SOFT レビュー
電撃オンライン編集部がオススメするソフトを個性的なレビュアーがアツく語る!
タイトル 『頭文字D Special Stage』 レビュアー スピードジャンキー井上

「超絶ウルトラスーパーレイトブレーキング」も完全再現!!
原作のライブ感を体験できるストーリーモードがアツイ!
(3,566文字)


 AE86(通称ハチロク)の中古車価格が高騰した(!?)という、中古車市場に影響を与えるほどの人気コミックといえば『頭文字D』のこと。主人公・藤原拓海が愛車ハチロクを駆り、並みいるライバルたちとバトルを繰り広げていくストーリーには、走り屋を名乗るものなら誰しも惹かれるはず。ていうか自分はハマりましたです、ハイ(笑)。そんなわけで『イニD』ファンの視点から、このゲームの魅力をチェックしていきまっす!

●原作が持つライブ感を完全RCG化!
 ゲームのメインとなるのは、現在アーケードで稼動中の『Arcade Stage ver.2』を移植した「公道最速伝説」モードと、原作コミックのストーリーと同じシチュエーションで走り屋バトルを繰り広げていく「ストーリー」モードの2つ。まずこのゲームが一般的なRCGと違う点は、レース中にバトル相手が「しゃべりまくる」ということ。基本的には原作に登場するキャラと、1対1の峠バトルを繰り広げていくんだけど、抜いても抜かれても、とにかくしゃべる! RCGとはストイックに淡々とクルマを操作するもの、という固定観念があったんだけと、それを見事に崩してくれました(笑)。原作コミックが持つライブ感を、うまくレースシーンに取り入れられている、というのかな。高橋啓介とのバトルでは名セリフ「コーナー2コも抜けりゃあバックミラーから消してやるぜ!」があったと思ったら、中村賢太とのバトルでは「コーナー3つも抜ければバックミラーから消してやるぜ!」という、啓介のセリフをパクッたオリジナルセリフがあったりするあたりに、ファン心がくすぐられてしまった。まあ、TVアニメに登場したキャラなら声優さんが決まってるから、しゃべるのはわかる。でも、アニメには登場しなかった、東京から来た2人(S15シルビアに乗るデブ&メガネ)の「超絶ウルトラスーパーレイトブレーキング〜!」まで、新たに声優を決めて再現するなんて、こだわり過ぎでしょ! 思いっきり笑わせていただきました(笑)。ほかにも、黒いFDに乗る岩瀬恭子ちゃんの「ダーリン、どうすればいいの、わたし?」とか、まだTVアニメで放映されていない、今後の登場キャラにもしっかり声があてられていて、一聴の価値あり!

●原作の名シーンをプレイヤーのドライビングで追体験!
 こうしたバトルのライブ感が最大限に活かされているのが、PS2版オリジナルの「ストーリー」モードといえる。このモードの魅力は、原作と同じシチュエーションをプレイヤーの操作で追体験できること。例えば、「紙コップの水をこぼさずにドリフトする」という、原作ファンにはおなじみのエピソードだったら、ゲーム画面に紙コップゲージ(?)が表示されて、水をこぼさないように秋名の峠を走る、なんて条件をクリアしながら、各ステージを原作ストーリーに沿って進めていく。ステージの前後には、原作コミックのカットと音声でストーリーを解説してくれるのも、ファンにはうれしいポイント。ただ、自分の場合は原作コミックを熟読してストーリーがもう頭の中に完全に入っているから、このバトル導入シーンはついついスキップしちゃったんだよねぇ。「秋名のハチロク編」と「レッドサンズ編」は特に。あ、でも3つ目の「〇〇〇〇〇〇〇編」は、ちょっとうろ覚えの登場キャラとかがいたから、ストーリーの流れが確認できてよかったな。
 あと、原作のイラストが楽しめるという点では、データ読み込み時に表示される、イメージカットが楽しめたなぁ。なつきちゃんや真子ちゃんの水着イラストが見られるおかげで、ロード時間も気にならないハズ!? これはイイです!
 んで、レース中は敵車との位置関係によって、さまざまなセリフが流れて、まさに原作のワンシーンを味わえる。秋山渉とのバトルで前を走っていると、

「峠では速いやつが1番かっこいいんだ! いけてるぜおまえ!!」
「うまいぜ、つくづく荷重移動のうまいやつだ!」


 な〜んて褒められたりするもんだから、すっごくいい気分。テンションが上がって、ついつい拓海になったつもりでガンガン峠を攻めちゃう。そうかと思えば、イツキを後席に乗せた時なんて、ドリフトするたびにイツキが叫び声を上げたりするから、つい笑っちゃって操作に集中できなかったけど(汗)。プレイを始めたときは、あまりにセリフが多くて違和感あったけど、今ではもう無口なRCGには物足りないと感じてしまうほど、すっかりこのライブ感の虜に。


●峠コースらしからぬスピード感が気持ちイイ!
 とまあ、ここまでの話を聞くと、なんだか原作キャラを前面に押し出したゲームだと思われてしまいそうだけど、これは肝心のRCG部分がよくできているからこそ「キャラがしゃべって楽しい」という要素が引き立っているといえる。クルマの挙動は、とにかくクイック&スピーディ。シミュレータ系RCGと比べると、明らかにゲームらしい軽快な挙動に仕上がっている。レース中はとにかくアクセル全開! いかにアクセル全開の区間を保てるか、という走りのスタイルになる。ドリフト中も、とにかくアクセルはベタ踏み。ヘアピンなどのタイトなコーナーではさすがにブレーキは使うけど、それでもあくまでもドリフトのきっかけ作りといった感じかな。この点は、自分もそうだったんだけど、リアル系のRCGに慣れてる人だと最初はとまどうかも。逆に言うと、アクセルワークがどうとかブレーキングがどうだといった先入観のない初心者の方が、すんなり楽しめるかも。そしてなによりもスピード感たっぷりなのがポイント高し! 普通は走りのステージが峠だと、そんなにスピードを出せないんだけど、レース中の体感スピードはかなり速くて爽快感たっぷり。BGMにユーロビートのavexサウンドを取り入れてる点も、スピード感を演出している要素のひとつだ。
 あと、クルマの挙動のほかに、いかにも峠らしさを感じさせてくれた要素が、エンジンの回転数によるパワーの変化。ストーリーモードの「秋名のハチロク編」のハチロクは、5500回転以上からググッとパワーがでるエンジンになってる。そのため、峠の上りでこのパワーバンドを外すと、もう全然スピードが伸びなくって、ライバルにぐんぐん差をつけられてしまう。そうなるとテンロク(1.6リッター)NAエンジンの非力さを痛感させられるばかり……。だから、シフトアップするときには5500回転以下にならないよう、回転数をきっちり引っ張る必要がある。こういう、トルクカーブの谷に気を付けながらクルマを走らせる一連の動作が、実際に峠を走っているのと同じで、とってもリアルなのだ。この楽しさを味わうためにも、プレイするときはぜひMTを選択するべし。
 ところが、クルマの挙動とかシフトチェンジのタイミングとかがわかってきて、ハチロクを乗りこなせるようになった頃、原作通りに痛恨のエンジンブロー。そしてTRD製のレーシングエンジンに換装されるんだけど、こいつがまた、原作と同じく、パワーが封印されてて乗りにくかったりする。んでも、そのマシンで規定タイムをクリアしないといけないから、なんとか乗りこなそうと四苦八苦する……おお、これってまさに原作の拓海と同じシチュエーション! 拓海になりきってハチロクをドライブできるというこの再現度はかなりのものだ。

●原作の再現度が高いゆえに気になる点も……
 原作のライブ感という点ではもう文句ナシのデキなんだけど、演出面でちょっと気になることがちらほら。ストーリーモードのバトルで、例えば中里毅のR32GT-Rがクラッシュするシーンとか、慎吾のEG6が自爆するシーンとか、そういった走行中に発生するイベントの演出がどうもイマイチわかりづらかったんだよね。原作のあの衝撃的なシーンがゲーム中ではどう再現されるのか、期待が大きかっただけに、ちょっぴり残念。演出という点では、各車種のエンジン音とかエキゾーストノートに、もっと違いがあればよかったかも。文太が手塩にかけたハチロクの、リアルな4AGサウンドが聞きたかったなぁ。あ、須藤京一が乗るエボ3のパンパンパンパンやかましいミスファイアリングシステムは、原作通りにバッチリ再現されいるのでご安心を(笑)。

●原作コミックファンもRCG好きも即買い!
  インターネット上でタイムアタックランキング大会が開催されているなど、とことんタイムを突き詰める面白さがあるアーケード版にストーリーモードが加わったことで、『頭文字D』が好きな人なら誰でも楽しめる、間口の広い作品になった『Special Stage』。敵車にピタリと張りつかれる緊張感やコーナーでライバルを抜く爽快感といった峠バトルの魅力を、原作のストーリーとともにたっぷりと堪能しよう!



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(C)SEGA ROSSO/SEGA,2003
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レビュアー紹介
スピードジャンキー井上
 電撃FF班「電撃の旅団」に所属する走り屋ライター。キャラの名前は「Fairlady」だ。つい先日、DengekiGAMESの企画で『頭文字D』開発スタッフとカートでバトル! 結果は見事に完敗だったが、これをきっかけにカートの楽しさに目覚めたようだ。現在は7月に開催される耐久レースに向けて、毎週カート場に通っているという。果たして、リベンジなるか?

●好きなゲーム
『峠MAX』シリーズ
『首都高バトル』シリーズ
『リッジレーサー』シリーズ

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