◇ レビュー ◇
電撃オンライン編集部がオススメするソフトを個性的なレビュアーがアツく語ります!
タイトル
天外魔境III NAMIDA
レビュアー
ただ坊

ファン待望(マジで)の奇想天外な冒険譚は、
そこかしこから『天外』らしさがプンプンだ!(5,204文字)

 ども。火の国育ちの肥後もっこす・ただ坊です。突然ですが、みなさんにとって思い出に残るゲームって何でしょう? 『ドラクエ』ですか? 『FF』ですか? やっぱり、長い時間プレイするRPGになりがちだと思うのですが、いかがでしょう。ちなみに、ボクにとってはここで紹介する『天外魔境』シリーズが、いろいろな思い出が詰まっている大切なゲームです。本シリーズは、何年かごとに必ずリリースされるようなタイトルではないだけに、いつもは心の引き出しの奥底で眠っているんですが、何かの理由でその引き出しをゴソゴソかきまわすと、途端にひょっこり顔をだして、ボクの心を騒がせる。そんな感じのゲームなんですね。例えるなら、初恋に似た感覚かも知れません。
 ということで、ここでは最新作である『天外魔境III』のお話をさせてもらいたいのですが、まずはその前にボクの本シリーズに対する思い入れを、めちゃくちゃカンタンに書いておきたい気分なのです。ほんとにカンタンに書くつもりではありますが、前置きとしてはあまりにも長くなりそうなので、興味がない人は次の「●魅力的なキャラクターたちが〜」のところまで読み飛ばしてもらってもまったく問題ナシですよ!

 そういうことで、ここからはちょっとした思い出話です。思えば、ボクが『天外』に出会ったのはまだ中学生のころ。いとこがプレイしていた『天外魔境II』がどうしてもやりたくて、6万円以上払ってPCエンジンDUOごと購入しました。中学生にとってはすごい大金でしたが、まったく後悔はしませんでしたね。プレイ時間が60時間にも及ぶ壮大なストーリーや、手ごたえバツグンのバトルなど、すべてが最高におもしろかったので。ほんとに怒涛の勢いで、『II』をプレイしまくりましたよ。1度クリアしても、ひたすらレベルを上げたり、もう1度最初からやり直したりしてましたから、プレイ時間の合計は400時間くらいになる気がします。ほんとやりすぎですね、コレは。
 で、『II』をひととおり遊びつくしたあとは、すぐさま『I』を購入。これまためちゃくちゃやり込みまくりました。小説やサウンドトラックも買いましたしね。そのあとも外伝的な扱いである『カブキ伝』やスーパーファミコンの『ZERO』、セガサターンの『第四の黙示録』まで、『天外』と名のつくRPGはひととおり遊び尽くしたものです。ただし、これらも大変よくできたゲームではあったのですが、やっぱりボクにとっては、あくまでも外伝。正直、ナンバリングタイトルである『III』がずっと遊びたかったんです。『III』がPCエンジンのアーケードカードに対応する、と発表されたら即アーケードカードを購入しましたし、PC-FXでの発売に変更された、とのウワサを聞いたら、すぐに購入のための貯金を始めたものです(結局、購入には至りませんでしたが)。ですから、一時期いっさいの情報が出なくなったときは、本当にガッカリしてました。最初の発表から10年が経過した最近では、もう『III』は遊べないかもしれないと勝手に思い込んでいたくらいです。

 さてさて、そんなボクをひたすら待たせ続けた『III』が、いよいよPS2で発売されました。最初の発表からここまで時間が経っているわけですし、設定やら何やらも大きく変化していることを考えると、発売までにいろいろな紆余曲折があったんだと思います。ですから、待たされた文句はいっさい浮かびません。むしろ、スタッフの方々には、心からお礼を言いたいくらいです。ホントに、よくぞ発売してくれました。しゃぶりつくすまで遊びつくさせていただきます。

 とは言うものの、プレイ前は正直、期待と不安が複雑に入り交じっていました。PS2やGCでリメイクされた『II』が、演出がややショボくなっていたり、グラフィックの質が低下していたりして個人的にガッカリな内容だったこと、また、本当に大好きなタイトルであることも影響して、どちらかというと不安の方が大きかったかも知れません。でも、触ってみたらやっぱり安心! う〜ん、よかった。『天外』だ。そこかしこから漂ってくるおかしげで妖しげでおもしろげなオーラは、間違いなく『天外』のものでした。それも、これまでのシリーズとはまたひと味違う、まったく新しい『天外』に仕上がっています。
 コレはもう、みなさんにもオススメするしかないでしょう! ということで、やっぱり長い前置きになってしまいましたが、ここからはこの『III』のおもしろさってヤツを、じっくり語らせていただきましょう。

●魅力的なキャラクターたちが繰り広げるストーリーがおもしろい!
『天外』というゲームの魅力の1つが、個性あふれるキャラクターたちが物語を盛り上げることです。たとえば、小柄な体で可愛い顔をして、大の男でもかつげないような巨大オノを振り回す『I』のツナデや、選ばれし火の一族の勇者のくせに、手のつけようのない女ったらしである『II』のカブキ団十郎など、従来シリーズでもひくとくせもふたくせもあるキャラが活躍しましたが、コレは『III』でも健在! ストーリーの中心となる主人公のナミダやヒロインの壱与は、どうしてもオーソドックスなキャラになってしまっていますが(それでも、ナミダは記憶喪失だったりして、かなりミステリアスなキャラですけど)、周りを固める仲間たちは本当に個性的です。どう見てもハニワなのに、ナミダを壱与の家来としてあつかうトンカラリンや、ピンクの衣装に身を包み、普通の一般庶民よりも目立っている隠密くノ一・ツグミの行動は、見ているだけで飽きません。
 また、敵キャラとなる謎の一族・アミの面々も非常にキャラが立ちまくっていて魅力的。最初のボス敵となる変化のイチモツは、これまでプレイしてきたRPGのなかでも1、2を争うほど嫌なヤツで、すごくムカつきました。ほんとに姑息で卑怯で残忍で、最後まで物語を引っ掻き回してくれるので、出てくるだけでテンション上がりましたね。じつは意外とお気に入りのキャラなのかも。でも、1番の本命は雷帝・ニギ。コイツはスゴイですよ。ニヒルな性格でサングラス(しかも赤。趣味悪〜)をかけており、担当声優は池田秀一さん。こうくると、どうしても某有名アニメの仮面パイロットを思い出してしまいませんか? しかしながらこのキャラ、じつは相当ハジケてますよ。追い詰めれば追い詰めるほど、ゾクゾクするほどハジケてくれて、最後の対決時のセリフまわしなんてほんと爆笑もの。ぜひプレイして、ニギとの会話を楽しんでください。

 とまあ、こんなに魅力あふれるキャラたちが繰り広げる物語は、やっぱり秀逸です。冒頭でいきなり、敵に憑依された父親と斬り合うことになり、父親殺しの宿命を背負うことになったり、たくさんの子どもが誘拐され、彼らを助けるためには壱与を渡せという敵の要求をのまなければならなかったりと、『天外』ならではの毒気のあるシナリオが展開します。イベント中の演出が人形劇みたいなので、ちょっとガッカリもする部分もあるのですが、壱与とツグミという2人のヒロインの入浴シーンでは最高に気合の入ったムービーが入るなど、「ツボ」を心得た演出もお見事。物語の中盤以降で徐々に明かされていく2重、3重に用意された大どんでん返しは、プレイしていてサプライズの連続です。この破天荒なシナリオこそは、間違いなく『天外』にしか出せない魅力であると思います。

 ちなみに、シリーズの皆勤賞キャラであるマントーや足下兄弟、ホテイ丸が登場するのもファンにはうれしいところでしょう。ホテイ丸は相変わらずのおかしな日本語ですが、行く先々でナミダたちを助けてくれますし、足下兄弟は相変わらずえげつない商売をしているしで、ある意味ホッとします。やはり、彼らがいないと『天外』は締まりませんからね。人気キャラ・マントーのおバカっぷりにも拍車がかかっていますよ。「馬鹿の術」の演出にも力が入っているので、まだ見ていない方はお楽しみに。

●ド派手で奥が深い戦闘シーンは爽快感バツグン!
 本作の戦闘では、1回のエンカウントで最大10数体もの敵と戦うこともあります。しかし、1回の攻撃で複数の敵を攻撃できることもあり、テンポはバツグン。高い威力を誇る各キャラ固有の必殺技とも言うべき、「技能」や「奥義」をさく裂させれば、一気に10体以上もの敵を全滅させることも可能で、これまでのRPGにはない爽快感が得られるのもポイントです。ボク的には、序盤の戦闘は敵が弱いこともあってか、比較的サクサク進んでいけたものの、中盤以降はバッドステータス攻撃を仕掛けてくる敵や、やたら体力が高い敵などが続々と登場するようになり、非常に歯ごたえのあるバトルが楽しめました。各キャラにきちんと「技能」などを習得させ、レベルも相応に上げていかなければ、ザコ戦でも苦戦するようになります。この、気を抜くと全滅するような骨太バランスも、『天外』っぽくていいですね。

 なお、各キャラが覚える「技能」の種類はとんでもなく豊富です。キャラ育成にも熱が入るってものですよ。「技能」のなかには「にぎりっぺ」や「ボケ」、「ツッコミ」といったユニークなものも存在するのでおもしろいです。とくに「ボケ」のアクションは、全キャラ異なるので必見と言えます。敵にキュートなお尻をフリフリする壱与や、おかしな格好をしながら敵を挑発するナミダの姿などは、思わず笑ってしまうほどおかしくてサイコー。また、「ボケ」のあとに「ツッコミ」を使うと、爆発的な攻撃力を発揮するのも見逃せません。具体的に言えば、「ボケ」後の「ツッコミ」は通常の4倍近くのダメージをたたき出すので、実戦でも大いに役立ちます。「なんでやねん!」の裏拳で敵をはり倒す壱与の姿なんて、女神と見間違えるほどプリティーですよ。一見の価値アリです。お忘れなく!!

●オーケストラを使った音楽がスゴすぎ!
 じつはこの『III』、読み込み回数がけっこう多いです。戦闘に入るときや、イベントが発生したときはもちろん、町中で宿屋や民家へ入るたびにディスクを読み込むので、ちょっとしんどい……。そんなに頻繁に何を読み込んでいるのかつくづく疑問に思っていたのですが、音楽に非常にこだわって作られていることに気がついた瞬間、納得してしまいました。コレはヘッドフォンを使用してプレイしているとすぐに気がつくと思いますが、じつはこの『III』は、音楽にオーケストラを使ってるんですよね。コレはもう、他のRPGとは比べ物にならないほど音質がイイわけで。バンドミュージックの大家・加藤和彦氏作曲の音楽を、新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で聴けることを考えると、多少は読み込みが多くなるのも仕方がないのかな、と。みなさんも、プレイ時にはできるだけ大音量でプレイして、雄大で力強い音楽に聞き入ってみることをオススメします。深夜にプレイする際は近所迷惑にならないよう、ヘッドフォンを使うのがいいですね。

●楽市楽座で楽しく寄り道!
 各国の主要都市では、「楽市楽座」が開かれています。ここでは、よろず屋でいろいろな商品を購入できたり、鑑定所でアイテムの鑑定が出来たりします。そして何よりおもしろいのが、楽市掲示板でさまざまな人々の依頼を知ることができることです。彼らの依頼をかなえてあげれば、便利なアイテムをもらえたり、おトクな情報が手に入ったりするので、冒険の合間に寄り道するのも一興。お願いごとは、「このアイテムが欲しい〜」や「こんなところで働きたい〜」と、内容はさまざまなので、やり込みがいがありますよ。ストーリーが進むごとに依頼の数は増えていくほか、期間限定の依頼もあったりするので、コンプリートしたい人は、こまめに各所の掲示板を覗いてみましょう。ただし、その場合は本来の冒険の目的も忘れないように
注意してくださいね(笑)。

●さぁ、あなたも魅惑の『天外』ワールドへGO!
 上でも書いたとおり、読み込みがかなり多かったり、見た目がちょっと地味だったりと、細かい部分で気になるところはたくさんあります。でも、それらを吹き飛ばしてしまうくらい、このゲームには魅力的な部分も多いです。シリーズのファンはもちろん、少しでも興味を持っている方はぜひプレイしてみてもらいたいですね。
 ちなみに、ボクのクリアまでのプレイ時間は80時間ほど。これは楽市掲示板で寄り道したり、電撃プレイステーションの攻略に使うデータを集めていたりしたうえでの数字なのでまったく参考にはなりませんが、恐らくストーリーの本筋だけを追いかけても、40〜50時間は楽しめるボリュームだと思います(もっとかかるかも?)。久しぶりの超大作RPGなので、みなさんもじっくりと時間をかけて、冒険を楽しんでもらいたいですね。

 


レビュアー紹介

ただ坊
 島本和彦先生のマンガに激しく同調し、映画「ロッキー」を見ては涙するという熱血な部分と、ベストプレイスが「東京ディズニーランド」という癒し部分を併せ持つ、自称永遠のピーターパン。仕事中に聞くBGMがB'zの時は絶好調なとき、GARNET CROWの時は最高潮のときだと豪語する、へっぽこ三文ライターでもある。誰かこんなボクに愛のバクダンを落っことしてくれ。
●習得済み精神コマンド
「不屈」「ひらめき」「根性」「熱血」「気合」「魂」(「集中」が欲しい、と本人談)(ついでに「加速」も覚えやがれ、と担当編集談)

●好きなゲーム
『スパロボ』シリーズ
『キングダムハーツ』シリーズ
『KOF』シリーズ


天外魔境III NAMIDA
●機種:PS2
●メーカー:ハドソン
●ジャンル:RPG
●価格:
  通常版 7,800円(税込)
  限定版 14,800円(税込)
●発売日:2005年4月14日

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