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◇ レビュー ◇
電撃オンライン編集部がオススメするソフトを個性的なレビュアーがアツく語ります!
タイトル
幻想水滸伝V
レビュアー
ヒビキタケル

これぞ大河RPGの真骨頂!
『幻想V』をプレイしないでRPGを語ることなかれ!

 じつは俺、こう見えて結構本を読んだり映画を観たりするのが好きだ。ライターを生業としているので、人の書いた文章を読むといろいろと参考になるというのもあるけど、日常から離れた世界の物語を楽しむという点では小説も映画もゲームも変わらない。でもさ……RPGで小説や映画ほど感動した作品というのは、ほとんど記憶にないんだよなぁ。やはり“RPGはプレイする時間が映画や小説よりも長い”というのが主な理由か。映画なら長くても2~3時間。小説だと内容にもよるけど、1週間あればだいたい読めるよね。でも、RPGとなると1カ月くらいはかかってしまう。こうなるとゲームを再開したときに、物語を忘れてることが多かったりして……。まぁ、その場その場で笑ったり、感動したりすることはあるけど「蓄積された想いが溢れ出す」というような、心が大きく震える物語には出会えていない。……いや、出会えていなかった! やっと出会えたその物語こそ『幻想水滸伝V(以下、V)』である。シリーズ最長のシナリオ・最厚のキャラクター・最多のイベント数を誇る『V』は、とにかく物語が素晴らしい。ファレナ女王国を舞台に繰り広げられる“奪還”のドラマは、必ずやキミの心に残るものとなるだろう。そんな本作をキャラクターとシナリオ、システムの3つの観点からレビューしていくとしよう!

●108星の掘り下げが深く、
  人数合わせのキャラなんて誰もいない!

 『幻想』シリーズの魅力といえば108星と呼ばれる108人の仲間たち。これはモチーフとなっている「水滸伝」からきているものだけど、実際問題として108人の仲間ってメッチャクチャ多い。名前を挙げるだけでも大変だ。本家の「水滸伝」でも、正直あんまり描かれていない影の薄いキャラがいたりするくらい。今までのシリーズでも、何かのついでに仲間になったりするような「幽霊仲間」がいたこともある。しかし『V』ではそんな妥協は見受けられない。脇役でもしっかりと名場面が用意されていたり、物語になんらかの形で携わるようになっている。キャラクターのエピソードがしっかり描かれているから、仲間になったときに愛着もわくし、育てたくもなるもんだ。仲間になった時点では、レベルが低かったり貧弱な装備しか持っていないこともあるから、仲間にしたキャラ全員を育てるのは大変だけどねー。もちろん、仲間を108人集めなくてもクリアは可能で、プレイの仕方によっては一度も会わずに物語を終えるキャラがいるかもしれない。しかし「108人の仲間を集めることによってエンディングやシナリオが変化する」ことは『幻想』シリーズを通じての“お約束”でもある。本当に『V』を遊びきるなら、やっぱり108人集めることは重要かな。ちなみにキャラによっては仲間にする条件が難しいものもあるので、そこは電プレをチェックしてみて欲しい。と、ちょっと宣伝をしてみたり。

 そうそう、エピソードもそうだけどキャラのディティールにも注目してほしいところ。『V』ではシリーズ初の試みとして、4人の絵師さんがキャラクターイラストを担当している。それぞれの絵師さんには個性があるので「ゲームのキャラとして出てきたときにどうかな?」と思ったけど、実際に動いている画面を見ると違和感はまったくなし。開発者にインタビューしたときに聞いた話だけど、絵師さんを分担することで服装やキャラの表情などのディティールがより深くなったとか。たしかに、脇役でも会話ウィンドウの左側に表示される顔の表情がコロコロ変わるのが印象的だった。ちなみに電プレでは毎号、アートディレクターのキング田中氏によるキャラ紹介企画を掲載中。ここでしか聞けない話もあるので必見! と、ここでもちょっと宣伝をしてみたり(笑)。

●予想を裏切る展開の連続!
  このシナリオは後世に語り継がれるべきだっ!

 ストーリーテリングの巧さも本作で特筆すべき。いい意味での「裏切りの連続」というか「アイツがココでこんなことを!」みたいな展開のオンパレードで、続きが気になってしょうがない。『V』の攻略班は編集とライターを合わせて6人いるんだけど、そのなかでもほかの人がプレイしているのは極力見ない。なぜならネタバレになっちゃうから。それくらい先が気になりつつも、自分自身で先を見たいと思わせる内容なんだなー。言うなればゲーム誌のライターなんて、年がら年中ゲームをやっている人たちですよ。それを持ってして「先が気になる!」と言わせるんだから、いかにストーリーがおもしろいかがわかると思う。

 とくに印象的な場面をあげるとすれば、キャラが死ぬところかな。まぁ、国を二分する戦いが描かれる物語なので、誰も死なないというのはさすがにリアリティがなさすぎるしね。『幻想』シリーズではある人物が死ぬことが、結果として主人公たちの成長を促す大きなイベントのひとつになっている。「登場人物が死ぬシーンはその人物の最大の見せ場だ」とある小説家が書いていたけど、まさにその通り。人は必ず死ぬ存在であり、そういう意味では人は死ぬために生きているともいえる。だから“どう生きるか”は“どう死ぬか”につながるのだ。好きなキャラが死ぬのは本当にショックだったりするけど、それが主人公たちだけでなくプレイヤーの心をも成長させるのだと思う。こういう部分が描かれているからこそ、何年も心に残る物語になる。『V』をプレイせずして、今後のRPGは語れない。

●システムはオーソドックスかつ遊びやすい!
  でも、次回作に期待するところも……

 前作『IV』では3Dポリゴンで描かれたフィールドを冒険していたが、『V』では2Dのナナメ上空から見下ろすタイプに変更された。これはシリーズでいうと『II』に近い感じ。とはいえ、平面の「のっぺり」とした感じではなく、キチンと立体的に表現されているところに好感が持てる。キャラを移動させていくと視点が変わるので、ある程度死角をカバーしてくれるのもいいね。最近のRPGは完全3D化されたマップが多いけど、これはこれで遊びやすい。王宮では天井のシャンデリアや柱が床に反射して見えたり、「ラフトフリート」(たくさんの船がつながってできた街)では水面に船や主人公たちが映っていたりと演出が細かいのにも驚いた。何気ないところで「おっ」と思わせる仕掛けが用意されているのが心ニクイね。BGMも場面によってアレンジが変わるし、とある場面でしか用意されていない曲もある。こういうところに気がつくと、ちょっとうれしい。フィールドマップも上空から見下ろした感じになった。右下に表示されるマップが簡素すぎて、街も四角でしか表現されていない。でも、これは地図師が仲間になると、ここに地形などが描かれたマップが表示されるのでご心配なく。ちなみに、全体マップも地図師の部屋で見られるけど、これはいつでも見られるとよかったかな。そのほかのシステムは戦闘や一騎討ち、戦争などがある。これについては、それぞれの項目で話そう。

【戦闘】陣形などの新要素が入り、スピーディな戦いが楽しめる
 戦闘はターンごとに行動を決定後、素早い順に行動する。違う敵を狙っている場合は複数のキャラが同時に動くので、ターンごとの行動は軽快かつスピーディ。キャラによっては、1回の攻撃で複数の敵を倒しちゃったりすることもある。魔法の演出も派手で楽しかった。とくに合体魔法とか上位の魔法は見応えもバッチリ! シリーズおなじみの協力攻撃は、今回もバラエティ豊かに用意されている。シリーズのファンの期待に120%応える“カッコよさ”と“笑い”を保証するよ。あと戦闘終了後のポーズとか、ひとことセリフが1キャラにつき複数用意されているのもいい。個人的にはビッキーのスリットからのぞく生足が妙に印象に残った(笑)。気になった点は戦闘に入る前の演出が長いのと、終了後に必ず読み込み(NOW LOADING……が表示されてキャラが走る映像が入る)こと。どちらも3~5秒くらいなんだけど、気になる人はいるかなーというレベル。ちなみに俺はしばらくすると慣れて気にならなくなっちゃったよ。

【一騎討ち】入力に時間制限が加わったことで、よりスリリングに!
 一騎討ちは「攻撃」「防御」「必殺」のうちどれかを選択し、相手の選択の相性によって攻撃がヒットするかどうかが決まる。攻撃がヒットすれば体力が減り、先に相手の体力をゼロにした側の勝利だ。これが物語の要所要所に挿入されるんだけど、じつは1戦ごとに全部違うモーションが入っている。これがまた映画のワンシーンのようにカッコイイ。だからプレイしていて攻撃が決まると、その後の動きを見るのが楽しみで楽しみで! ちなみに場面によっては、主人公以外の人を一騎討ちに出すこともできる。これがまた、グッとくる場面で登場してくるもんだからたまらない! 詳しくはネタバレになっちゃうから言えないけど、因縁を持つキャラ同士の対決はプレイヤーによっては『V』最大の見せ場になるかも。また、相手のセリフから攻撃を予測できるというのも魅力のひとつ。セリフが出てから3秒以内に入力しないといけないので、瞬時の判断力が求められるってワケだ。これがまた、スリリングかつテンポがいい。いやー、これはホントによくできているよ。

【戦争】リアルタイムで部隊を指揮する快感に病みつき!
 戦争はこれまでのターン制とは打って変わって、リアルタイムで部隊が動くタイプになった。最初は忙しくてあわてたりしたけど、慣れてくると相性を考えて部隊を指揮する感覚がおもしろい。セレクトを押したり、部隊を選ぶと時間が止まるので、そこでじっくり考えたりできるしね。魔法とかキャラの特性を生かした特殊行動もゲームの雰囲気にマッチしている。普段の戦闘では一歩遅れを取っているけど、戦争では大活躍! なんてキャラもいたりして、キャラを生かす場面としても重要かも。計略も絶妙で、軍師であるルクレティアの助言を聞きつつ戦うと「少数で大軍を打ち破る」快感もバッチリ味わえる。出撃する部隊を決定するときにマップが見られなかったり、R1で部隊を1つずつ送れるけどイマイチ使いにくいなど、操作面で不親切なところも若干見受けられるのが惜しいところ。俺は全戦「大勝利」することができたけど、SLGが苦手な女の子がプレイしたらちょっと難しいと感じる難易度かも……。どうしても詰まったときには……ね。電プレがあなたの軍師として、ツボを押さえた攻略記事を展開してますよ! 見てね! ……と、また宣伝してみた。

●総括 今まで『幻想』シリーズをプレイしたことのない人もぜひ!
 総合してみるとシステムはオーソドックスだけど、物語はハンパなくおもしろいRPGといえる。シリーズおなじみのミニゲームとかお風呂イベントとか、やり込み要素もすっごく多い。俺も最初の頃は「結構、普通のRPGだな~」と思いながらプレイしていたけど、軍師が仲間になるころから先の展開がメチャクチャ気になって、あとは一気にプレイしちゃったよ。最後の決戦前で仲間になったキャラに話しかけていくと、それまでのキャラへの蓄積された愛情が「じわっ」と出て思わず涙が……。そんな思いを味わえる物語って、本当に少ないと思う。地名や一部のキャラは過去作品に登場したものがいるので、今までのシリーズをプレイしたことがある人はより楽しめる。でも、全然知らなくても問題ないよ。時間軸的には『I』の前になるし、ちょうどPSP版『I&II』も『V』と同日に発売されるので、これを機にシリーズに触れてみるのもアリ。と、最後まで宣伝チックになってしまったが、実際に『V』をクリアした俺が『I&II』をやりたいと思っているのだから、これはもうしょうがないのだ!

 
 
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レビュアー紹介

ヒビキタケル
 SPGやACTなど、人と対戦できるゲームが大好き。『マーセナリーズ』のような自由度の高い作品や、『Killer7』みたいな個性的なゲームも好む。レビューではゲーム性はもちろん、読み込み時間などのテンポのよさを重視して評価する。

●好きなソフト
『パワプロ』シリーズ
『パワースマッシュ2』
『WE』シリーズ
『ピュ~と吹く!ジャガー 明日のジャンプ』
『ルミネス』
『Killer7』
『マーセナリーズ』
『ワンダと巨像』
『幻想水滸伝V』


幻想水滸伝V
パッケージ写真
●機種:PS2
●メーカー:コナミ
●ジャンル:RPG
●価格:7,329円(税込)
●発売日:2006年2月23日

(C)1995 2006 KONAMI

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