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2007年2月26日(月)

福岡をゲーム界のハリウッドに!「福岡ゲーム産業就職フェアin東京」レポート

 福岡コンテンツ産業拠点推進会議は、東京・秋葉原ダイビルにて、ゲーム業界など働いている転職希望者、2008年卒の専門学校生(ゲーム専攻等)、大学生などを対象にした就職企業説明会「福岡ゲーム産業就職フェアin東京」を実施した。

 福岡コンテンツ産業拠点推進会議とは、「福岡をコンテンツ産業の拠点にする」という目的のもとに、福岡県が、福岡市、北九州市、コンテンツ制作企業(ゲーム制作企業含む)等と協力して設立した推進組織。人材の育成・獲得やビジネス機会の拡大など、さまざまな事業を実施している。

 今回行われた「福岡ゲーム産業就職フェアin東京」の参加者は約400人。まず挨拶にたった福岡コンテンツ産業拠点推進会議会長の杉山知之氏は「デジタル・コンピュータ産業がものすごく発展していっていますが、最初はアメリカのものが強かったと思いますが、ゲームに関しては日本が世界のデファクトスタンダードをとっているといっても間違いではないでしょう。また、携帯電話で一番おもしろいことができるのは日本のもの。私は中国の人とよく会う機会があるんですが、中国には14億もの人がいます。これまでは欧米にゲーム産業を輸出してきましたが、これからはアジア、中国、インドにも目を向けなくては。地球の半分がここに住んでいますからね。自分の人生をかけてトライする価値があると思います」とエールを送った。

 続いて、レベルファイブを始めとした、九州・福岡を拠点とするゲームメーカーによって設立されたGFF(GAME FACTORY’S FRIENDSHIP)に加盟する企業(レベルファイブ、サイバーコネクトツー、ガンバリオン、システムソフト・アルファー、エレメンツ、アルファ・システム、ペガサスジャパン、SAMURAIホールディングス)の代表が壇上にあがり、自社についての紹介を行ったのち、レベルファイブ代表取締役社長の日野晃博氏、サイバーコネクトツー代表取締役社長の松山洋氏、ガンバリオン代表取締役の山倉千賀子氏によるゲームクリエイタートークセッションが行われた。

 まず最初に司会から投げかけられた質問は「なぜ東京・大阪ではなく福岡という場所を選んだのか」ということ。「交通の便がいい。食べ物もおいしい。都市の雰囲気がいいからストレスがあまりないし、モノを作るということに非常に向いた街だと思います。ハワイみたいにバカンス気分になりすぎてもいけないし(日野氏)」、「住みやすいし開発もしやすいしね。九州以外から来たほとんどの人が、来てよかった、って言います(山倉氏)」、「知らないだけなんですよ、みんな(松山氏)」と絶賛。「東京のパブリッシャーの人がたいした用もないのに福岡に来たがるんですよね」という日野氏の言葉に、松山氏、山倉氏も大きくうなずきながら「福岡のテレフォンショッピングみたいになってる」と会場を笑わせていた。

 また、GFFの設立の経緯については「ガンバリオンが佐世保から福岡に移転した際、松山さんから電話がありまして。うちはレベルファイブの日野さんと仲よくやってるんだけど、山倉さんも仲間に入らない?って(山倉氏)」、「松山さんからしてみれば、挨拶に来い、的な(日野氏)」、「違う違う! レベルファイブにも俺が挨拶に行ったからね!?(松山氏)」と漫才のようなトークも。「同じ業種だからってギスギスするのはいやだね、お互い成長できる関係でいようよ、と(山倉氏)」、「10年前くらいには実際あった話なんですが、クリエイターの引き抜き合戦とか(松山氏)」、「そういうことをやっていると、成長するどころか衰退してしまいますからね。お互いライバルではあるけど、協力しあっていこうと(日野氏)」とのこと。なお、GFFの前身は、会合の場となった喫茶店の名前から「ベルサイユ条約」と呼ばれているらしい。

 GFFの具体的な活動として、3人が強調したのは九州大学との結びつき。「人工知能やロボットなどについて共同研究をしていて、次世代のゲームに取り入れられないか、一緒に学ばせてもらっています(日野氏)」、「月に1度、GFFの9社や運営サイドなど、20数人で集まってミーティングをしてるんですよ。九州大学からも教授や学生さんに参加してもらって、いま研究していることについてのプレゼンをしてもらったり、逆にこちらから、いまこんなことをしています、とお話したり(松山氏)」、「こういう集まりはお酒飲んで終わり、っていう親睦団体になりがちですけど、ガチンコでやってます(山倉氏)」と、連携の強さをアピールしていた。
 また、GFFは2003年以降、年に1回のペースで何らかのイベントを開催している。本日2月26日~3月4日まで開催される「Game for Future 2007」では、ゲーム開発の行程を企画段階から完成まで、実際に使用された開発資料とあわせて紹介する展示コーナーや、実際にゲームをプレイできる体験コーナーが行われるほか、堀井雄二氏、小島秀夫氏、桜井雅博氏などの著名クリエイターを招いてのトークイベント「福岡ゲームクリエイターズ・サミット」などが行われる予定。松山氏は「ほかのイベントを断ってまでこちらのイベントに参加してくださった人もいて。うれしかったですね」と喜びをあらわしていた。

 普段から仲がよいという3人だけあり、トークの雰囲気は終始和やか。松山氏のツッコミも冴え渡り、会場は何度も笑いに包まれていた。トークの最後は「ゲームのハリウッドめざして、大マジメにやっていきます」という日野氏の力強い言葉で締めくくられた。

 このあと、食事を挟んでGFF加盟企業による企業説明会が行われ、多くの参加者が熱心に耳を傾ける姿がダイビル内の各会場で見られた。「福岡をコンテンツ産業の拠点に」という言葉を、現実味のあるものととらえている人は多くはないかもしれない。しかし、GFF加盟企業代表の熱のこもった言葉と、多くの参加者で埋め尽くされた会場を見れば、その言葉も近い将来実現するかもしれない、と感じさせるものがあった。今後のGFFの活動に注目しよう!

「都内や地方から福岡に転勤してきた人は、戻りたくなくなる」と福岡の魅力について語る杉山知之氏。



GFF加盟企業紹介では、それぞれの社風やこれまでてがけた作品などが紹介された。



GFFを設立した3社の代表が参加したトークセッションは、笑いの絶えることがない、明るい雰囲気のものだった。


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■関連サイト
福岡コンテンツ産業拠点推進会議
GFF公式サイト