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2007年12月7日(金)

『NOMOREHEROES』ディレクター・須田剛一氏に直撃!テーマは青春賛歌?

 12月6日にマーベラスエンターテイメントから発売された、Wii用ソフト『NO MORE HEROES』の開発スタッフにインタビューを行った。

 『NO MORE HEROES』は、Wiiリモコンを使用した直感的&爽快感抜群のアクション、独創性あふれるシナリオ、ハイセンスなビジュアル&サウンドなどで注目を集める注目のアクションアドベンチャーゲーム。開発は、PS2/GC『killer7』やDS『Contact(コンタクト)』などを開発したグラスホッパー・マニファクチュアが担当し、キャラクターデザインをTVアニメ「スピードグラファー」のコザキユースケ氏、メカデザインに「交響詩篇エウレカセブン」のコヤマシゲト氏などを起用している。


 今回、お話を聞いたのは、グラスホッパー・マニファクチュアの代表取締役で、本作のディレクションとシナリオを手掛けた須田剛一氏。ゲームの企画立ち上げの話から、開発秘話などについて語ってもらった。


――まずは、『NO MORE HEROES』を開発することになった経緯を教えてください。

須田剛一氏:『NO MORE HEROES』は、僕がマーベラスインタラクティブの和田プロデューサーに前身となる企画を持って行き、その場ですぐにGOサインが出たのがこの作品です。ゲームとしては今との違いがないくらいに、すでに組みあがっていきました。でも“シルヴィア”は、もうちょっとだけファットだったかな(笑)。

――ではゲームが完成した現在は、どういった気持ちですか?

須田氏:よい意味で複雑ですね。「もっと作り込めたのでは?」という気持ちがあったのも事実です。しかし、今はホッとしていますね。

――最初の段階から、Wiiで制作しようと考えていたのですか?

須田氏:最初は、ほかのハードを考えていたんですが、和田さんの方から「もうちょっとしたらわかるけど、レボリューション(Wiiの開発コード)がいいよ!」と言われたんです。その後、Wiiが発表されてWiiリモコンの存在を知って、Wiiに決めました。

――Wiiで開発するにあたり、苦労した点はどういったところですか?

須田氏:デバイスが違うということは、ゲームデザインが違うに等しいんですよね。Wiiは、ボタンの数が少ないので、気持ちとしてはスーパーファミコンくらいに戻って開発しようというのを思いました。しかし、アクションゲームをすべてリモコンで操作するのは難しいと思ったので、一部のみをリモコンで操作する形にしました。ボタンで攻撃を繰り出して、トドメの時だけリモコンを振ってキメるなど、操作感にメリハリをつけてプレイに飽きないようになったと思います。

――本作を試遊させていただきましたが、プロレス技を出す際の入力が的確に再現されていましたね。「ジャーマンスープレックス」なら、横に入力すると後ろを取って、その後に上に入力することで投げることができるなど。実際にプレイしてみて、感動しました!

須田氏:あれは気持ちいいんですよ!! ちなみに技は、(プロレスラーの)前田日明の「12種類のスープレックス」を割り振っています。ボス相手にプロレス技が成功すると体力を結構削れるので、ぜひ決めてください。

――他にこだわった点はありますか?

須田氏:アクションゲームだということにこだわりました。謎解きとかではなく、アクションを行うことで前に進んでいくというのを軸にしました。あとはシナリオですね。オリジナルのタイトルだと『killer7』の次ということなので、それと同じ方向にはしないで、まったく違う主人公、ストーリーにしようと考えました。主人公はバカで下品で、勢いで進んでいく。話も複雑なものではなく、シンプルに10位から1位まで倒していくという、ちょっと少年漫画くさい展開になっています(笑)。

――シナリオのテーマはどういったものでしょうか?

須田氏:「青春賛歌」ですね。……もしくは、「成り上がり」でもいいんですが(笑)。突っ走るしかないという、冴えないどん底の殺し屋がチャンスをキッカケにしてのし上がっていくという、それだけですね。深いメッセージではなく「行くしかない!」ですね。

――主人公“トラヴィス”のモデルとなった人物はいますか?

須田氏:“トラヴィス”は、MTV(音楽チャンネル)で放送された「ジャッカス」という番組にでてくるジョニー・ノックスヴィルをイメージしました。ヤツが「ビーム刀」を持って暴れたらどうなるのか、そして日本のアニメオタクだったらというのをイメージしました。ちなみにジョニーは日本のAVマニアで、「ぶっ●けもの」が大好きという(笑)。あと、日本のオタク文化に詳しい格闘家のジョシュ・バーネットの影響もありますね。彼は「蒼い眼のケンシロウ」の異名を持っていて、本国アメリカよりも、日本でその名を上げたという経歴を持っています。彼の成り上がり根性といいますか、生き様も“トラヴィス”に投影されています。

――ちなみに本作で須田さんのお気に入りのキャラクターは?

須田氏:やはり“トラヴィス”ですね。彼以外だと……誰かな。え~っと……やはり“トラヴィス”が中心なんで難しいですね。あえて言うなら、女子高生の日本刀使い“シノブ”は、いいキャラクターだと思います。

――逆に殺したいキャラクターは?

須田氏:それは現実にいたらってことですか? うーん、皆おっかなくて嫌ですね(一堂爆笑)。殺したくても、殺せないですね。同じ町にいてほしくないですよ(笑)。

――本作では町を自由に動けたり、いろいろな要素が含まれていますが、どういう意図から制作されたのですか?

須田氏:町は広いのですが、大きなスケールのミッションを入れたくなかったんです。“トラヴィス”のスケールというか、さびれた街でのできごとにしたかったので。それでもいろいろな要素を入れたかったので、服を買いに行ったり、ジムで身体を鍛えたりという、生活密着型というか、小回りの効く空間を作れるような要素を入れました。だから、殺しの前に「バイトミッション」があるんです。コツコツ働いて社会の一員であることを見せたかった、という意図があります。

――『NO MORE HEROES』を楽しみに待っている皆さんに向けて、伝えたいことがありましたら。

須田氏:本作は、プレイすると簡単で気持ちいいという要素と、横で見ていてもおもしろさがわかるという2つの魅力があると思います。画像からはわかりにくいかもしれないので、ぜひ動画を見てください。動画は公式サイトでもガンガン掲載しているので!

――次回は須田氏のゲーム制作について、お聞きしていきたいと思います。


『NO MORE HEROES』は、操作性とアクションゲームとしてのバランスにとことんこだわり、時間をかけて作り込んだと語る須田氏。

『NO MORE HEROES』

『NO MORE HEROES』

『NO MORE HEROES』

『NO MORE HEROES』

『NO MORE HEROES』

『NO MORE HEROES』


(C)Marvelous Entertainment Inc.

データ

▼『NO MORE HEROES』
■メーカー:マーベラスエンターテイメント
■対応機種:Wii
■ジャンル:A.ADV
■発売日:発売中(2007年12月6日)
■価格:7,140円(税込)

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■関連サイト
『NO MORE HEROES』公式サイト
グラスホッパー・マニファクチュア
マーベラスエンターテイメント