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2007年2月22日(木)

【AOGC2007】『LotRオンライン』日米同時サービス展開の狙いとは

 ブロードバンド推進協議会が主催するオンラインゲームの国際カンファレンス「アジアオンラインゲームカンファレンス 2007 東京(AOGC 2007 Tokyo)」にて、さくらインターネット代表取締役社長の笹田亮氏による講演「『ロード・オブ・ザ・リング・オンライン アングマールの影』の世界同時期発売の狙い」が行われた。

 さくらインターネットは、現在PC用オンラインゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ オンライン ストームリーチ(以下、D&D ONLINE)』をサービス中の会社。本来はサーバの管理・保守を行なうデータセンターを中心とした、インターネットサービスを提供する会社だが、『D&D ONLINE』よりオンラインゲームの運営に参入し、『ロード・オブ・ザ・リング・オンライン アングマールの影(以下、LotRオンライン)』が運営第2弾タイトルとなる。

 今回の講演のテーマに選ばれた『LotRオンライン』は、ファンタジー小説の原点として親しまれ、2001年には映画化(日本での公開は2002年以降)された名作小説「指輪物語」をモチーフにした、ファンタジーMMORPG。今春に全世界同時で正式サービスの開始が予定されている。加えて、テクモとSeedCが共同展開している総合コミュニティサイト「LieVo(リーボ)」との提携が決定しており、PCだけでなくXbox 360やPS3といったコンシューマハードでの発売も予定されている。コンシューマハードで展開される『LotRオンライン』は、すべての機種のユーザーが同じサーバで遊べるようにするという。発売元はテクモになる予定。
 本講演では、『LotRオンライン』が欧米だけでなく日本でも時期をあわせて正式サービスが開始される意義を解説した。

 笹田氏はまずはじめに、北米で開発されたMMORPGが日本市場ではユーザー数の伸び悩みに陥り、近年に入ってから多くのタイトルのサービスが終了している現状を説明。これまで北米産MMORPGの日本でのユーザー獲得の失敗の原因は、「キャラクターデザインをはじめとしたユーザーのセンスの違い」、「月額課金が主流の北米と比べ、日本では基本プレイ料金無料のアイテム課金が主流」の2点が挙げられている。
 だが、笹田氏はオンラインゲームの楽しさの本質ともいえる「ユーザーコミュニティ」に注目したという。

 これまでの北米産MMORPGは、現地の正式サービス後、英語から日本語への翻訳を含むローカライズなどにより、日本でのサービス開始までにかなりのタイムラグが発生する。このタイムラグの期間があるため、本来コミュニティを引っ張っていくようなコアユーザーは北米版をプレイし、北米のサーバでコミュニティを形成してしまうという弊害が起こる。これにより、日本版のコミュニティが活性化せず、情報サイトの開設をはじめとしたプレイヤー間の交流も減ってしまう。
 この考察を踏まえ、『LotRオンライン』ではローカライズのスピードアップを図り、日米で同時期にサービスを開始するという。なお、正確な正式サービスは数週間の遅れは出るものの、クローズドベータテスト、もしくはオープンベータテストといった形で同時期にゲームをプレイできるようにするとのことだ。

さくらインターネット代表取締役社長の笹田氏が『LotRオンライン』を紹介。

『LotRオンライン』は、日米同時期サービスに向けて現在ローカライズ中。翻訳については、原作のイメージを壊さないように日本で「指輪物語」文庫版を出版している評論社が確認を行っているという。


データ

■「アジアオンラインゲームカンファレンス 2007 東京」
【開催日時】2007年2月22日・23日
【開催場所】ベルサール神田(東京都千代田区)
【主催】ブロードバンド推進協議会
【受講料】30,000円

▼『ロード・オブ・ザ・リング・オンライン アングマールの影』
■メーカー:さくらインターネット
■対応機種:PC
■ジャンル:RPG(オンライン専用)
■正式サービス開始日:2007年春
■プレイ料金:未定

■関連サイト
さくらインターネット
「アジアオンラインゲームカンファレンス 2007 東京」公式サイト
ブロードバンド推進協議会