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ぎすぎすした世の中だからこそ
このゲームでほのぼのした気持ちになってほしい!(5,121文字)
確か『ちびロボ!』との最初の出会いは、2004年の秋に行われたイベントだったと思います。比較的大きいスペースをとってました(アンケートのクイズにもなってましたね)が、正直「ふーん」程度だったと思います。ごめんなさい……(汗)。じゃ、なんでソフトを買ったの? と言うと、ある音楽ユニットのサイトの掲示板に「『ギフトピア』を作った開発チームの新作『ちびロボ!』が出ます」との書き込みがあったからです。遊んではないけど、『ギフトピア』は評判もいいし、かなり気になってまして。……というか、ある音楽ユニットというのは“エイプリルズ”という人たち(とっても大好きです)なのですが、その人たちの曲が『ギフトピア』で使われてまして、「目のつけどころが素晴らしい!」と、かねがね思ってまして。そんな目のつけどころが素晴らしい開発チームのゲームがおもしろくないわけがない。じゃ、新作をこの機会に遊んでみようかなと。これが私と『ちびロボ!』との出会いのきっかけです。人生どんなところに出会いのきっかけがあるかわかりませんね。で、遊んでみての感想はというと、ここでレビューを書いていることが答えにもなってますが、予想通りとってもおもしろかったです。そして、このおもしろさを伝えねばということで、勝手にレビューを書いたわけです(笑)。ではでは、さっそくほのぼのアクションアドベンチャー『ちびロボ!』の魅力をお伝えしていきたいと思います!
●舞台はよくある日常。だけど、ちょっと変わってる!?
主人公は、タイトルにもなっている身長10センチのロボット「ちびロボ」(わかりやすい名前でいいですよね)。家族をハッピーにするために作られたロボットで、舞台となるサンダースン家の娘ジェニーさん(小さな子なので、実際はジェニーちゃんかな)の誕生日プレゼントとして家にやってきたところからゲームは始まります。ゲームの目的は、家族みんなをハッピーにすること。ちびロボを操作して、落ちているゴミを拾って捨てたり、床の汚れをキレイにしたりといった小さなことから、ケンカしたパパとママを仲直りさせるために奮闘したりと、いろいろ活躍していくことになります。
登場人物はちびロボ以外に、ギッチョマンという変身ヒーローが大好きなパパ、そんなパパにあきれつつも大好きなママ、カエルの着ぐるみを頭にかぶり、「ケロッ(カエル語)」としか言わない娘のジェニーちゃん、そしてペットの犬のタオ。サンダースン一家は、3人+ペットとよくある家族構成ですが、中身はちょっと(かなり?)変わってます。特にパパは、ちょっとしたことで「ムッピョ
キャッコエエー!(訳:むっちゃ かっこいい!)」と大興奮したりします。かなりいいキャラしてますよ。
これで登場人物は全部かというと、まだいます。なぜかこの家では、人間がいないところでは、おもちゃたちが動き回り、これらのおもちゃたちとの交流もあります。パパが大好きなギッチョマン、イモムシのぬいぐるみ、ジェニーちゃんのお気に入りのクマのぬいぐるみ、チョコレートのM&Mのキャラのような軍曹と兵隊たちの人形などなど、たくさんいます。あとは鳥やカエル、そして、ちびロボのジャーマネ(マネージャー)のトンピーというテレビのようなキャラもいますね。それと、ちびロボの前にいた「デカロボ」という動かなくなったロボットも。よくある日常が舞台ですが、ファンタジー&SF要素のある、かなり変わった世界となっています。
●身長10センチ。小さい身体で健気にがんばる「ちびロボ」
本作の主役・ちびロボについて紹介しましょう。ちびロボは、電気で動く充電式のロボット。動くごとに内蔵のバッテリーが消耗していき、すべてなくなってしまうと動けなくなります(強制的にちびロボの家・ちびロボハウスに戻ります)。つまり無尽蔵には動き回れず、さまざまな行動をする際は、バッテリーの残量に気をつけないといけないのです。そのため、無理に遠くに行こうとすると、バッテリー切れなんてことに……。ロールプレイングゲームに例えると、いきなり遠出して強い敵にやられてしまうような感じですね。このバッテリーは、みんなをハッピーにすることで上限が増えていきます。最初のうちは隣の部屋に行って帰ってくるのが精一杯だったのが、バッテリーが増えてくると、庭の木に登って屋根の上に行けるようになったり、だんだん行動範囲が広がっていきます。成長している感を味わえていいですね。成長を感じられると、キャラに対しての親近感も沸きますし。肝心なことを忘れてましたが、ちびロボにはおしりから電源プラグが出ていて、それを家のいろいろな場所にあるコンセントに挿すことで充電。バッテリーの補充ができます。全体的にちびロボの動きはコミカルでかわいらしいのですが、電源プラグを頭の上に抱えて、コンセントに挿す姿は特にかわいいですよ。あとコンセントを挿したまま、移動しようとしてコードに引っ張られる姿とかも(笑)。
バッテリー以外にも、ちびロボはパワーアップします。みんなをハッピーにすることで、いわゆるお金のような「マネ」というモノがもらえ、これと引き換えにアイテムを買うこともできるのです。プロペラで少し浮けるようになったり、弾を撃てるようになったり、レーダーで隠れたモノを見つけられるようになったりすると、10センチなのに頼もしく見えてくるからおもしろいですよ。とはいえ、やっぱり身長10センチなので、家のモノを見ればどれもビッグサイズ。ソファの上に乗ることもひと苦労です。さっき木に登って屋根に登ると書きましたが、具体的に手順を解説すると、(1)木の幹のハシゴのようなところを登る。(2)プロペラ(実際は「ちびコプター」というアイテム)でブランコに飛び移る。(3)ブランコのひもをよじ登る。(4)落ちないように気をつけながら枝を伝って進み、屋根の上に到着! といった具合に、かなり大変。でも、それだけの苦労があるだけに、まさか行けないだろうと思ってた場所に行けたときの達成感は、ちびロボの小ささもあいまって倍増です。「この引き出しの取っ手を足場にすればいいのか」、「この電源コードは登れるんだ」など、いろいろ試行錯誤しながら家中を冒険するのはパズルのようで楽しいですよ。
●ハートウォーミングな物語に絶対大注目!!
ゲームの目的は、みんなをハッピーにすること。でも、ただ延々と床掃除やゴミ拾いをするゲームではなく、ちゃんと物語があります(アドベンチャーだから当然ですよね)。ネタバレになるので、具体的には言いませんが、心温まるお話とだけ言っておきましょう。人に親切にすればその人も幸せになるし、その幸せな笑顔で自分も幸せになれる。トンピーがたびたび「ちびロボさんの活躍でみんなハッピー、ハッピーです!」みたいなことを言うのですが、このセリフの奥の深さ、エンディング後に痛感しました。プレイした人なら、うなずいてもらえると思いますが、遊んでいない人にはなんのこっちゃなので、とりあえずステキな物語だと思っていてください。ただこのステキな物語も、丁寧なキャラ作りがあればこそかなと。キャラによる言葉のいい回しの違い(特に「ムッピョ~」のパパ)、こまかな動きや表情の変化、キャラは特に力が入ってますね。いくらおもしろい演劇でも演じている役者が下手だったら、つまらなくなる。伝えることへのこだわりを、ひしひし感じました。他のハードになってしまいますが、物語の熱いこだわりつながりで、セガの『ルーマニア#203』シリーズが好きだった人は、ハマるかもしれませんね。ちなみに軍曹と兵隊たちのやりとりが、個人的にお気に入りです。軍曹の厳しいひと言に「ヒー」と声をあげ、目をむいて驚く様や、肩をがっくり落として残念がる姿など、とにかくコミカルで。フィギュアになったら買いますね。クラブニンテンドーのプレゼントにならないかなぁ~。
ただ残念なことも。ちびロボはしゃべらないため、基本的に他のキャラの言葉や調べた際に表示されるメッセージをヒントに物語を進めていくのですが、次に何をしていいのかわからなくなることがあって、少しつまずきました。特に後半の佳境の部分だったもので、イライラと。カメラがアップになるなどの演出で、怪しい場所を教えてくれたりはするんですが、後半に関係する場所ですべきことを序盤にしてしまったりすると……(忘れてる自分が悪かったりもしますが(汗))。怪しい場所はあとでも確認できるようになっているとよかったかなと。あとイライラといえば、装備しているアイテムを使うボタンと、調べるなどのアクションのボタンが同じなので、引き出しを出したいのにプロペラで浮いてしまったりということも。ここはボタンが違った方がよかったですね。ちびロボの動きが、コミカルでテンポがいいだけに、特に残念に感じました。
●気持ちよい効果音がいっぱいで、プレイが楽しい!
あと『ちびロボ!』を語るうえで見逃せないのが音でしょう。BGMはもちろんですが、特に効果音の使い方が実にいい! 歩く床の種類によって同じ「ポンポンピンポンピンポン」でも音が低かったり、高かったり(同じタイルの床でも色が違うと音が異なるこだわりよう!)、床を歯ブラシで磨く時に、磨いている時だけアコースティックギターのメロディが流れたり。ちょっとした動作が楽しくなります。子供たちはこういった仕掛け、特に喜びそうですね。世界観にも合っていますし、非常によかったです。また会話はすべてテキストですが、キャラごとに異なる特有の謎の言葉をしゃべります(効果音がテキストに合わせて鳴ります)。お姫様ならフランス語チック、軍曹なら軍人っぽい厳しい口調の言葉(ボンジュールって聞こえるのは気のせい!?)といった具合に。ニュアンスとしては、『どうぶつの森』の動物たちの会話を想像してもらえるとわかりやすいですね。話をしている風な効果音をしているところも、逆にキャラの個性がひきたっていてよかったです。下手にフルボイスで、変に声優さんの個性が出るよりは……。かわいらしいし、これも独特な世界観にも合ってますね。ちなみにキャラたちのこの言葉は、開発では“ハナモゲラ語”と呼ばれていたそうです。タモリさんのファンである私としては、この辺りもかなりグッときました(笑)。
●物語を楽しむ以外にも、遊べる要素がたくさん
物語は基本的に1本道ですが、メインとなる物語以外に、サブシナリオのようなものもたくさんあります。また、特定のイベントをクリアすることでもらえる、着ぐるみやシールを集めるという楽しみも。さらにハンバーガーを焼く、カーチェイスをするといったミニゲーム的なものもあります。また細かいところだと、花のタネを土に埋めると花が咲いたりといったガーデニングみたいなことも。いろいろやれることがあって、飽きませんね。普通にクリアするだけでも10時間ぐらい(もっと早い人もいると思います)かかりましたが、すべてを遊びつくそうと思ったら、20時間ぐらい余裕で楽しめるのかな(まだシールと着ぐるみ全部集まってません……)。ボリューム満点で、かなり遊べますね。ちなみにゲームキューブ版『マリオパーティ6』のマイクをつなげて「ちびロボ~!」と呼ぶと何か起こるらしいのですが(何が起こるかはお試しあれ)、こういう遊び心、大好きですよ!
●ヨーロッパ映画のような心に響くステキな作品
何かをしたから何かをもらう。仕事だったらそれでいいでしょう。でも、親切というのは、見返りが欲しいからしたでは、それは本当の親切なのかというと疑問が残ります。ゲームの中では、親切をするとマネがもらえたりと見返りがありますが、これはゲームのシステム上しかたがないこと。でも、ゴミを拾ったあとのママの「ありがとう」の言葉と笑顔で、ゴミ拾いしてよかった。そう感じられたのは事実です。お金とか物じゃなくて、笑顔という見返りがあれば、それでいいのです。その笑顔はお金や物に変えられないものなのです。このゲームをきっかけに、ちょっとしたことでも親切できるような人が増えればなぁと思います。人に親切にすればその人も幸せになるし、その幸せな笑顔で自分も幸せになれる。ぎすぎすした世の中だからこそ、こういったゲームをもっともっとたくさんの人に遊んでもらいたいです。そして、みんな、笑顔でハッピー、ハッピーになってもらいたいものです。最近忘れていた何かを思い出させてくれた『ちびロボ!』に、ホント感謝、感謝です。ありがとうー!!
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レビュアー紹介
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いぐちじゅんや
メガドライブのソフト全タイトルを所有している、かなり偏ったゲームライター。そんなワケなので、トレジャーとかが大好き。なんか、見た目にも人とはちょっと違った変な人。
●好きなゲーム
『ジェットセットラジオ』シリーズ
『塊魂』
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ちびロボ!
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●機種:GC
●メーカー:任天堂
●ジャンル:A・AVG
●価格:5,800円(税込)
●発売日:2005年6月23日
(C)2005 Nintendo
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