電撃ドットコム > 電撃オンライン > インタビュー > 『みんなのGOLFポータブル』

SOFT  


 PS、PS2とミリオンヒットを飛ばし続けている“超国民的ゴルフゲーム”こと『みんなのGOLF』シリーズ。携帯ゲーム機初登場となる『みんなのGOLF ポータブル』や携帯電話版など、新たな動きの見える『みんGOL』シリーズのキーマンにお話をうかがった。
<このインタビューは9月に収録されました>


●PSP版、携帯電話版の位置づけは?
――『みんGOL』シリーズって、とくにPS2になってからハードの進化にゲーム内容の進化が直結している部分があると思うんです。今回、PS2版に加えてPSP版が出て、携帯電話版が出てということで、それぞれの住み分けや位置づけについてご説明いただけますか?
小林康秀氏(以下「小林」敬称略):進化図的には、もちろん幹は一緒なんですけど、PSP版は新しい太い幹だと思うんです。携帯電話版は、これまでのコンソール(PS2などの据え置き型ハード)版の幹から出ているシンプル版という感じだと思います。
――PSP版よりも携帯電話版のほうが、コンソール版の根元に近いわけですね。そしてコンソール版という太い幹が枝分かれして、PSP版という新しい幹になっていると。
小林:そうですね。PSP版は、例え基本システムは同じでも、持ち運べることで遊びかたは大きく変わってきます。そういう意味でも“これまでの『みんGOL』シリーズから枝分かれした、もう1本の大きな柱”といえるでしょう。
――中央にどっしりと構える大きな柱(コンソール版)があって、そこからさらに大きな柱ができるわけですか。
小林:コンソール版というのは、おそらくスペック的には一番高くあり続けると思うんです。それが『みんGOL』で一番やりたいことの中心かな、という気はしています。家で遊ぶ据え置き版と携帯できるPSP版という分けかたでいうと……もちろん、ハードの能力差はあります。ただ、今回のPSP版で初めて「成長するマイキャラで遊べる」という要素を入れました。
――それは、新しい柱であるPSP版ならではの魅力ですね。
小林:成長要素については、昔からたくさんの要望をもらっていたんですね。でも、なんでやらなかったかというと……今までも「『みんGOL』ってひとりでやってもおもしろいけど、多人数でやるともっとおもしろいよ」といった言いかたをしていましたよね。例えば「ボクの家に4人が集まって『みんGOL』大会やろう」と。すると自分のキャラは成長しちゃっている。でも、ほかの3人の友だちのキャラは素の状態のキャラでやらなくちゃいけない。これってフェアじゃないでしょ? 自分だけが秀でている、というのはやめたい。自分だけが愛着のあるキャラを持っていて、ほかの人はありきたりのキャラでプレイする、っていう状況は作りたくない。こちらから提供するキャラで、自分の腕がどれだけ強いのか――強さの違いっていうのはキャラの特性はもちろんありますけれども――と、そこだけの勝負をして楽しんでほしい。そういう意味で、コンソール版に要望はたくさんもらいつつも、キャラメイキングとかキャラの成長といった要素は絶対に入れなかったんです。
――なるほど。
小林:でもPSP版っていうのは、必ずマイハードになるわけですよね。ようやく自分だけの愛着のあるマイキャラを持って、育てるというか、長く使っていける。“マイハード=マイキャラ”だから育てたキャラを持ち寄れるし、コスチュームの着せ替えもできる。「より愛着の持てるように」ってことが、今回初めてできるようになったんです。できるっていうか、やろうと思えばこれまでのコンソール版でもできたんですけれども(笑)。ただ“マイハード=マイキャラ”になったことで、ユーザー間で愛着度の差がつかないようにできると。PSP版では自分のキャラを作れる、愛着を持たせられるという部分で、コンソール版とは違うものになるのかな、と。
――そういう違いがあるわけですね。気の早い話ですが、コンソール版とPSP版とでは進化の形も変わってきそうです。
小林:それぞれ続編があるのかって話になりますが(笑)。今後の話はまだちょっとできませんけれど、あるとしても、違う進化をしていくという気がしてます。もちろん、『みんGOL』のコアな部分っていうのは一緒だと思うんですよ。誰でも簡単に楽しめて、必要十分な情報をもとに戦略を立てられて、その戦略どおりにうまく打てるかというアクションがあって……。あと、打ったときなどの気持ちよさ、「なんか気持ちいいね」っていう部分も共通です。PSP版も『みんGOL』には変わりないので、コアな部分は一緒です。けれど、ゲームの遊ばれかたが違うと想定しているので、別の『みんGOL』でもあるといえるでしょう。
――PS2版とPSP版に関しては、ユーザー層の違いというよりも遊ぶシーンの違いという認識なのでしょうか?
小林:そうですね。PS2版のユーザー層は、かなり幅広い、バラけた所有者層になっています。でもPSP版の発売タイミングでハードごと購入されるかたというのは、ある程度ゲームにお金を使える人、オピニオンリーダーでしょう。最初の1カ月で比較すると、『みんGOL4』の発売1カ月のユーザー層と『みんGOLポータブル』の発売1カ月のユーザー層とでは違いが出てくるかもしれませんね。ただ、ターゲットとしているユーザー層に違いはありません。
――PSP版にも、やり込み要素はたくさんあるんですか?
小林:成長という要素以外にもいろいろと用意しています。
――ちょっと気になったのですが……『みんなのGOLFポータブル』って、略称はどうなるのでしょう?
小林:『みんGOLポータブル』じゃだめ?(笑)
――『みんGOLポー』とか『みんGOLピー(P)』とか……ピーだと伏せ字みたいですけど(笑)。
小林:『みんGOLポー』とは絶対にいわないと思う(笑)。
――さらに略すと『みんポー』になるのですが(笑)。
小林:『みんポー』はありえるかな(笑)。
――今のところ、スタッフ内でも決まった呼び方があるわけではないんですね。
小林:(スタッフに)みんななんて呼んでるの?
スタッフ:『みんGOLポータブル』とか『ポータブル』って呼んでいますね。

●PSPの横長画面はゲーム性に影響する?
――PSP版は画面の比率が16:9の横長になるということで、それによる違いというのは明確に出てきたりしますか?
小林:まだ実際の画面をご覧になっていないと思うんですけど(※取材は東京ゲームショウ前)、結構大きく見えます。大きくというか、コースが広々と感じられます。
――画面写真を見る限り、情報量は変わっていませんよね? キャリー(ボールが落下するまでの飛距離)の表示が新たに追加されるなど、むしろ情報量が増えたという印象を受けました。
小林:チェックが細かいですね(笑)。ショット方法が変わるわけではありませんし、基本部分はそのままです。もちろん、つねに進化させたいと思っていますから、『4』で取り入れたライの左右傾斜表示もありますし、キャリー表示も新しく入れました。
――PS2とはハードの能力が異なるPSP版だからといって「進化しなくていい」というわけではないんですね。
小林:例えば、弾道の計算などの部分でも、後ろに戻っちゃいけない。より「気持ちい
い弾道」にとか、常に前にというところは、やっていかないといけない。そのうえで、今回のPSP版は持ち運べるということで、「持ち運びならでは」という部分を加えていくという考え方です。
――画面の効果、演出部分もハデになっているようです。
小林:見た目にも楽しめるように、これまでのシリーズでつちかった、描き文字(カップの“クルッ”など)やエフェクトを強調するようにしています。
――画面構成を細かく見ていくと、縦に潰れたというよりも「TVモニターサイズのメイン部分がそのままあり、その左右に広がった部分にクラブや風などの情報をずらした」という印象を受けます。
小林:プレイする時に、。左右方向に関してはゴルフゲームにはかなり重要なんですけど、上方向ってあんまり必要ないんですよ。むしろ「この比率のほうが広々とした感じが出るなぁ」っていうのがボクが初めて画面を見たときの印象です。
スタッフ:飛んでいるボールをカメラが追っていくときの迫力っていうのは、かなり違うと思います。景観が広がる感じといいますか。左右が広がったのか、上下が狭くなったのか、どっちに見られちゃうかっていうのは、カメラの位置だとか、いろんなバランスだと思うんです。それを「横が広くなって迫力が出る」と感じてもらえるように、キャラクターの頭身やカメラワークなどもPSP用に作っているので、そういうところも含めて実際にプレイしていただくしかないかな、と。
小林:実際にプレイすると広々としていますから。液晶が大きいってのもありますけど……。コンソール版の場合、プレイヤーがTVモニターからどのくらい離れてプレイしているのかにもよりますけど、PS2版と比べても小っちゃいって感覚はまったくしないですしね。
スタッフ:実際にPSPを持った場合、本体の大きさに対するあの画面の割合、大きさっていうのは、それだけでもインパクトがあると思いますよ。
小林:風景写真でも横長につなげてパノラミックに見せてくれると、上はないのに広々として気持ちいい感じになりますよね? それに近い感覚があります。
――コンソール版のようにTVなりモニターなりに左右されない、PSP独自のスクリーンを持っているわけですが、その特徴はありますか?
スタッフ:画面のレイアウトも、こちらの一番いい見せかたができるメリットがありますね。コンソール版の場合、TVによっては端っこが切れて見えなくなる場合も想定して、端を使えない状態でレイアウトしています。表示領域をかなり考えないといけないんですが、PSPは端っこが切れることがないので、みんなに同じ条件の画面を提供できます。さらに画面が横に長いので、真ん中にはユーザーに見せたい部分を大きく見せたうえで、必要な情報もきっちりと出せるんです。液晶はクッキリと出るのではっきりと表現できますし、ドットの細かさもかなりのものです。TVTのようにドットがにじむことを想定したグラフィックの作りかたと、液晶のにじまないグラフィックの作りかたも違ってきます。遠くの景色まできれいに出せるというのは、デザインのうえでも変わりますね。

●PSP版は通信機能が大前提!
――PSPで『みんGOL』を作ることが決まったとき、「『みんなのGOLF』という名前をつけつつも、これまでとは方向性の違うゴルフゲームにする」という選択肢はあったのですか?
小林:ないですね。まったくありません。タイトルを変えて、別のゴルフゲームを作るのなら方向性の違うものも考えたでしょうけど。ゴルフゲームのシリーズは2本もいらないですしね(笑)。『みんなのGOLF』という名前をつける以上、コアコンセプトは変えようがありません。愛着のあるマイキャラを育てていくという部分は『ポータブル』ならではだと思いますけれど、方向性の違うゴルフゲームはまったく考えていませんでしたね。
――PSPになって持ち運べるようになり、通信対戦も可能になりました。ファミレスなどにPSPを持ち寄って、育てたキャラで対戦するといった楽しみかたもできるようになったわけです。そういった遊びかたも視野に入っているのでしょうか?
小林:もちろんです。ぜひ、そういう遊びかたをしてほしいと思います。例えば「PSPに通信機能がなにもない」といったことであったら、たぶん違う企画にしていたでしょう。コンソール版に近くなってしまうので、どこに独自の要素を入れるのかで悩んだと思います。この『ポータブル』の場合、通信機能があるっていうのが大前提なんです。だから“マイキャラ”でいいんです、逆に言えばね。ひとりで閉じた世界じゃないので、マイキャラの意味もより出てくるわけです。
――自分のキャラをとことん突き詰めて成長させたマイキャラを、他人が成長させたキャラと戦わせることができる、と。閉じた世界ではそこで終わりだけど、開けているのでマイキャラ同士で楽しめる……つまりさらに先があるわけですね。
小林:まさにそうです。
――開けているというのは、日本中のプレイヤーと楽しめる『みんGOLオンライン』のコンセプトにも通じるところがありますね。
小林:ただ、“マイキャラ”ということばが一人歩きすると怖いんですけど……。RPG的な成長という部分だけをとらえられてしまうと、バランスが非常に悪い。
――自分のキャラだけが突出してしまうようでは、みんなで楽しめない?
小林:そうですね。PSP版は『みんGOLオンライン』のポータブル版でもあるわけです。成長だけでなく、そういう要素がうまくあわさって、初めてバランスのいいゲームになるんじゃないかな、と。最初からその両方を意識して進めてきた企画です。
――自分だけのキャラが作れ、なおかつそのキャラで他人ともバランスが破綻することなく楽しめる……大変そうですね。言うほうは気楽ですが(笑)。
小林:大変ではありますね(笑)。PSPは、オンライン機能をデフォルトで搭載しているウチで初めてのマシンですから、うまくやりたいと思っています。

●携帯電話版はどんな『みんGOL』になる?
――携帯電話版も登場しますね。
小林:携帯電話のスペック(能力)も、これからどんどん上がっていくとは思うんですけど、コンソール版などと比べると明らかにスペックに差があります。ですが、『みんGOL』のキモの部分はしっかり押さえないといけない。「ちゃんと考えればしっかりした戦略が立てられて、それをどう親指アクションすると、思ったとおりに打てるか」と。ちゃんと打てたショットなのか、戦略が正しかったのか正しくなかったのか、アクションがうまくできたのかできなかっのたか。それらのことが、必ずフィードバックされて、正しければ上達していけるようにしないといけない。
――それがないと『みんGOL』とは言えなくなってしまいそうです。
小林:携帯電話は液晶のサイズとか制限はありますけど、その中で「いかに気持ちのよいグラフィックを見せられるのか」とか、『みんGOL』のコアコンセプトというかスピリッツというか、そういった部分ははずせません。でも、それ以外の部分はハードの能力の限界があるため、はぶいていったり……。PSP版よりもさらに短時間でお手軽に、細切れの遊ばれかたを想定して、シンプルにしていかなくちゃいけないんです。まぁ、いうなれば「『みんGOL』のスピリッツが込められた簡易版」というのが携帯電話版の『みんGOL』かな、と。
――携帯電話版はどんな層をターゲットにしているのでしょう?
小林:もちろん、誰にでも遊んでほしいんですけど(笑)。「携帯のFOMAを持ってます。『みんGOL』っていうかゲームはあんまりやったことありません。『みんGOL』って名前は知ってます。やってみようかな?」といった流れで、『みんGOL』をやったことがない人も携帯電話版のターゲットになるかな、と思っています。これは非常に重要なことでして。
――新規ユーザー層の開拓になるわけですからね。
小林:携帯電話版を楽しいと思っていただければ、コンソール版やPSP版に来て頂けたり、あるいは『みんGOLオンライン』をやってみたいなと思っていただけたり。
――携帯電話版は『みんGOL』のユーザーの裾野をさらに広げるという目的もあるわけですね。
小林:携帯電話版に限らず、すべて広げたいと思っていますけど(笑)。
――(笑)。ただ、携帯電話版には「専用ハードを買わなくてもできる、唯一の『みんGOL』」という側面もありますからね。
小林:そうですね。
――携帯電話版の内容はすでに決まっているのですか?
スタッフ:
ゲームモードとか全体的な流れはほぼ固まっています。トーナメントがあったりと。ただメニュー的なところなど、遊びやすさなどについては詰めている段階です。パッと始めてパッと終われるようにしないといけませんから。
小林:携帯電話版に全国大会は入れますけど、リアル大会は入れません。回線落ちで無
理だろうと(笑)。
――もしリアル大会があっても、移動中には怖くて遊べなかったでしょうね(笑)。

●『みんGOLオンライン』ならではの魅力って?
――『みんGOLオンライン』って今後、どうなっていくのでしょう?
小林:ユーザー数って実はあんまり変わっていないんですよね。
――私はβ版からずっと常駐していますけど(笑)、けっこう波があるように感じます。「ここ1カ月ほど○○というオンラインゲームに行ってたけど、戻ってきた」とか。ここ1週間で3カ月ぶりに戻ってきた人と、立て続けに5人くらい会ったり(笑)。
小林:はいはい。
――最盛期に比べて減っているのは確かでしょう。でもヘンな表現になりますけど、なんだかんだいって、いるんですよね、人は(笑)。ロビーやリアル大会に出ている人数しか画面に情報として表示されませんけど、ストロークやマッチプレイをしていたり。
小林:全体のアカウント数というかユーザー数という部分でいうと、もっとたくさんの人が遊んでくれたらなぁ、という気分は正直あります。ただ、もともと廃人仕様にしてないんですね、あえて。例えば「1カ月間、別のゲームに浮気していたけど、ふらっと戻ってきてふつうに『みんGOLオンライン』を楽しんでいる」とか、そういうプレイスタイルは我々が理想としているというか、想定していた遊ばれ方なんです。
――3日ぶりにつないだだけでも「帰ってきたなぁ」って思っちゃうのですが(笑)。
小林:(笑)。絶対的なおもしろさっていう部分でいうと、ひとりで遊ぶっていうのと、みんなで集まって遊ぶっていうのと、遠くにいる人と遊ぶっていうのをどう比較するのかっていうのはありますけれども。『みんGOLオンライン』って、シリーズの中で一番おもしろいっていう気がしているんですね。未来永劫続けることはないと思いますけど、でも、『みんGOL』シリーズの中でもっともおもしろいと思っている『みんGOLオンライン』は、なるべく続けたいという気はあります。事情もいろいろとあるわけですが(笑)。
――そうでしょうね。
小林:サーバへの投資とか、けっこうなものがありますし、毎日の管理コストも当然ゼロではありません。
――ただ、常に新鮮な気持ちでプレイできるっていうのは、オンラインゲームならではの魅力ですよね。コンソール版の全国大会で「ミスショットしたからソフトリセットをするプレイ」が当たり前だったときには味わえない1打の重みも、オンラインゲームならでは、です。あれは、『みんGOLオンライン』をやったことのない人にはわからない感覚だろうなぁ、と。
小林:そうですね。どんなにAIを賢くして、ひとりでCOMと対戦しても、生身の人間のミスの仕方とかは、なかなか真似できないんですね。そこがおもしろいんです。相手が生身の人間だと思うことによって、自分にかかってくるプレッシャーとかですね。そこらへんはAIではまだまだ表現しきれないところではあります。
――コンソール版をやっていて「この1打を決めれば」といったシチュエーションでも、手が震えることってまずないですから。先日、『みんGOLオンライン』のG1大会に勝ったんですよ。最終ホールの3メートルもないイーグルパット、それもコースはグリーンが簡単なノーザンフォックス。にも関らず、手は震えるし、心臓はバクバクするし(笑)。
小林:わかりますよ(笑)。それこそがオンラインでないと味わえないプレッシャーでしょう。
――あと、リアル大会をやっていて実感するのが地域性ですね。地震があったときも、どの地方で揺れが大きいとか、コメントを書くホールが1つずれることで揺れるまでの時間差がわかったりとか(笑)。
小林:なるほどなるほど(笑)。日本各地にいる生身の人間が、同時にプレイしていることを実感できますよね、確かに。これを『みんGOL』でやったってことは、エポックメイキングなことだと思っていますよ。
――月額525円ほどの課金でこれだけ楽しめる、コストパフォーマンスのとてもすぐれた『みんGOLオンライン』だけに、これからもずっと続けてほしいと、心から願っています(笑)。

●まだまだ続く『みんGOL』シリーズ!
――『みんGOL』シリーズ全体の今後ってどうなるのでしょう?
小林:もし「『みんGOL』をやめる」っていったら、怒られるでしょう?(笑) PSPや携帯電話といったハードが増えて、ハードの進化やゲームの進化もありつつ……。それでも“みんな”のゴルフゲームであり続けることを、まだまだやっていきますよ。段々厳しくなっていきますけどね(笑)。
――え?(笑)
小林:というのも、スタートラインが違う人たちがいっぱいいるんです。『みんGOL1』から全部ずっとやってる人と、『みんGOL4』からやり始めた人と。
――スタートラインの違いって、そんなに気になるものなんですか?
小林:作っている側からすると、大変なことなんです。タイトルに「みんなの」ってつけている以上、シリーズファンのためだけのゴルフでもだめですし、シリーズファンを切ってももちろんだめですし。シューティングゲームの末路みたいになっちゃ、まずいわけですよ。
――コアとなるユーザー向けの調整といいますか、難易度を上げるだけでは新規ユーザーがついてこれないわけですね。
小林:難易度という部分ひとつとっても、シリーズを重ねるってことは非常に調整に気を使う部分ではありますね。あとはゴルフのルールを変えるわけにはいきませんから、そういった制約の中でどう進化させていくか、と。楽しい悩みですけどね。今回のPSP版はハードが変わるってことで、ある意味作りやすいんですけど。
――うまい人がやり込める要素と、「みんな」が楽しめるという要素が奇跡的に両立しながら続いているシリーズを、これからもうまく続けていってほしいですね。本日はありがとうございました。




小林 康秀 氏
小林康秀氏
 (株)SCE第1制作部部長兼エグゼクティブプロデューサー。初期から『みんGOL』シリーズに関わってきた、いわば“育ての親”。

聞き手:ウォルフ中村
 電撃PlayStationライター。レビューコーナーなどで活躍。スポーツゲーム、特にゴルフゲームには一家言を持つ。『みんGOLオンライン』は現在もプレイ中。

みんなのGOLFポータブル
画面写真
■メーカー:SCE
■対応機種:PSP
■発売日:未定
■価格:未定
■関連リンク:
  みんGOL.netPlayStation.jp

(C)Sony Computer Entertainment Inc.

『みんなのGOLF』シリーズとは?

これまで4作品が発売され、すべてミリオンヒットを飛ばしている超国民的ゴルフゲーム(『1』と『2』はPS、『3』と『4』はPS2)。簡単な操作で気持ちよくプレイできるのが一番の魅力だ。好スコアを出すには風を読んだりスピンをかけたりと、状況に応じた戦略を取る必要がある奥の深さもポイント。

●オンライン版
『みんなのGOLFオンライン』

『みんGOL3』をベースに作られたオンラインゲーム。知り合った人とチャット(会話)を楽しみながらラウンドしたり、同時に100人まで参加できる大会があったりと、『オンライン』でしか味わえない魅力にあふれている。生身のプレイヤーが相手だからこそ味わえる緊張感は、格別なものがあるのだ。

●PSP版

『みんなのGOLFポータブル』

『みんGOL』シリーズ初の携帯ゲーム機版。操作方法をはじめ、基本システムは従来のシリーズと変わらない。しかし、キャラに育成要素が入ったり、無線LANで対戦できたりと、これまでにはない要素も取り入れられている。収録されているコースは、すべて『ポータブル』のために作られたオリジナルだ。

●携帯電話版

『みんなのGOLFi』

携帯電話版の『みんGOL』で、FOMA900i専用アプリ。ちょっとした時間に1ホールだけプレイすることもできる手軽さが魅力。使用キャラをダウンロードして変更したり、他のプレイヤーとスコアを競うことのできる「オンライン大会」モードがあったりと、ケータイの特性を生かした機能にも注目!