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カプコン・三上真司氏ロングインタビュー
「カプコンの中でマルチプラットホームじゃないのは僕だけなんですよ」 |
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あの『バイオハザード』シリーズが、今後はゲームキューブに独占供給される! GC本体発売の前日にあたる9月13日、カプコン第4開発部部長にして、『バイオハザード』の生みの親である三上真司プロデューサーから、衝撃の発表が行われた。その発表会を受けて、電撃オンラインでは三上氏への直撃インタビューを敢行。
GCへの独占供給という方針転換の背景には、いったいどんな意図があるのか? そしてゲームキューブで『バイオハザード』はどう変わるのか? 文字にして1万字を超える膨大な言葉の中から、三上氏が『バイオ』に、そしてゲームに託した熱い思いが浮かび上がる!
■もう一度『バイオ1』を作ることで、若いスタッフに恐怖の本質を発見してもらいたい
――今回、前作の『バイオ1』から5年ぶりにディレクターへ復帰されたわけですよね。これはやはり、『バイオ』という作品が大きくなって、三上さんがプロデューサー的な立場になったことで、自分で直接ゲームを制作できなくなったことへのストレスがあったんでしょうか?
三上:それは当然ありますよね。それはあるんですけど、一番の理由というのは、最初は『コード:ベロニカ』のディレクター(加藤弘喜氏)に、この仕事を振ろうとしたんですよね。どう変えるかの部分だけでも考えてよ、って。でも上がってきた内容が、なんかショボイんですよ。こんなオマケをつけてとか、ここをちょっと変えてとか。クリエイターとしてのレベルは高いのに、こんなことでお茶を濁すようなヤツじゃないだろうと。どうしたの、カトちゃん? って本人に聞いても、理由は言わないし。いろいろ考えてみると、他人の作った物を触るのはイヤなんじゃないかってわかったんですよ。彼らにとっては、『バイオ1』って恐れ多いところがあるみたいで、それを第3者が触ることをヨシとしない感じなんですね。それじゃあ、オレがやるしかないかと。
『1』のスタッフって、もう『バイオ』から離れていて、ほとんど残ってないんですよ。今の開発スタッフには、『2』や『3』の世代が多くて。でも、彼らに『バイオ1』をホントに分かってもらった上で、新しい『バイオ4』を作ってもらいたいと思ったんですね。ここらへんでオッサンが出ていって、ホンマモンの『バイオ』はこうなんや! って言うことで、それに対して「いや、そうは思わない」っていう彼らのバネがグーッと貯まっていって、それが弾けたものが『4』に繋がるんじゃないかなと。僕は彼らが波動砲を発射するためのエネルギーを、一生懸命に貯める役なのかなあと。基本が分かった上で初めて、新しい物ができるんですよね。1作目を知らずに「僕はこんな『バイオ』が作りたいんです」って言われても、何を根拠にそんなことを言ってるの? ってなっちゃう。ビジョンが明解じゃない。だから『デビル
メイ クライ』(※1)みたいな作品が出来上がったりするんですよ。あれはゲームとしては面白いんですけどね、ここまで違うと『バイオ』じゃないだろうって。
――『バイオハザード』という作品の定義が大きすぎる状況になってしまった?
三上:大きすぎるんですよね。やっぱり原点に帰って、本質を知ったうえで、若いスタッフで新しい恐怖を作ってほしい。あともうひとつ、新しいハードで新しいゲームを、ってやると、二重苦・三重苦になってどんどんしんどくなるんですよ。でも、『1』をもう一回作るってことで企画的な部分にレールが引かれていれば、表現であったり新しいハードをどう使いこなすかであったり、そういうことに専念できるんです。逆に、そうすることが『4』への近道にもなるんじゃないかと。二重苦・三重苦でいつまでも結果が出なくて、ここまでコストかけたんだからこのへんでそろそろ発売しようよって、そんな妥協はもうしたくないんですよね、『4』に関しては。シリーズとはいえ、僕たちはクリエイターなんで、毎回1から作るという気持ちで望んでほしいなあと思うんですよ。
■ひとつのハードで、できるだけ長い間ゲームを作り続けたい
――『1』をもう一回作るというのは、どのくらい前から動いていた話だったんですか?
三上:去年の暮れですよね。10月か11月ですよ。さっきお話ししたように紆余曲折があって、自分でディレクターをやるって決めたのが、12月の納会の時ですね。酒の席であんなことを決めるんじゃなかった(笑)。1月になってすぐプロジェクトが始まって、僕は部長職も兼ねてるじゃないですか。これは無理だって思いましたよ。なんてことをしてしまったんだって後悔しても、今さらって感じで。今でも泣きそうですよ(笑)。
――『1』を新しいハードでやるというのは、やはり『4』への布石というのが大きいのでしょうか?
三上:それは凄く大きいですね、やっぱり。
――では、それをゲームキューブでいく、っていうことに関しては、わりとすんなり決まったんですか?
三上:去年の暮れには、ほぼ決めてました。もちろん、儲けを考えるとリスクが大きいのは分かっているけど、もともとベンチャービジネスですからね、ゲームは。ヒットするかどうかは、発売してみないと分からないですから。僕としては、ひとつのハードでできるだけ長く作りたいんですよ。今、ハードの寿命がどんどん短くなってるじゃないですか。寿命は短くなるのに、新しいハードでちゃんとしたゲームが出るには、2、3年かかるんですよ。そのうち1年ぐらいは、新しいハードやツールに慣れるっていう期間でムダになってしまう。僕らはハードじゃなくてソフトを作ってるんであって、面白いものを作るのに労力の100%を使いたい。でも、技術を駆使しないとできないことがたくさんあって、そこはどんどんハイテク化して、すごくしんどくなってきましたよね。そういった部分でのロスを、できるだけしたくないっていうのがあって。
――新しいハードによって、新しいアイディアがひらめくのであればいいんでしょうけど。
三上:新しいハードは、そういう呼び水にはなるでしょうね。ネットワークだったり、そういうことのきっかけにはなるでしょうけど、それはしょせん、きっかけにしかすぎないですから。
――ゲームキューブで『バイオ』が出るって聞いたときにまず思ったのは、表現的に大丈夫なの? っていう部分なんですが。暴力描写的な部分で、問題はなかったんですか?
三上:そこは任天堂さんも迷ってましたね。結果的にOKを頂けたんで、今回の独占供給って話になったんですけど、もしそこがダメだったら、今回の話自体なかったと思いますから。ただ、本当はそこの部分って、任天堂さんがどう言うかじゃなくて、僕らソフトメーカーの問題であって。ハードメーカーさんが作品を作っているわけじゃないので、ソフトの表現についての責任を取るというのはおかしな話ですよね。本来、作品を作っているメーカーが責任を取るべきであって、ハードはレールでしかないですから。サーキットでF1レースをやっていて車がぶつかっても、サーキットを作ったヤツは誰だ? お前が責任を取れ! って話にはならないですよね。あくまでドライバー、つまり作り手の問題であって、ハードメーカーが責任を取る問題じゃないと思うんですよ。そういう意味では、任天堂さんがどんなスタンスでも関係のない話なんですけど、でも任天堂さんのハードで出す以上はやっぱり一応確認は取らないと、ということですね。
■デジタルな画面の中に、人の手が加わっている感覚を残したかった
――GC版の画面を見てすごく驚いたんですが、三上さんの中では『バイオ』という作品を発想した当時から、今回のようにリアルなクオリティを頭に描いていたわけですか?
三上:リアルにはしたいと思ってましたけど、でも実写ではイヤなんですよ。絵を描く人のセンスが、クリエイティブな部分に入ってこないと。手描き風なところを残したいというのが、コンセプトにあったんですよね。実写のような感じなんだけど、ただカメラでそこにある物を写したっていうのじゃなくて、手で描いたんだっていうアナログ感というか、職人が作りましたよっていう証しみたいなものを残したかったんで。
前作の『1』を作る前に言ってたのは、実写みたいなほうが望ましい、できるだけ緻密な映像のほうがいい、でも写真のようになってはダメだ、ってことなんです。写真になってしまうと、クリエイティブな要素が入らない。やっぱり手描き風なところを残したい。ちなみに映像方面の人たちのためにフォローをしておくと、カメラで撮るとクリエイティブじゃなくなるっていうわけではないんですよ。あくまで僕としては、手描き風なテイストを残したいっていうだけで。あと、写真のままで一枚絵の背景にすると、背景が死んじゃうんですよね。どんなに緻密に描かれてても、実際には何にも動かないじゃないですか。時間がリアルタイムに流れないから、世界が死んでしまう。『バイオ』っていうのは結局のところ、雰囲気を楽しむゲームなんですよ。それをどんな雰囲気かと聞かれたときに、「恐い」っていう冠をつけただけであって。
――建物に入ったとたんに寒気がするっていう、その雰囲気を味わうゲームだと?
三上:そうですね。そういう恐さがなかったら、たぶんホラーじゃない。僕はそこを求めてたんです。画面を出してみてビックリしたんですけどね、最初のときは。ポリゴンでやってみて、ぜんぜんその雰囲気が出なかったから……。
――自分が考えていたイメージより、クオリティが低かったってことですか?
三上:そうですね。普通はCGでできてスゴイよって思うじゃないですか。僕はプログラムを組んだりできるわけじゃなくて、そのへんはよく分かんないですから。こんなことできるんだ、けっこうスゴイなあと思ったり、やっぱり雰囲気が出ないと思ったり……今はもう、そんなことはないですよ。僕も経験をボチボチ積んできたんで、だいたいこんなものかなぁというのは分かるようになってきましたけど。でも僕はCGの技術的なところは知らないから、そのぶん自分の理想に近いところにできる限り持っていこう、っていう感じですね。今回のGC版でも、そこは引き継いでいるところです。
それと、前回はすごくやりたいと思っていたんだけど、今回は逆に切り捨ててるところもあって。それは映像のきらびやかさっていう部分ですね。そこに関しては、今回は切り捨ててるんですよ。渋い映像っていうか、玄人受けする方向に、どっちかというと寄せたいなという思いがあって。そこは前回と違うところですね。
――ハリウッド映画というよりは、ヨーロッパ映画の色味みたいな感じですよね。
三上:そうですね。それは、僕だけの思いじゃなくて、背景を担当するスタッフの個性や思いでもあるんですが。
――すごく、光というか、空気感があるという印象を受けました。
三上:空気感には凄くこだわりました。前から空気感ということは言ってたんで、今回は生(なま)感って言い方をしてますけど。
――部屋に光が差すと、ゴミというか埃みたいなものが浮いてるのが見えますよね。
三上:あれも、最初はスタッフがやりすぎちゃって、なんかゴロゴロしたものが浮いてる感じで、ギラギラして汚いものになっちゃって。もうちょっと細かくして、やっとOKを出したんですけど。映像的にはそういうノイズをのせないほうが、格段に綺麗ですよ。でもそこはあえて、ホラーなんだし生感を出したいし、背景のスタッフもどうしても死んだ絵はイヤだっていう強い思いがあって、今回のような形の絵作りになってるんです。
――綺麗な絵にすることと、作風や演出とはまた違いますよね。
三上:だから、今回は綺麗な映像じゃなくて、恐い映像を作ろうとしたんですよ。生きた恐い映像を。
――暗いところが、黒いんだけど黒くないみたいな。
三上:そうなんですよ。以前のハードでは、そういう暗さは出せなかったんですよね。真っ黒になっちゃって見えないんですよ。認識不能。でも今回は、暗いところでもよく見たら「あ、なんかいる!」とか、そういう微妙な表現ができるようになって、すごく良くなったなあと。前は、あんまり暗くて見えづらいから、ドアの脇には必ずライトをつけたりしてるんですよ。でも今回は、それを外そうって言ってるんです。ドアの目印みたいになってるから。空気が積み重なって海のように暗くなっていくパターンってあるじゃないですか。周りが暗くても、近くの物だったら見えますよね。暗い中を歩いていくと、ドアがうっすら見えてくる。それでいいやん、って思うんですけど。でも、ドアにガッ、ガッと明かりをつけちゃう(笑)。前作のときにユーザーさんから寄せられた苦情であったり、自分たちがテストプレイした時にドアが分からなくてハマった経験だったり、そういう記憶が刷り込まれていて、分かりやすくしないとヤバいって気持ちがあるみたいなんですね。別にそんなもん気にせんでええよ、ドアが見つからないなら、クリアできなくてもいいから、って、今はそう言ってるんですけど。
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