入れを目の当たりにしたとき、少なからず「こういうのもアリだな」と感じるでしょう。個人的な好みはともかく、徹底的に『クロノア』を嫌いになる人はいないと思います。少しでも興味のある人は即刻プレイしてみて欲しいし、ACTは苦手という人や、普段ゲームなんかしない…という人にも間違いなくオススメします。きっと「ゲームに感動した」って、ちょっぴりテレながら話すことになると思いますよ。確かにそれは、ディズニー映画のような100点満点の作品も目指していないし、宮崎駿のような優等生的な仕上がりでもないかもしれません。でも、今この瞬間にアニメでも童話でもなく、『クロノア2』みたいな普通のゲームができるのって、幸せなことですよ。
(c)(株)ナムコ
森澤しっぽ付き
 愛車・ランエボVを駆って、エボダイを釣りに海に行くことが趣味の、電撃PS編集者。わりと若い女の子が好き。ぶっちゃけた話、10代の女の子が好き。
●好きなソフト
『風のクロノア』シリーズ
『ドラゴンクエスト』シリーズ
『シスター・プリンセス』



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