電撃ドットコム > 電撃オンライン > レビュー > 『バイトヘル2000』

◇ レビュー ◇
電撃オンライン編集部がオススメするソフトを個性的なレビュアーがアツく語ります!
タイトル
バイトヘル2000
レビュアー
いぐちじゅんや

あぁ、とにかくくだらない。
でも、やめられない。この感覚って一体……。

 『バイトヘル2000』は、いわゆるミニゲーム集です。でも、そんじょそこらの生ぬるいミニゲーム集とはひと味どころじゃないほど違います。全40種類あるミニゲームのうち、最初に遊べるのは4つだけです。残りは自らの手で手に入れなくてはいけません。そして、その入手方法がかなり特殊です。本作の中では、ミニゲームのことをバイトと呼びます。バイトをすると、その成績に応じて得点ではなく、お金がもらえます。そして、そのお金を使ってレッツガチャガチャ!! 新たなバイトをゲットしていきます。つまり、バイトを手に入れるためにバイトをするという、何とも不毛なルーチンワークゲームなのです。しかも、バイトはガチャガチャをすれば必ず出るのではなく(←ココ重要)、大半はハズレアイテム…(涙)。運が悪いと30回以上ガチャガチャしてもバイトが出なかったり、逆に運がいいんだか悪いんだかわからんが、もうゲットしているバイトが連続で何回も出たりします。何時間もかけて、稼いだなけなしの3万円が多彩なハズレアイテムの数々に変わったときは、ギャンブルやどうでもいい物(主に旅先)を買って、無駄遣いしてしまったときのむなしさに通じるものがあります。嗚呼、まさにジゴク!!
 
 そんなわけで、レビューをしておきながらなんですが、万人にオススメできるゲームではありません。だって、遊びたいバイトが遊べませんから……。しかも、苦労して手に入れたバイト。これが実にくだらない。薪をひたすら割る。流れてくるボールペンに延々とキャップをはめる。花粉を操作して受粉させる。ひよこのオスメスを鑑定する。酔っ払いの市長になって、千鳥足でテープカットをする。ここまでくると、よくもまぁこんなくだらない設定のミニゲームを考えたものだと、頭が下がりますよ。
 ただしあなどれないのが、こんなくだらない設定なのに、いざやってみると意外と楽しいということ。さらに極め甲斐のあるバイトだったりすると、ハマっている自分がいたりして、ちょっと負けた気分になります(汗)。全40種類あるバイトは、数秒で遊べるモノから、何時間もじっくり遊べるモノまで、そのバイトのバリエーションは豊かな。忙しい人でも遊べるのはかなりうれしいかもです。ガチャガチャでバイトを出せるだけの時間が必要だったりするんですけど…(笑)。

 ちなみにバイトの中には、1,000本ノックを取るなどのかなり過酷なバイトが結構あったりします。普通の人なら、100球も取れれば御の字でしょうし、その辺りでもう萎えてしまうと思います。でもでも、世の中広いわけで「立ちふだがる壁が高ければ高いほど、燃える!」というマゾゲーマーの皆さんもいらっしゃいます。いわゆる往年のゲームファンに多いのですが、そんな人には、これらのバイトがかなりもってこいです。「なんでわかるんだよ!」とツッコんだ皆さん、そんなマゾゲーマーの1人である私が言うのだから間違いありません。ひよこ鑑定(ひよこのメス・オスを仕分けるバイト。ときより現れるシニひよこは天国へ。プレイ時間は10分。かなりトリップできるよ)で2,000匹ノーミスで仕分けするのに、血眼になってる私がね。マゾゲーマーの人たちなら、ガチャガチャでバイトが出なかったりすると「オレが全部そろえてやる!」なんて燃えてくるハズなので、結論はマゾゲーマーは『バイトヘル2000』に集まれ!! といったところでしょうか!?(笑) 極めようと思うと、ボタンを必要以上に連打したり、アナログパッドをひたすら回転させたりしなくちゃいけなかったりします。PSP本体をかなり酷使することになるので、要注意!!

 このゲームにはバイト以外にも、10個のドウグというモノがあります。ほぼ半分は世界各国の現在の時刻がわかる時計や暗い場所を照らすといった生活で役立つモノですが、“王様ゲームの罰ゲームを代わりに出してくれる”、“カップラーメンの待ち時間を筋肉ムキムキの男性と水着のお姉ちゃんの映像を見ながら退屈せずに図れる”などのちょっと変なモノも。さらに画面に目が表示され、多彩な目を楽しめる(?)“目”など、どうやって使えばいいのか謎のモノもあったりします。実際に顔の目の部分にPSP本体をあてがってみると、かなり楽しかったりはするんですけどね。また、バイトやドウグよりも多く接することになるハズレアイテムですが、全部で448種類もあります。武器や将棋のコマ、サイコロ、野菜のマグネット、ムシ、謎のヒーローのフィギュア、惑星、ステーキ肉などなど、どれもやはりくだらないモノなのですが、説明が1つ1つ付いてたりします。意外なマメ知識があったり、笑える内容だったりするので、結構必見です。きっとマゾゲーマーの皆さんなら当然のように全部集めようとすると思いますので、マゾゲーマーの知り合いがいる方は見せてもらうといいでしょう。

 最後に。外見は微妙なのに、中身はおもしろいってところが、グラフィックばかり追求する現在のゲーム業界に警鐘を鳴らしているのでは? なんて勘ぐったりもしましたが、たぶんそんなこと、微塵も考えずに作られていると思います(笑)。ただ外見が微妙そうに見えるのは、パッと見たときだけ。実際に何10時間と遊んでいると、実はキャラの動きが細かかったり、動きのバリエーションが多彩だったりと、細かなところに妙に力が注がれてたりします。ボロは着てても心は錦!? ちょっと違う気もしますが、なんかこういうセンスの見せ方って、かっこよくないですか? この辺りはゲームディレクターのピエール瀧さんやアートディレクターの田中秀幸さんのセンスなんですよね。一流の人たちのエッジの利いたセンスには、やはり脱帽しきりです!!

 
 
画面写真

レビュアー紹介

いぐちじゅんや
 メガドライブのソフト全タイトルを所有している、かなり偏ったゲームライター。そんなワケなので、トレジャーとかが大好き。なんか、見た目にも人とはちょっと違った変な人。

●好きなゲーム
『ジェットセットラジオ』シリーズ
『塊魂』


バイトヘル2000
パッケージ写真
●機種:PSP
●メーカー:SCE
●ジャンル:ETC
●価格:5,040円(税込)
●発売日:2005年12月22日

(C)2005 Sony Computer Entertainment Inc.

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