interview
黒川孝幸
ファンキーな生き様とギターの腕前には定評がある、smart代表。イレギュラーがつきもののゲーム制作を生業としているせいか(そして、責任を全て負う「代表」を役職としているせいか)アバウトな人柄に見られがちだが、実は几帳面で真面目な性格。それを象徴するかのようにsmart社屋は極めて整頓されており、何かと散らかしたがるスタッフに目を光らせていた。キレのいいトークでも知られ、今年の7月に開催されたイベント「ライブ・ボイスタイプ」では総合司会も務めている。

有子瑶一
『フォーチュンクッキー』及び『セレクト』原画担当。繊細なタッチと色気を併せ持つ、キャッチーな絵柄で人気上昇中。ユーザーだけでなく、流通やショップからも「smartさんの作品で、ぜひまた有子さんの原画を!」との要望が殺到したことが、注目度の高さを裏付けている。周囲のやり取りや雰囲気をさりげなく気にかけ、押すときは押し、引くときは引く。気配りと飽くなき追求心を胸に秘めた、今後が楽しみなクリエイターだ。

 
 interview 2004年9月22日(水)
ファンディスクとは呼べないボリューム!
9月24日に『フォーチュンクッキーセレクト』を発表するsmartを直撃!

9月24日発売、『フォーチュンクッキーセレクト』。『フォーチュンクッキー』(3月19日発売)のファンには嬉しい、ショートシナリオ&壁紙集だ。もちろん、女性キャラはフルボイス。楠鈴音さんや理多さん、榎津まおさんなど、豪華な声優陣の競演も魅力の1つとなっている。
福引で当てた温泉旅行で何かが起こる?「Away from home」(シナリオ:J・さいろー)や、宇宙とのコンタクト(?)が描かれる「A.I.」など、書き下ろしショートシナリオは全6本。これに雑誌付録として収録されていた2本を加え、合計8本が楽しめる。ちなみに写真は、書き下ろしのうちの1本「そこにある笑顔」(シナリオ:秋 史恭)のイベントCG。魅惑のピンクタイフーン(?)真由奈が大暴れするお話……らしい。
ショートシナリオだけでなく、壁紙集や版権イラスト(テレカ等の描き下ろし)集も。写真は、松竜氏による壁紙だ。
(C)2004 smart

 smartは、9月24日に『フォーチュンクッキーセレクト』を発売する。2004年3月19日に発売されたPCソフト『フォーチュンクッキー』を題材とするショートシナリオ集で、下記のシナリオライターがそれぞれ1本ずつ担当した、合計6本の物語を楽しむことができる。
 
■『フォーチュンクッキーセレクト』参加シナリオライター(敬称略・50音順)
 秋 史恭
 久保 南
 J・さいろー
 たにみちnon
 林 ふみと
 芳右島ドリル

 
 もちろん、原画の有子瑶一さんによる新規イベントCGもふんだんに採用。総勢9名の絵師による壁紙や、かつて雑誌付録として「VOICE-TYPE」と「TECH GIAN」に提供されたシナリオも収録している、ファンには嬉しい1本だ。『セレクト』の発売に向けて、smart代表の黒川孝幸氏と、原画の有子瑶一さんにお話をうかがった。以下で紹介していこう。

 
●『セレクト』というタイトルについて
電撃オンライン(以下DOL)「ではまず、『セレクト』というタイトルの由来から教えてください」
黒川孝幸(以下黒川)氏「まさに「選りすぐり」ですね。ファンディスクというよりは、作家のコラボレーションに近いです。色々な人に、この『フォーチュンクッキー』という題材を、多角的にいじってもらう……そんな感じでしょうか」
有子瑶一(以下有子)さん「ショートシナリオ集と謳ってはいますが、書き下ろしシナリオが6本で、イベントCGも新規のものがたくさん用意されていますしね」
黒川氏「ただ、いい意味でも悪い意味でもバラエティ豊かになってしまったのも事実でして。ショートものが得意とか、題材によって作家性が見え隠れしたりとか。ショートシナリオ集だけに、比較しやすいんですよ」
DOL「なるほど」
黒川氏「数人集まっての合作スタイルとなると、どうしてもね。ただその分、多様な趣味のユーザーに楽しんでもらえるのではないかと思っています」
DOL「やはり、前作にあたる『フォーチュンクッキー』をプレイしておいた方が、『セレクト』をより楽しめるものでしょうか?」
黒川氏「そうですね……初めての方でも、楽しんでもらえる作りにはなっています。収録されているシナリオも、ギャグから感動系まで幅広く取り揃えられていますし。ただ基本的なコンセプトが「前作を知っている人に喜んでもらいたい」なので、『フォーチュンクッキー』をプレイしておいた方がより味わい深いと思います」
DOL「雑誌の付録として収録されていた特別編2本が、『セレクト』に収録されていることで戸惑いの声も上がっているようですが」
黒川氏「あー……うーん、非常に悩んだ部分なんです。でも、雑誌の付録はあくまでも付録で、それをプレイすることで本編にも興味を持ってもらえたらいいな、というスタンスで制作したものですから……。今後『フォーチュンクッキー』関連で、『セレクト』のようなソフトを他にも制作するつもりはありませんし。それならバラバラに売るよりも1本にまとめてしまった方が、付録を入手しそこねた人には嬉しいかな……そう、判断させていただきました」
DOL「他に、特徴などはありますか?」
黒川氏「あ、そうですね。理多さん(安原奈々子役)が唄った主題歌「しあわせのみつけかた」なんですが、Vossa ver.が登場しますよ。歌詞も新たに書き下ろされた、事実上「4番」ですね」
DOL「それ……また、サウンドモードだけでしか聴けないとか、そういうんじゃ……」
黒川氏「いやあの、すいません! 『セレクト』はまぁそんな感じなんですが、本作はあくまでも“ゲーム”ですので。音楽は音楽で、冬に向けて展開を仕込み中です。今後の情報をお楽しみに」


 
●有子、黒川を問い詰めるの巻
DOL「一般に「ファンディスク」と言った場合、壁紙集やミニゲームがメインで、追加シナリオは1本か2本、というのが規模としては多いですよね」
黒川氏「そうですね」
DOL「ボリューム的にも、『セレクト』はファンディスクの域を超えているのでしょうか?」
黒川氏「ショートシナリオとはいえ、新規6本+雑誌付録で発表済みの2本、と計8本を収録していますから……結構ボリュームあるんじゃないでしょうか。シナリオのワード数も、最終的にはものすごいことになりましたしねー」
DOL「どのくらいなんですか?」
黒川氏「ゴニョゴニョ……」
DOL「それ、本編の『フォーチュンクッキー』とあんまり変わらないじゃないですか!」
黒川氏「いやーもう、フタを開けてみたらこっちがビックリって感じでしたよ!」
有子さん「またか! また「動かしてみたらビックリ系」ですか!」
黒川氏「あはは、ははは!!」
有子さんあんたはまたやったんですか! 何の進展もないじゃないの!!
黒川氏「あはは、あ〜あ〜ははは、あーん!! ごめんなさい! ごめんなさい!!
有子さん大体ですね!!

※この後しばらく、掲載がはばかられる問い詰めが続いたため割愛

DOL「有子さんは怒りんぼキャラではありません、念のため」
有子さん「誰に説明してるんです?」(にこやかに)
DOL「(びくっ)いやあの、理多さんといい有子さんといい、普段はとってもおしとやかですのに……なぜか黒川さんと絡むと、怒りんぼキャラ化しますね。させられますね」
黒川氏「うぐっ……ひっく……ごめんなさい……ごめんなさい……」
DOL「結果的に『セレクト』がいい感じで仕上がった模様ですので、この話題はこの辺で」
黒川氏「はい、面目ない……」


 
●キャラの人気について
DOL「本編『フォーチュンクッキー』では、佳恵さん(母)が人気のようですが。お2人的には、どのキャラが人気になると思っていましたか?」
黒川氏「私としては、恋(妹)が一番人気かなって思っていたんですが」
有子さん「私は、企画書を読んだ瞬間に「佳恵さん来るな」って思いました(笑)」
DOL「それはどうしてですか?」
有子さん「お母さん中心で組み立てられているストーリーなのかな、と。だからこそ、ママで始まって、ママで終わる。そう感じたので、開き直って佳恵さんは年齢不詳な雰囲気で描かせてもらいました」
黒川氏「佳恵は、有子さんの絵によるところも大きかったんですが……シナリオのJ・さいろー氏によるブーストも効きましたね。企画書を読んださいろーさんが、ママへの愛を大噴射させたんですよ(笑)。まさか佳恵が甘えてくるとは! って感じでしたね。さいろーさんの意見で、佳恵はさらにパワーアップしたんです」


 
●隠れた人気キャラ? 安原奈々子
DOL「あのーそれで、主題歌「しあわせのみつけかた」も唄っている理多さんが演じた、奈々子さん(恋がバイトをしている「ぷちまろん」のオーナー。人妻)なんですがー」
黒川氏「いや! 今回ももちろん、奈々子にそういうシーンはありません!」(きっぱり)
DOL「そうですか」
黒川氏「あくまでも、“鷹弥家の話”を描いたのが『フォーチュンクッキー』であり、そして『セレクト』ですから」
DOL「必然性のないお色気要素は盛り込まない、とのことでしたね」
黒川氏「ええ。奈々子に対するユーザーの要望が高まっていることも把握していましたが、あえて今回も入れませんでした」
DOL「そうですか……」
有子さん「妙に残念そうですね。ああいうタイプのキャラが好みなんですか?」
DOL「ソンナコト、ナイデスヨ?」
黒川氏「まぁ企画書の段階では、色々あるにはあったんですが」
DOL「例えば?」
黒川氏「奈々子とその旦那がソコントコ真っ最中って感じでですね、真由奈(奈々子の娘)がそれを覗き見してるみたいな」
DOL「ちょっとちょっと!」
黒川氏「で、コトが済んだ後にドアがギーと開いて、冷めた顔の真由奈が「終わった?」とひと言」
(一同爆笑)
DOL「もったいない……」
黒川氏「他にも、奈々子と佳恵が妖しいバイトに紛れ込んでしまう話とか」
DOL「妖しいバイト?」
黒川氏「(裏声で)『私、こんなところ初めてよ奈々子さん!』『わ、私もよ佳恵さん!』みたいな?」
DOL「面白そうじゃないですか(笑)。ぜひ製品化してください」
黒川氏「いや、『フォーチュンクッキー』は『セレクト』で終わりですから」
DOL「他のタイトルに、ゲストキャラとして登場とか」
黒川氏「ああ、『smart人妻倶楽部』とかそういう感じですか。……え?」(言ってから「まさか」という顔)
DOL「聞きましたよ。書きます」
黒川氏「冗談ですよ! 企画書もないですよ、そんなタイトル!」
DOL「ええ、冗談ですよね。こちらもただ、書くだけですから」
黒川氏「インタビュー時の「冗談」はシャレにならないんですよ! ユーザー様から要望が来ちゃったりしたら、どうしてくれるんです!!」
DOL「いーえー、こちらはただ、書くだけですからー」
有子さん「またやっちゃったの?」
黒川氏「やっちゃったのかな……(泣)」


 
●最後に。
DOL「では最後に、読者に向けてひと言お願いします」
黒川氏「もしかして……いつものアレ、期待してます?」
DOL「無論であります」
黒川氏「いや、自分では結構引いちゃってるんですが……なんか、変に認知されちゃって、ボクがステージに出ると観客が一斉にアレのサインを出したりするし……」
DOL「分かりやすいのは重要なことですよ」
黒川氏「そこまでおっしゃるんでしたら……。シクで!!(=よろしくお願いします、の意味。黒川氏の口グセ)
DOL「では、有子さんも」
有子さん「長いものには巻かれろ」
DOL「いや座右の銘でなく」
有子さん「ショートシナリオ集、と言うには豪華なソフトに仕上がりました。私もがんばって描きましたので、みなさまどうぞよろしくお願いします」
DOL「ありがとうございました!」

 
 なお、『フォーチュンクッキーセレクト』の発売日である9月24日には、秋葉原の広瀬無線で記念イベントも開催される。同日に『Noel』を発売するフライングシャインとの合同という形で、声優やボーカリストも多数出演する豪華な内容だ。興味のある人は、ぜひ関連記事で情報をチェックしてほしい。

『フォーチュンクッキーセレクト』
■メーカー:smart
■対応機種:PC(対応OS:Windows98/Me/2000/XP)
■メディア:DVD-ROM
■ジャンル:AVG
■発売日:2004年9月24日(金)
■価格:5,040円(税込)
■内容:ショートシナリオ8本(書き下ろし6本+雑誌付録2本)、壁紙集、版権イラスト集
 
■参加シナリオライター(敬称略・50音順)
 秋 史恭
 久保 南
 J・さいろー
 たにみちnon
 林 ふみと
 芳右島ドリル
 
■壁紙参加絵師(敬称略・50音順)
 あずまゆき
 息吹ポン
 上杉涼
 オダワラハコネ
 桜沢いづみ
 剣康之
 松竜
 みけおう
 憂姫はぐれ
 
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