電撃ドットコム > 電撃オンライン > レビュー > 『ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド』

◇ レビュー ◇
電撃オンライン編集部がオススメするソフトを個性的なレビュアーがアツく語ります!
タイトル
ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド
レビュアー
スピードジャンキー井上

リアルなクルマと非現実的なスピード感が絶妙にマッチング!
ニトロ全開噴射の超絶ハイスピードバトルを満喫せよ!!(6,574文字)


  プレイしていて久々に「こうきたかっっ!」と、ひとりニヤニヤしながら楽しんだRCG、それが今回紹介する『ニード・フォー・スピード』シリーズ第7作目、『アンダーグラウンド』だ!! なんといっても凄いのが、その圧倒的なスピード感! メーター読みが時速200キロでも、体感スピードは時速300キロ(※個人差あり!?)のレースシーンが展開するから、スピードジャンキーな自分にはもうたまらない!! 実車が登場するリアル系のRCGって、意外とスピード感も現実的な速さだったりするんだけど、『アンダーグラウンド』はもう非現実的なスピード感を味あわせてくれるのだ。
 そしてもうひとつ、この作品の特徴として、海外発のゲーム、いわゆる「洋ゲー」テイストが、かなりプラスの方向に活かされているところがポイント。そんな、思わずニヤリとする要素の数々をピックアップして解説しよう。


●映画『ワイルドスピード』な世界観にバーニング!
 ゲームを始める前に流れるオープニングムービー。まずコイツを見れば、『アンダーグラウンド』な世界観を感じてもらえるはずだ。ネオン輝く華やかな深夜の街に集まる、大勢のギャラリーたち。その群集をかき分けて、数台のド派手なチューニングカーがスタート位置に。そして猛然とスタートダッシュを切って、闇夜を切り裂く公道レース開始!! 激しいデッドヒートが、アップテンポなハードロックをBGMに繰り広げられていく。そう、これってあのマイフェイバリットな映画『ワイルドスピード』テイストたっぷりの世界観と同じなのだ! 映画の内容についてはここでは割愛させてもらうけど、この時点で「ああ、なるほど」と共感した人は、もうこのRCGにハマる適性200パーセント!! 即ソフトをゲットしてプレイしましょう(笑)。

●速さと派手さを兼ね備えたスペシャルマシンを作り上げろ!!
 オープニングを堪能したら、さっそくメインモードの「GO UNDERGROUND」をスタート。すると、まだ右も左もわからないのに、いきなりフルチューンのインテグラTYPE-Rに乗せられてバトルに参戦することに。なんとゲーム開始早々に、この作品のウリであるスピード感を堪能することができるのだ。この手の走り屋系RCGだと、最初はノーマルカーからステップアップしていくのがセオリーなのに、いきなりハイスピードなバトルを体験したら、いやがおうでも気分はハイテンションに! まあ、この一戦が終了すると、ノーマルカーから始めることになるんだけど、それでも「チューンが進めばこんなバトルが楽しめるんだぜ!」ということを教えてくれるこのニクイ演出に、正直やられた~って感じだ。
 さて、肝心のモード内容はというと、レースに勝ってポイントを貯めつつ、愛車をチューンしてさらに上を狙うという、一言で説明できるわかりやすさ。実際にはもっと細かいプロセスを経ていくのだけど、基本的には用意されたレースイベントをクリアしていけばOKだ。バトル形式には、周回コースを走る「サーキット」や直線の速さを競う「ドラッグ」、リヤタイヤを滑らせる走りをギャラリーに見せつける「ドリフト」といった、6種類のイベントレースがあり、各レースごとにランキングが設定されている。プレイヤーが勝利を重ねていくとランキングがアップしていくので、最終的にはすべてのレースのチャンピオンを目指すことになる。さらに愛車のカスタマイズが進むと、クルマ雑誌の表紙を飾るイベントが発生するお楽しみもアリ。
 ここでポイントとなるのが、愛車を速くするチューンナップだけでなく、エアロパーツやホイールなどのエクステリア(外装)もイジっていかないと、先のレースへ進めないということ。なんと、規定レベルのドレスアップを施していないと、参加資格が得られないレースがあるのだ。そこでさっそく、アクセサリーパーツを装着するのだが、その種類の多いこと多いこと! 例えば、クルマのサイドに貼るカッティングシート(いわゆるファイヤーパターンといった類)を取ってみても、1系統につき20種類以上で、なおかつそれが数系統あり、しかも貼るときには4枚まで重ね貼りができるレイヤー構造になっているこだわりよう。でもそんなのはまだ序の口! カラーリングを替えられるパーツだけでも、ウインドウにブレーキキャリパー、ホイール、マフラーテール、リヤウィング、ネオン管などなど塗り替え放題。もちろん、これらの項目はレースに勝つことに少しずつ変えられるようになっていくので、やれることが多くてどうしよう、ととまどう心配もナシ。この充実したカスタマイズ要素のおかげで、それまで飾りっ気のない質実剛健なマシンが大好きだった自分も、いつのまにかド派手な"スポコン"、巷で流行っているスポーツコンパクトなマシンメイクに目覚めてしまった…(笑)。さらにお気に入りのオーディオメーカーやチューニングメーカーのステッカーをクルマのあちこちにペタペタ貼りまくれるので、イジりだすキリがないくらい。これがまたおもしろくてハマるんだな~。
 では、クルマの性能をアップさせるチューニング要素はどうか? ドレスアップがあんなにこだわっているんだからチューンだって……いや、とっても質素(笑)。エンジンやドライブトレイン、サスペンションと、チューン項目は多いけれど、それぞれレベル1、レベル2というように、エンジンならよりハイパワーに、サスペンションならよりシャコタン(!?)になるなど、単純に性能がステップアップしていくのみ。ダンパーの減衰力がああだ、ギア比がこうだ、そんな野暮な話(!?)はいいっこなし。もはやこの潔さにはカンパイ(完敗&乾杯)だね。切る要素はバッサリ切って、ふくらませるところはとことん広げる。このわかりやすさは、洋ゲーらしさをいい方向に打ち出せた部分だと思う。もしこれでセッティングの自由度まで高かったら、やれることが多すぎてゲーム全体のテンポが落ちていただろうし、この作品が国内生まれだったら、そういった細かい要素も盛り込まれていたかもしれない。このあたりのゲームバランスの妙も、おもしろさの秘密なんだろうなぁ。

●アクセルベタ踏みのドライビングで市街地を駆け抜けろ!
 ではいよいよ、スピード感たっぷりのレースシーンについて紹介しよう。レース方式は6種類あるけど、大まかに分けると「ライバルと公道バトル」「直線の速さを競う」「ドリフトの豪快さを見せる」といった3タイプになる。ちなみにどのレースも、開始前にその都度3段階の難易度が選択可能。難易度が低いと、ホントにサクッとクリアできちゃう。こうした初心者への配慮もうれしいところだ。では、各タイプそれぞれの醍醐味をクローズアップしていこう。

・ライバルと公道バトル
 プレイヤーを含めた4台マシンが同時に走り、順位を競うタイプのレース。このレースのおもしろいところは、公道を舞台にデッドヒートを繰り広げる点、それに尽きる! 公道だから当然、コース上には一般車両が往来している。それら一般車を右に左に避けながら、なおかつライバルともバトルするという、常にスリリングなシチュエーションが展開するのだ。ちなみにこの公道、クルマは右側通行なので、コースの左側を走ろうものなら、対向車とすれ違いながら走るという危険な状況に(でもその分、ギリギリだとポイントが加算されるからタマらない)! さらにさらに、一般車とぶつかろうものなら、突然カメラ視点が切り替わって、そのクラッシュシーンがスローモーションで流れるという演出が展開!! よく、危ないと思ったその一瞬はスローモーションになる、というが、まさにその瞬間が演出として盛り込まれているのだ。普通なら手痛いミスも、そんなエキサイティングなクラッシュシーンが用意されているから楽しめちゃうところもお気に入りだ。こうした一般車の動きも関係してくるから、自分がクラッシュするリスクがあるけれど、敵車ももちろんクラッシュする可能性もあり、レースの結果は、運が左右する要素も強い。だって、同じ方向に行き交うクルマはプレイヤーのドラテクと動体視力で避けられるとしても、突然大型バスが交差点を横切ってきたら、もうぶつかるしかないでしょ!(笑) なので、どんなにブッちぎりトップで走っていても、クラッシュして最下位になる可能性は常に付きまとっている。この緊張感も、レースを盛り上げている要素の1つ。ちなみに難易度を下げると一般車の数も減るので、ぶつかり過ぎるって人は、難易度を下げてトライすべし。
 でも、いくらスリリングなシチュエーションが用意されていても、クルマの挙動が気持ちよくなければ楽しくないでしょう。ええ、その点もご心配なく。先に紹介したチューニング内容からも分るように、走りの挙動は豪快そのもの! もうね、4輪がガッチリとグリップした安定度の高い挙動に仕上がっているだな。そのため、コーナーもアクセル全開のままでグイグイ曲がれるちゃうから、とにかくストレスのない爽快な操作が楽しめるってわけ。かなりの急コーナーも、手前でちょっとアクセルオフにしておくだけで、すーっとフロントノーズが入って曲がってくれる。ほぼノーブレーキで周回を重ねられる気持ちいい走りもポイント高し。敵車や壁に接触しても、それほどスピードダウンしないので、とにかく一般車に気を付ける走りを心がければいいのだ。そして極めつけは、クルマのチューンでおなじみのニトロ噴射! 走行中にL1ボタンを押すと、押している間だけとてつもない加速が得られるのだ!! どれくらいすごい加速かというと、「プシャァァァ!」という噴射音とともに、周囲の風景がとろけちゃう(?)くらい速く走れる!! はっきりいって、この加速感は1度使うと病み付きになること間違いなし! ただ、使用量に制限があるのがポイント。さらにさらに、ライバルも当然、このニトロシステムを使ってくるため、ゴール直前で追い抜かれてしまうことも……。相手がニトロを使うときも噴射音が聞こえるので、こちらも噴射してトップを争うハイスピードバトルは、まさに手に汗握る瞬間だ。ただし、すでにこちらのニトロが切れていたら……指をくわえて抜かれるしかない。いかにニトロを効果的に使うかという駆け引きが生じることで、一歩間違えれば大味になりかねない豪快なレースシーンをうまく引き締めている。
 さらにさらに、プレイヤーのテンションをアップさせてくれるのが、ゲーム全編に流れるノリノリのハードロックなBGM! ビートの聴いたアップテンポな曲(すべて英語のボーカル付き)を聞きながら、深夜の街をアクセルベタ踏みで駆け抜ける! もうね、アドレナリン噴き出しまくりの興奮が待っているのさ。用意されている洋楽26曲は、ドライブするときにもクルマの中でガンガンに流して走りたいほどのお気に入りなので、ぜひともサントラ化を熱望!! も、もちろん安全運転で走ります(汗)。

・ドラッグレースで直線の速さを競う
 直線コースを走るドラッグレースの醍醐味は、なんといってもそのスピード感を堪能できること。レースそのものは、4台同時にまっすぐ走るだけで、約30秒ほどで決着が付くカンタンなもの。いやいや、ドラッグをなめてはいけません。『アンダーグラウンド』のドラッグレースは、ひと味違うのだ。まず、ゲーム画面が、画面左にでっかくタコメーターが配置される、ドラッグレース専用の表示に切り替わる。さらに、ステアリング操作も、ハンドルを1回切ると、1車線分の車線変更を行うレーンチェンジ方式になる。タコメーターを見ながら、ベストタイミングでシフトチェンジすると、車速がぐんぐん伸びていき、ライバルに差をつけられるという、タイミング命のRCGになるのだ。さらに、車線変更して、敵車の行く手をさえぎることも欠かせない。さらにさらに、コース上にはこれまた一般車がいるので、それも避けなくてはダメ。クラッシュすると、その場でリタイアとなってしまう始末。またここでも重要となるのが、ニトロの使いどころだ。スタート時にニトロで急加速して相手の鼻先を押さえて、そのまま先行逃げ切りを狙うパターンが基本となるのだが、スタート直後はシフトチェンジもしなければならないので、操作ミスをしやすい。そこで、ギアを4速、5速に入れて、加速がゆるやかになってきたところにニトロを噴射して、とろける加速(!!)で敵車を抜くといった戦略もアリ。ニトロ噴射の要素は、こうした走り方を考えさせてくれる。ちなみにこのニトロシステムは、海外では定番なチューニングだけど、国内ではまだあまり普及していないもの。このシステムをうまくゲーム性に反映できたのも、やはり洋ゲーらしいポイントだと、ドラッグレースをプレイしていて改めて思った次第だ。

・ドリフトの華麗さで勝負
 ドリフト用に設計された専用サーキットで、ひたすらリヤタイヤを流すドリフトを繰り出す。するとドリフトの角度やスピードなどがポイント化される。このポイントを競うのが、このバトルの勝負方法だ。連続してドリフトを繰り出すことで、獲得ポイントの倍率がアップしていくので、いかに途切れずにドリフトするかがポイントとなる。ここでスゴイと思ったのは、このバトルをするときは、なんと画面にハンドルの切れ角を表す専用メーターが表示されること! ドリフトのアングルが表示されるRCGなんて、このゲームが初めて!! しかも、このバトルを行うときは、普段はドライバー視点にセットしていても、自動的に後方ふかん視点に切り替わっているところ。確かに、後方視点の方がドリフトしている動きがよくわかって走りやすい。これは親切な機能だなあと思った瞬間だ。そこまで気が利くなら、ドライバー視点のルームミラーも、デフォルトで表示しておいて欲しかったなぁ。実はレース中にポーズをかけると出現するオプションメニュー内に、ルームミラーをオンオフする設定があるんだけど、これを知らない人、多いんじゃないかな? 説明書にも書いてなかったし。ドライバー視点でプレイするときは、ぜひこの設定をチェックしておこう。
 で、ドリフト中の挙動について。これも通常のレースシーン同様、基本的にアクセル踏みっぱなしでOK! あとは勝手にリアテールがブレイクしてくれるので、ハンドルで車体の向きをコントロールすればハイ、ドリフト走行に。ドリフト中も車体のコントロールが容易なので、ここでも気持ちいい走りが堪能できるのだ!


●これぞ誰もが手軽に遊べる実車系RCGの決定版!!
「クルマを走らせる」という行為の、気持ちいい要素だけをうまく抽出したことで、ここまで気持ちいいRCGに仕上がっている『アンダーグラウンド』。初めて走るコースだと道を間違えやすかったり、英語表記が多くてちょっと説明がわかりにくかったり、細かい部分を指摘すれば欠点も見つかるけど、このスピード感を体験したら、そんなちっちゃいことは全部吹き飛ぶこと間違いなし! 「オレはスポコンマシンは嫌い」とか「細かいセッティングを楽しみたいんだ」って人でも、このゲームを遊んでみれば、実車系RCGの、これまでとは違う新たな方向性に気づくはず! ていうか、自分がそうだったし(笑)。収録車種は20車種と少ないけれど、人気のGT-RやフェアレディZ、RX-7といった国産の人気車種は押さえてあるし、ほかにもヒュンダイやダッジ、プジョーといった海外メーカーのマシンも収録。車種の少なさを補って余りあるカスタマイズの楽しさが用意されていたので、特に不満は感じなかったなあ。しかも、苦心してデザインしたルックスは、クルマを乗り換えてもそっくりそのまま引き継がれるという斬新な乗り換えシステムにビックリ! これもかなり便利だったなあ。
 今回プレイしたのはPS2版だったけど、GC版、PC版もリリースされているので、各ハードのユーザーはぜひチェックして欲しい。特にPC版は、最大4人によるネット対戦も可能というから気になるところ。ースの爽快感はもちろん、ゲームシステム的にも完成度が高いので、クルマ好きやRCGファン以外の人にも1度遊んでみて欲しい、超オススメの逸品でっす!!
 
(C)2003 Electronic Arts Inc. All Rights Reserved.

レビュアー紹介
スピードジャンキー井上
 電撃FF班「電撃の旅団」に所属する走り屋ライター。キャラの名前は「Fairlady」だ。好きな映画もクルマが登場するものばかり。最近のお気に入りは『ミシェル・ヴァイヨン』で、自分の中では3本の指に入るほどおもしろかったのでオススメ。ただし、残りの2本は『ワイルドスピード』&『ワイルドスピード×2』というチョイスは、あまり一般的な趣向とは思えないが、そっとしておこう。

●好きなゲーム
『峠MAX』シリーズ
『首都高バトル』シリーズ
『リッジレーサー』シリーズ

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