美少女ゲームの音楽事情:第6回
7月16日発売『まじれす!!』……LittleWing、真理絵、紅涙妖魔
|
| 担当:電撃オンライン モンキー |
来る7月16日、すたじおみりすの新作『まじれす!!〜おまたせリトルウィング〜』が発売されます。ファミリーレストランを舞台とするAVGで、原画は特徴的なセリフ回しでコアな人気を獲得している、みさくらなんこつ先生(※1)。内容の細かい説明よりも前に、とにかくムービーのキャプチャー画像をいくつか見ていただきましょう。
 |
ファミレスで働く女の子たちが活躍します。 |
 |
スタジアムで戦います。 |
 |
料理が飛んでいます。 |
 |
みんなが料理を狙っています。 |
 |
強引な料理提供を見せます。
蹴ってる蹴ってる。 |
なんかこれだけで大体ゲームの雰囲気が伝わってしまいそうな。最後のカットが特にいいですね。ファミコンで某『キャプ●ン翼』(※2)に熱中していた世代にはたまらないものがありますね。しかもこれ、当時を彷彿とさせる芸細なドットアニメーションで動きまくります。
ちなみに『まじれす!!』はファミレス同士が覇権を競う「ファミレススタジアム」というバトルを中心に描くゲームで、全編になんだかとっても少年漫画チックなテイストが漂っています。主人公の兄が伝説の名コーチで、でも今は事故死しちゃってて、兄が残した店「リトルウイング」もちょっぴり落ち目で。代理コーチをしていた兄の妻が倒れて、主人公が変わりにスタジアムのフィールドへ躍り出るとか。うーん、スポ根ものっぽーい。ムービーを見てもらえればゲームの雰囲気はほぼつかめてしまうので、興味のある方はすたじおみりすの公式サイトでぜひチェックしてください。
そんなムービーを彩るのは、作曲:LittleWing、ボーカル:真理絵さんによる主題歌「NEVER GIVE
UP -世界へ-」。詞もどこかで聞いたようなフレーズが続出です。「お冷ひとつにキリキリ舞い」とか、ここでもやっぱり微妙に『キャプ●ン翼』チック。さて、果たしてどんな思いで主題歌が作り上げられていったのか? 美少女ゲームの音楽事情第6回は、LittleWingよりまにょっ氏、ボーカリストの真理絵さん、そしてすたじおみりす代表の紅涙妖魔氏にお話をうかがいます。
 |
【紅涙妖魔】
仁村有志氏のビジュアルが好評を博した『月陽炎』などで知られる、すたじおみりすの代表。几帳面な性格に見えるが、本人は「ずぼらですよ」と言ってはばからない。ライアーソフト(※3)と組んで破天荒な企画を次々と打ち出し、「ガチンコキャラバン」では10日間で全国を縦断するという偉業を達成した。なお、名前の由来については「好きな漢字の寄せ集めです(笑)。漢語で、“紅涙”には血の涙と女性の涙っていう2つの意味がある点も気に入っています」との答えが返ってきた。口ぐせは、短く叫ぶように「ちくしょう!!」。 |
 |
【まにょっ】
LittleWingコンポーザー。生音にこだわった曲作りや、妥協を許さない音楽への姿勢などに定評がある。『プレゼンス』主題歌「Wind
of Cronus」(※4)などを始め、数々の美少女ゲームで楽曲を発表。ちなみに名前は、パール兄弟の「君にマニョマニョ」にちなんで友人さんからつけられたのだとか。最後に小さい「っ」が入っているのは、「ライセンシー表記みたいなものです(笑)。“まにょ”というハンドルネームの人はいても、“まにょっ”はなかなかいないでしょう」とのことだ。 |
 |
【真理絵】
ボーカリスト。歌唱力もさることながら、ステージに立ったときのアクションが一級品。昨年11月に開催された『プレゼンス』のイベントでは、アクティブな振り付けで集まったファンを魅了した。『プレゼンス』の他にも、『胸キュン!はぁと
de 恋シ・テ・ル』ED曲「桜の木の下で」などでLittleWingとタッグを組んでいる。活発で明るく、周囲にそれとなく気を配ったりあえて流したりと、話していて楽しい気持ちにさせてくれる歌い手さんだ。 |
●まずはムービーのことから聞いてみます
電撃オンライン(以下DOL)「あのドット絵アニメーションには大笑いしました。どんないきさつで、あんなムービーが出来上がったのでしょう」
紅涙氏「最初から『キャプ●ン翼』っぽくしようという話をしていたわけではないんです。キャラクターですとか、設定などの打ち合わせを、原画のみさくら先生と「んじゃーどんなドタバタものにしようかねー」と話しているときに、ちょうどワールドカップがらみのビデオを見ていまして。それで『キャプ●ン翼』の話題が出て、ゲームに当て込んでいったらなんだか面白くなりそうで(笑)。URAさん(※5)にムービーを発注するときに「なんとなくそれっぽくしてー」と付け加えたらですね」
DOL「“強引な料理提供”が(笑)」
紅涙氏「僕としては、「ガッツが足りない!」とかそのくらいでいいと思っていたんですよ。それがあんなことになってて(笑)。こっちこそ頭をガツンとやられた気分です」
DOL「あのドット絵は、URAさんがご自分で描かれたんでしょうか?」
紅涙氏「でしょうね。ちょっとパッと入れてくれればいいんで、と提案してたのにメチャクチャ動いててビックリしました」
DOL「すさまじいまでの再現度でしたよ」
紅涙氏「当時のテ●モシアターは、あの制限の中で本当に熱い演出を見せてくれていましたからね。某『キャプ●ン翼』へ尊敬の想いを込めた……そう、パロディではなく、スタッフ一丸となってのオマージュだったんです」
DOL「そんな熱いムービーを彩る、OP曲を唄われた真理絵さんはいかがでしょう?」
真理絵さん「詞をもらったときは、すごく混乱しました(笑)」
紅涙氏「詞もそれっぽいですからねぇ〜」
真理絵さん「この詞、曲に乗ったらどうなるんだろう!? って驚いちゃって。エンディング曲も、あんな感じなのでしょうか?」
紅涙氏「エンディングは、しんみり……じゃないですけど、イメージ的には夕焼けの中で友だちとさよならをする、って感じですね。またね、という雰囲気の」
DOL「当初のイメージでは「冬のラ●オン」(※6)でしたか?」
紅涙氏「ぐはぁバレた!! いや実は、夕日の中で走ってる絵にしようかとか言ってたんですよ」
(真理絵さん以外爆笑)
DOL「歳がバレますな。いや、いい歌ですよね「冬のラ●オン」。あれ聴くと泣きそうになりますよ」
真理絵さん「あっはっは、な、泣きそう!?」
DOL「あーオッホン。エンディングは理多さん(※7)がボーカルを担当されているんですよね」
紅涙氏「そうですね」
真理絵さん「なんでも、歌だけでなくトークもとっても素敵な方だとかうかがってます」
DOL「イベント等で、お2人が競演されることに期待したいですね」
 |
 |
●この業界で活動を始めたきっかけ
紅涙氏「そうですね……もともと、ゲーム自体が好きだったんですよ。で、福祉系の専門学校に行っていたのになぜかコンパイル(※8)に就職しまして(笑)」
DOL「それはまた、どうしてですか?」
紅涙氏「友人の部屋へ行って「ゲーム作る仕事したいなー」とか膝を抱えてグズグズしていたらですね(笑)、友人がバン! と電撃プレイステーションを目の前に置きまして。「この雑誌に載ってる広告で人員を募集してる会社に応募しなかったら、部屋から出さねぇ!」とか言われたんですよ」
DOL「あら、光栄ですね(笑)。いい友人さんだ!」
紅涙氏「それでコンパイルへ入って、そうですね、『ぷよぷよ』関係の仕事とかしましたね。まんじゅうも作りましたし。コスプレや、着ぐるみに入ったりもしたっけなー」
真理絵さん「やーん、見てみたい(笑)」
DOL「なんのコスプレなんでしょう?」
紅涙氏「いやあの、マジで困るんで! 本気でそのキャラのファンの方とかに殺されそうですし。う、ウエイトだって当時はまだずいぶん軽かったですしね!?」
DOL「なるほど、ということはけっこうファンの人気が高いキャラのコスプレであると!」
紅涙氏「もうやめてーっ!!」
DOL「この道へ進むにあたって、影響を受けたゲームはありますか?」
紅涙氏「ホントに大昔で言ったら、『ハイドライド』とか『イース』とかの影響が大きいですね」
DOL「アクションRPG系ですか」
紅涙氏「リアルタイムで反応が返ってくるのが好きなんですよ。こっちの業界のソフトでは、エルフさんやアリスソフトさんのソフトの影響は大きいですね。音楽で言ったら……ガツーンと来たのは、Leafさんの『雫』でしょうか」
DOL「わかりました。まにょっ氏はいかがでしょう?」
まにょっ氏「音楽を始めたのは、学生の頃ですね。DTM(※9)をやってたんですよ。MIDI対応ゲームっていうのを買ってきまして、ベーマガ(※10)に載ってる楽譜を見ながら打ち込んだりね。別に楽器をやってたとか、そういう経緯ではないんです。それで、大学へ入ったときに、それまで何も楽器をやってなかったのに「俺バンドやるよ」って言って」
(一同笑)
DOL「ずいぶんと急展開ですね」
まにょっ氏「大学の入学式へ行ったときに、サークルの勧誘が盛んに行われていまして。ああ、俺はバンドだな! と決め込んでラテン系のサークルへ行ったんです。「俺、バンドやりたいんですけど」「楽器経験は?」「いえ、ないんですけど」そんなやりとりですね」
(一同爆笑)
まにょっ氏「そのバンドでギターを弾いていた人間から、曲を作らないかと誘われて。本格的に作曲を始めたのは、その頃からですね。ちょうどパソコン通信がはやりだしまして、ニフティ(※11)にオリジナル曲をみんなで持ち寄るようなフォーラムがあったんです。そこで、元チュンソフトの作曲家さんから仕事があるんだけど――って受けたPS版『かまいたちの夜
特別篇』スペシャルアレンジパックが、お仕事としては初めてになりますね。その作曲家さんは、今現在一緒にLittleWingで活動しているたくまる氏だったりするんですけども(笑)」
DOL「なるほど」
まにょっ氏「その流れで、『トルネコ2』のPS版から入っていったのが、仕事として本格化していった経緯ですね。ただ、そこからいったん途切れて……なんだろう、あんまり何をしたか覚えていないんですが」
(一同爆笑)
まにょっ氏「PCソフトの楽曲のアレンジをして同人で出したり、音関係のバイトをしたりといった感じですか」
DOL「個人事業主というわけですな」
まにょっ氏「いや、バイトですね」
DOL「フリーランスの音屋というやつですな」
まにょっ氏「バイトだなあれは」
紅涙氏「バイトにこだわりあるんか(笑)」
まにょっ氏「チュンソフトや同人の頃は、アレンジをしたり打ち込みをしたりで、イチからの作曲という感じではなかったですね。ただ、同人をやっているあたりから仕事の話が来るようになりまして。そして現在へ至る感じです」
DOL「LittleWingさんの楽曲は、民族色が強いという評判も耳にしますが」
まにょっ氏「特にメチャクチャ得意だ! とか、それしかやらない! というわけではないんです。ラテンのバンドをしていた関係で生音へのこだわりはありますけれど。パーカッションの生演奏者とか、スタジオに入れてますし」
DOL「あ、『プレゼンス』の「Wind of
Cronus 〜Late summer ver.〜」で変わった音色が聴こえるのはそのせいですか!」
紅涙氏「LittleWingさんは、毎回生音にこだわってますねー。ギターは必ず生演奏だし、打ち込みを使うにしても生から録った音を使っていますしね」
DOL「なるほど……。では、そろそろ真理絵さんに」
真理絵さん「ステキな雰囲気のお店ですねー」
DOL「……」
真理絵さん「落ち着いてていいですねー」
DOL「今回のインタビューは、都内某所の喫茶店で行われています」
真理絵さん「あー、このテーブルかわいー」
DOL「話を聞いてください!」
(一同爆笑)
DOL「いつ頃から、音楽を?」
真理絵さん「私、実は!」
DOL「実は!?」
真理絵さん「その昔、声優を目指してまして(照笑)」
DOL「ほうほう」
真理絵さん「ソウイウ専門学校に入ったのです。大志を抱いて、田舎娘がですね」
DOL「いやあの(笑)」
真理絵さん「でも、カリキュラムでアフレコの授業を受けていて、なんだか合わないなって思えるようになってしまいまして。恥ずかしい話なんですが、訛りが取れなかったんですよ。それで授業の時にも、クラスのみんなが笑ってて」
DOL「そりゃ、笑う方も笑う方ですね。訛りってキュート……というか、個性だと思うんですが」
紅涙氏「その土地の特色がある言葉って、魅力的ですよね」
DOL「方言娘ハアハア」
紅涙氏「ハアハアすんな!」
DOL「しゅん」
真理絵さん「ええ、私も「なんで笑ってるんだろー」とあまり気にはしなかったんですけれど。専門学校の授業の中には、ダンスレッスンもありまして。その時間が一番楽しくて、授業でダンスに触れて「私にはこれだ!」って思ったんです」
DOL「ふむふむ」
真理絵さん「それで転科したんです」
DOL「転科?」
真理絵さん「私が通っていた専門学校は、1年ごとにコースを変更できる、転科ができるところだったんですね。それで、ミュージカルコースへ転科して、卒業時にミュージカルの劇団を受けて合格しました」
DOL「ミュージカルの劇団出身ですか! 踊り、うまいわけだ……」
真理絵さん「その後、劇団にいた人とダンスユニットを結成したんです」
DOL「踊り、うまいわけだ……」
真理絵さん「いえそんな(笑)。まぁそのユニットは結局解散したんですけれど、解散のときに出会ったのがLittleWingさんですね。私たちがお世話になっていたスタジオが、LittleWingさんも使っていたスタジオだったんです」
DOL「なるほどー」
真理絵さん「そこからいろいろとお世話になって、ゲームの主題歌なども唄うようになったのが、現在へと至る顛末です」
●この業界を取りまく音楽事情……「OP、EDの切り分けを打破したい」
まにょっ氏「会う人には、ご高説をいただくんですが……ごめんなさい、実は動向とかって語れるほど理解しきれていないんですよね。正直、自分のことで手一杯な状態です。生きるか死ぬかですよね」
DOL「命がけですね」
まにょっ氏「いやもう、本当にいつ食いっぱぐれるかわからないですから(笑)。パティシエの資格でも取ろうかと思っているくらいです」
真理絵さん「あははっ(笑)」
DOL「まにょっさんは、お菓子作り、得意なんですか?」
まにょっ氏「それが実は全然。料理もお菓子作りも全くダメですね(笑)」
紅涙氏「でもこの業界、お菓子作りする人多いですよ」
まにょっ氏「作曲をしている人ですと、OdiakeSさん(※12)とかお菓子作り上手ですよー」
紅涙氏「え、僕もお菓子作るの好きだからなんか悔しい! チーズケーキとか作るの得意ですよ! シュークリームも膨らませられますよ!! ちきしょー、負けられねぇ!!」
DOL「なにを張り合ってるんですか(笑)」
真理絵さん「そういえばOdiakeSさんがおっしゃってたんですけれど、作曲とお菓子作りってちょっと似てるそうですね。作曲で音符をきめ細かに組み上げていくのと、キッチリ分量を量ってお菓子を作っていくのと」
DOL「そ、そんなものでしょうか? Blueberry&Yogurt(※13)の高松アンド氏(※14)もお菓子作るの上手だったなー」
紅涙氏「や、ヤツには勝てる気がしない! ちきしょー!!」
DOL「はっははは(笑)。えー、話を戻しまして。紅涙さんは、この業界の音楽についてどうお考えですか?」
紅涙氏「うーん……そうですね……」
DOL「はい」
紅涙氏「いま、全体的なムーブメントとして、OPとEDで切り分けてしまっている部分がありますよね」
DOL「!」
紅涙氏「OPソングがあって、EDソングがあって、別物としてBGMがあって。アニメのボーカル曲みたいになってますよね。アニメって、作品と全く関係のない詞と曲を、作品と全く関係のない新人が唄っていたりする。それが、この業界にも感じられるようになってきているんです。そういうの、打破したくてしょうがないですね。もちろん、ゲーム内容やBGMと密接に関係したOPやEDソングだってありますけれど、ちょっと最近切り離されてるものが多いように感じています」
DOL「紅涙さんとしては、それを打破していきたいと」
紅涙氏「そうですね、僕なら例えば……OPにしてもヒロインの娘に唄わせて、さらにゲーム中でもアカペラで唄わせるとか。そしてEDでは、ゲーム全体を振り返る詞であるとか、その後に続いていく詞を唄い上げる、と。軽いレベルの話ですけれどね。本腰を入れたらもっといろいろ仕込みますし、ちゃんと作るとなれば予算とかいろいろ難しいことになりますが(笑)」
DOL「急に生々しい話が(笑)」
紅涙氏「そういう意味で、『Quartett!』(※15)って本当にスゲーなぁと思いましたよ。ゲームのボリュームとしても2〜3時間で終わるっていうちょうどいいサイズでしたし」
DOL「短いと感じるユーザーもいたようですが」
紅涙氏「うーん、盛り上げ方や満足度を、純粋なテキスト量で計っちゃってるんじゃないでしょうか。むろん長いがゆえに秀逸なものもあります、最近でいえば『Fate』とか。でも、自分は『Quartett!』をやって、このボリュームは気持ちいいな、このボリュームだからいいな、って思ったんですよ。2〜3時間なら2〜3時間で、その中にドラマやクライマックスをきちんと内包している。アニメ作品の感覚ですね」
DOL「TVアニメでしたら、1話30分程度ですね、大抵」
紅涙氏「そうですね。今回の『まじれす!!』もアニメを意識した作りになっています」
DOL「ムービーも、左上にちゃんと「6:30」の文字が出てますしね(笑)。ムービー内で1分経つと、しっかり「6:31」になるのには「小技効いてるナァー!」とか思いました」
紅涙氏「あああ、でも! 『まじれす!!』はまさに、アニメ作品っぽい作りを意識しているので、「言ってることとやってることが違うじゃーん!!」と突っ込まれるかも!?」
DOL「作品本編と歌が切り離されてる!?」
紅涙氏「い、いや、今回はあえてそれを狙ってるので! 切り離されていると言っても詞や曲はバッチリリンクしてますし、真理絵さんのボーカルも作品の内容をイメージしてのことですし」
DOL「………」
紅涙氏「ちくしょう!!」
(一同爆笑)
●細かいこともいろいろと
DOL「突然ですが、宝くじで1億円当たったらどうしますか?」
まにょっ氏「もう、隠居を……」
紅涙氏「早いなおい(笑)」
真理絵さん「スタジオ作りたいですねー」
DOL「スタジオですか?」
真理絵さん「ボーカル録りスタジオ兼、ダンススタジオ兼、カウンターバー!!」
紅涙氏「みんなで集まって歌録って、みんなで飲んで、泊まって!」
まにょっ氏「それはいい!」
DOL「ときには夢のある話を」
(一同爆笑)
DOL「紅涙さんは?」
紅涙氏「自分ね……いまね……メチャクチャ欲しいものって、もうないんですよ……」
DOL「大人だ……」
紅涙氏「子どもの頃って、1億なんて手の届かない想像上の大金だったじゃないですか(笑)。でもいまは少なくとも、想像もつかないような金額ではなくなっていますよね」
DOL「会社を代表する人間は違うなァー」
真理絵さん「ねー」
紅涙氏「1千万をポンと親に贈って、残り9千万は貯金ってとこでしょうか」
真理絵さん「親!」
まにょっ氏「親!」
真理絵さん「いやだわ、発想が出てこなかった……親不孝でごめんなさい……」
紅涙氏「いやあの、親には迷惑だけしかかけてこなかったし、後ろめたかったんですよ」
DOL「ははは」
紅涙氏「ははは、じゃなくて。そういうあなたはどうなんです」
DOL「は? 私ですか?」
紅涙氏「そうですよ」
DOL「いやあの……まいったな、自分に質問が返ってくるなんて想定してなかった……」
紅涙氏「……」
真理絵さん「……」
まにょっ氏「……」
DOL「うーんうーん、仕事はやめないと思います、1億当たっても。この仕事好きですし。取材に行ったり、人と会ったり」
紅涙氏「本気かコイツっ(笑)」
DOL「あと、実は1億って微妙な金額ですよね。なんでもできるかというとそうでもない」
紅涙氏「温泉でも掘りますか。アンダーで5千万必要とかって言いますよね」
DOL「掘って出たら?」
紅涙氏「温泉付きスタジオ!!」
まにょっ氏「それはいい!」
(一同爆笑)
DOL「ええと、今現在の仕事以外でやってみたい職業とかってありますか?」
真理絵さん「ダイビングのインストラクターかしら。マイブームです!」
まにょっ氏「……うーん……」(困惑)
DOL「作曲家の方にこの質問をすると、よく「音楽一筋だったので他のことは想像がつかない」という答えが返ってくるんですが……」
まにょっ氏「カ、カッコイイですね(笑)。でも、うーん、本当にそうなのかな、ごめんなさい」
(一同笑)
まにょっ氏「学生の頃、ログイン(※16)をよく読んでましてね。音楽を始める前は、編集部に入りたくて仕方なかったですね。もう、本当に楽しそうでしたので」
DOL「編集は避けた方がよろしいかと……」
紅涙氏「この仕事やめないって言ってたじゃないか(笑)」
DOL「そうおっしゃる紅涙氏は?」
紅涙氏「あれ? ムム?」
真理絵さん「喫茶店のマスターとか?」
まにょっ氏「うわ、似合いそう(笑)」
紅涙氏「いや、やってみたいという気もしますが、おそらく3日で飽きますね(笑)。じっとしてるのが性に合わないので」
真理絵さん「マスター♪」
紅涙氏「ぐわ、言われてぇ!!」
DOL「どっちなんだ(笑)。えー、では次に、1週間休みがあったら何をしますか?」
紅涙氏「旅行、行きたいですね。年に2回は旅行に行こうと、自分に課しました(笑)」
DOL「ウウム、旅行という返答も多いですね」
まにょっ氏「僕もそうですね。城めぐりとかしてみたいです」
紅涙氏「いいですな! ドイツとか!?」
まにょっ氏「ドイツもいいですね。あとはイギリスとか、古城をめぐるような」
紅涙氏「うはー」(幸せそう)
まにょっ氏「歴史を感じるところを歩いてみたいですね」
紅涙氏「歩いているだけで音楽が聴こえてきそう、みたいな」
まにょっ氏「採り込みたいですね」
紅涙氏「いまはスペインとかも行ってみたいですね。フラメンコを生で見てみたい」
真理絵さん「あ、それは私も! 踊りで参考にできるところがあるかも」
DOL「この業界で仕事をしていて、得したことは?」
まにょっ氏「通勤がない」
(一同爆笑)
紅涙氏「あーでも……それはあるなー……昔、通勤してたんだよな……いまからじゃ信じられない」
真理絵さん「生楽器の収録を、この目で見て、耳で聴けることでしょうか。スタジオワークがとても好きなので、エンジニアさんの手元をじっくり見ていたり。「Wind
of Cronus 〜Late summer ver.〜」のときはパーカッション奏者の方がいらしたので、叩いてるところをずーっと見ていたんですよ」
DOL「反対に、損したことは?」
紅涙氏「いわゆるユーザーから上がってきた人間なので、天上人と思っていたクリエイターの方々と一緒に仕事をできたのは嬉しかったんですよ。ただ、その反面ファン心理を抑えなきゃいけない、という部分もありまして。そこが辛かったといえば辛かったですね」
DOL「なるほど」
紅涙氏「あと、純粋にいちファンとして楽しめるゲームがどんどん減っていくのが……。その作りは違うんじゃないかとか、いちいち考えちゃうんですよね。知り合いからも「なんで素直に楽しめないんだ!」ってよく言われます(笑)」
まにょっ氏「それはありますね。自分も、例えばテレビでバラエティを見ていても「その選曲は違うんじゃないか?」とか思っちゃうことありますし(笑)」
DOL「真理絵さんもそうだったり?」
真理絵さん「いえ、私はそういうのは全然。毎回反省だらけです。次の収録こそ! というのはありますが、損したことや辛かったことはないですね」
紅涙氏「素晴らしい」
DOL「座右の銘を教えてください」
紅涙氏「人の不幸は蜜の味」
DOL「うわぁ……」
紅涙氏「ごめんなさい、半分はネタ狙いなんです(笑)。人が不幸になっているところにつけ込め! ということではなく、人が落ち込んでいるときこそ自分を伸ばすチャンスだ! というのが実のところですね」
真理絵さん「私は、けせらせら、ですね」
(一同爆笑)
真理絵さん「子どものころ、ふっと頭に浮かんだ言葉なんです(笑)」
まにょっ氏「僕は……情けは人のためならず、でしょうか」
紅涙氏「い、いい人だ!」
DOL「蛇足ですが、これはいい意味のことわざです」
紅涙氏「誰に説明してるんですか」
DOL「たまに素で勘違いしてる人いますし」
紅涙氏「ああー……まぁ、超たまにですけれどね(笑)」
●今後の展望について
DOL「今後の活動について、目標や目指すところがあればお聞かせください」
紅涙氏「真理絵さん、ピンでライブやってくださいよ」
真理絵さん「えぇっ!?」(素で驚く)
紅涙氏「スーパー真理絵ライブとか」
DOL「マリオがなんですって?」
紅涙氏「いや真理絵ですよ、真理絵(笑)」
まにょっ氏「スーパー真理絵ブラザース?」
真理絵さん「どんなんですか(笑)」
DOL「真理絵さんが、唄って踊ってるときに……」
紅涙氏「アニキなブラザースが後ろで踊ってる?」
真理絵さん「うわぁ……」(困惑)
紅涙氏「パーカッションは筋肉を強打する音」
まにょっ氏「生音にはこだわっていきたい」
DOL「面白そうだ!!」
(一同爆笑)
真理絵さん「えー、ええと、ライブ。ライブね。やってみたいですね。やっぱり、体を動かすのが好きですから」
DOL「こんなテイストの曲をやってみたい、などの希望はありますか?」
真理絵さん「んー、そうですねー。わりと、今現在でいろんなジャンルでお仕事をいただいていたりしますので、特にこれを! というのはないかもしれません。もちろん、現状で満足してしまっているわけではないので、今後もどんどんいろんなジャンルに挑戦していきたいです。アップテンポ系の曲が好きなのはありますけれど、ブラックなものに憧れたりもしますし」
DOL「まにょっさんはいかがでしょう」
まにょっ氏「……」
DOL「?」
まにょっ氏「かなり……その日暮らしだったんで……今後も全力を尽くすとしか……」
(一同爆笑)
まにょっ氏「あ、でもですね。1本まるごと、RPGのBGMをやってみたい、と常々思っています。いくつかお仕事させてもらってきてますが、ちょっと方向性が凝り固まってきてる感じがありますので」
DOL「RPGとなると、いろいろなシーンに合わせた曲が必要になるでしょうしね。街、戦闘、王宮、レクイエム、etc」
まにょっ氏「そうですね。ただ、歌ものをないがしろにするということではありません。BGMって結局、家にこもって1人の作業になってしまうので。歌を録るとなれば最低でもボーカリストさんとの共同作業になりますし、生ギターを入れればギタリストさんが来る。自分以外の人が参加することで、曲についてせめぎあったり、自分の想定していないところから音楽性が広がったりするんです。その刺激は、かけがえないですね」
DOL「では、紅涙さんお願いします」
紅涙氏「音楽的な方から話しますと……予算がないからって、どんどん発注のギャランティを下げることはしたくないですね。音楽畑の方々も、生活レベルが保障できるくらいの域は保ちたいという。コンシューマの方でも、ひどいのだと1曲●万円いかないとかありますしねー。そ、それでやってくれるの!? ウチも振っていい!? って思っちゃいましたよ(笑)。でも、安く受ける人、安く振るメーカーがいるとどんどん下がっていっちゃうんで。それで悪くなっていったのがアニメの業界ですしね。いい音楽、いい作品を今後も発表するために、最低限このライン! というのは死守したいです」
DOL「ゲーム作りについてはどうですか?」
紅涙氏「基本的に、他のメーカーさんがやらないことをやっていきたいですね。さっきまにょっさんがRPGとおっしゃいましたけど、ウチでももう1回アクションRPGを作りたいですね」
DOL「『SinsAbell』(※17)に続くもの、ですか」
紅涙氏「システムや遊びやすさをもっと強化したいですね。ポリゴンものですと、綺麗さで到達しつつあるメーカーさんもありますので、ウチは絵よりもゲーム性を追求していきたいです」
今回は、音楽のみに絞ったインタビューというより、モノ作り(ゲームだったり音だったり)の姿勢についてお話を聞いてきました。少しでも興味が湧いたなら、試聴曲やデモムービーで作品の世界に触れてもらえると嬉しいですね。
・ ・ ・ ・ ・
今後もこんな具合に、「美少女ゲーム」と「音楽」をキーワードとして、さまざまな方からお話をうかがおうと思っています。読者の皆さんで、「あの人に話を聞いてほしい!」「この質問を、アイツにぶつけてこい!」なんて要望がありましたら、こちらまでメールをくださいませ。実現できないかもしれないけど、実現できるかもしれません。
『まじれす!!〜おまたせリトルウィング〜』
■メーカー:すたじおみりす
■対応機種:PC(対応OS:Windows98/ME/2000/XP)
■ジャンル:AVG
■発売日:2004年7月16日
■価格:9,240円(税込)
 |
|
|
(C)2004 すたじおみりす
|
★用語解説
※1【みさくらなんこつ】
かわいらしい絵柄とは対照的なほどの、過激なセリフ回しで知られる漫画家。「あみ゙ゃあぁ゙〜っ!!」や「おーっおおーっ」「しゅきぃぃーっ」などは、一度見たら忘れないほど。あ、でも18歳未満のお客様は見ちゃいけません。
※2【某『キャプ●ン翼』】
1988年にファミコンで発売された、テ●モのソフト。スポーツものの漫画を原作としていながら、コマンド入力で試合を進めるという斬新なシステムが話題となった。というか伏字にしている意味がないような気がしてきました。
※3【ライアーソフト】
『腐り姫』『キャノンボール』などを代表作とするPCソフトブランド。オーディションで声優を決めてからゲームの制作を始める企画など、常に革新的な姿勢でモノ作りに挑む熱きクリエイター集団だ。
※4【Wind of Cronus】
2003年に発売された『プレゼンス』の主題歌。真理絵さんの伸びやかなボーカルや、まにょっ氏による鮮やかなメロディライン、変わった音色のパーカッションなどで話題に。関連記事で試聴曲を公開中なので、ぜひ一度チェックしてほしい。
※5【URA】
すたじおみりす作品では、他に『SinsAbell』(※17、後述)のムービー制作なども手がける。2次元の素材であるはずのゲーム画面やイラストを駆使して、奥行きと動きのある映像を制作しちゃうすごい人。また、まにょっ氏が音楽で参加しているインターネット絵本「ユッカ」は、URA氏がイラストを担当している。イラストレーターとしても、ムービー制作者としても一流の、多才なクリエイターだ。
※6【冬のラ●オン】
アニメ版「キャプ●ン翼」の、ED曲。詞が泣かせる。男の悲哀を唄い上げている。と言ったら、真理絵さんにクスクスと笑われた。そんなに不似合いですか、僕には!!
※7【理多】
声優としてゲームに出演するだけでなく、作詞やボーカルでも活躍。関西弁を交えたトークは破壊力抜群で、マイクを握らせたら敵なし。
※8【コンパイル】
一世を風靡したパズルゲーム『ぷよぷよ』を作ったメーカー。『ぷよぷよ』のヒットを受け、関連グッズとしてまんじゅうを発売したことでも有名。多角的な展開に目を奪われがちだが、ファミコン時代に名作シューティング『ザナック』を開発しているなど、素晴らしいゲームを作る力を持ったメーカーさんだった。なぜ過去形か。なんというか、2003年11月21日に、本格的な、あああ。
※9【DTM】
Desk Top Musicの略で、音作りの作業をパソコン上で行う手法のこと。それなりに処理速度が速いマシンと、DTM用のソフトがあれば誰でも音楽を作れてしまう手軽さが魅力。およそ演奏ミスというものが存在せず、やり直しやとりあえずセーブ(?)ができるなど利点が多い。
※10【ベーマガ】
電波新聞社より、1982年に創刊された雑誌「マイコンベーシックマガジン」のこと。プログラム初心者向けの解説や各種コラムなど、充実した内容でパソコンユーザーに広く愛読された。惜しまれつつ、2003年5月をもって休刊。
※11【ニフティ】
プロバイダー業者「@nifty」の前身「ニフティ・サーブ」のこと。インターネット普及以前、マシン同士を電話回線で繋ぐ「パソコン通信」全盛期に大手商用サービスとして誕生。特定の趣味、嗜好、話題ごとに細分化された「フォーラム」を持ち、現在のインターネットにおける掲示板やチャットもすでに存在していた。ディスプレイの先にいるであろう“あの人”に恋してしまう……といった現象はすでに確認されていたようで、遠く離れた想い人への気持ちを切々と唄い上げる名曲「悲しみのニフティ・サーブ」なども生まれている。
※12【OdiakeS】
数々の美少女ゲームに参加しているコンポーザー。代表作に『プリズムハート』、『とらいあんぐるハート3』、『PIZZICATO
POLKA 〜彗星幻夜〜』などがある。最新作は、7月23日にF&Cより発売される『ホワイトブレス』。
※13【Blueberry&Yogurt】
※7の理多さんと、コンポーザーの内山氏による音楽ユニット。いい意味でお互いに遠慮がなく、仲良くケンカしながら(笑)真摯な音楽制作を続ける。主な活動については、このへんやこのへんの記事を参照してもらいたい。
※14【高松アンド】
※13のBlueberry&Yogurtにおいて、衝突する2人をなだめる「かすがい」のような存在。その実態はサウンドエンジニア。そしてイケメン。バイという噂もあったが、本人は否定している。特技はお菓子作り。
※15【Quartett!】
2004年4月に、Littlewitchから発売されたPCソフト。マグノリア音楽院を舞台とするAVGで、マジもんで四重奏を採り入れたBGMなどが話題に。漫画のコマが次々に画面へ飛び込んでくるような画期的システム「フローティング・フレーム・ディレクター」が特徴。
※16【ログイン】
1982年創刊。前述のベーマガとともにパソコン専門誌として愛読され続け、現在も元気に刊行中。数々のバカ記事(むろんいい意味で)で知られ、熱心な読者を生んだ。そのバカさ(本当にいい意味で)は、ファミ通やテックジャイアンにも引き継がれている。
※17【SinsAbell】
すたじおみりすが2002年8月に発表したPCソフト。なんと3DのアクションRPG! URA氏が制作したムービーで話題になった。インタビュー中の紅涙氏の発言には、チラッとこれの流れをくむゲームらしきものの企画も?
■関連記事
2004年5月26日
ガチンコキャラバン無事終了!思い出を語る「おかえりなさい」イベントをレポ
2004年5月14日
取材に行ったら電撃拉致!?「みりす&ライアー
ガチンコキャラバン」道中記
2004年3月18日
歌の真理絵さんからコメントも到着!『プレゼンス』サントラ、明日より通販開始
■前回までの記事
2003年4月12日
美少女ゲームの音楽事情:第1回 ゲームプロデューサー 金杉はじめ
2003年6月20日
美少女ゲームの音楽事情:第2回 主題歌CDは一週間で完売!『DAパンツ』のみせた驚異の「勢い」
2003年7月25日
美少女ゲームの音楽事情:第3回 サーカスの日は続いてゆく……元ドラマー、tororo団長の野望!
2003年12月19日
美少女ゲームの音楽事情:第4回 キュンキュンの発信源を北の大地に探れ!
人気音楽集団・I've
2004年4月1日
美少女ゲームの音楽事情:第5回 漢・bamboo、無職を経て工場長に! 2004年にどんな音を紡ぐ?
■関連サイト
・すたじおみりす
・LittleWing
・鞠音家(真理絵さん公式サイト)
|