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2006年9月29日(金)

『FABLE2』、ピーター・モリニュー氏が「ダメならゲームデザインを辞める」発言!!

 2005年に発売され、欧米で数々の賞を受賞したマルチストーリー型RPG『FABLE』。プレイヤーの行動次第で、尊敬されるヒーローにも憎まれる悪党にもなれるなど、自由度が非常に高いRPGとして評価の高かった作品だ。その続編となる『FABLE2』について、前作に引き続きゲームデザインを担当しているピーター・モリニュー氏にインタビューしてみたところ、驚くべき構想を聞くことができた。

 まず、インタビューの冒頭にピーター・モリニュー氏は、「まだ制作段階でビジュアルイメージを数点お見せできるだけですが、今回は私が『2』を構成するいくつかの要素について語らせていただきます。これらはロールプレイ(=役割を演じる)ということに革新をもたらすことになるでしょう」と前置きをしたうえで、要素ごとに本作で目指している内容を語っていった。

■世界の変化:ゲームの世界に影響を与える“ダイナミック・リージョン”
「RPGでの世界観づくりで欠かせないのは、“フリーローミング”です。これは、構築された世界のなかでならどこへでも行けるということです。屋根の上であろうが、どこへでも移動可能ですし、場所の数も非常に多いものになります。
 ですが、それはもはや当たり前のことです。そこで我々は『2』で“ダイナミック・リージョン”という要素を導入しています。これはプレイヤーの行動がゲーム内の世界に大きな影響を与えることを可能にしています。例えば、もしプレイヤーが森のなかにあるキャンプを破壊したら、10年後には当然キャンプはなくなっています。逆に、キャンプの助けになるようなことをすれば、10~20年後には村や街にまで発展している可能性もあります。
 プレイヤーの行動の結果が、10年単位でどのように影響を与えていくのかを体験することができるのが“ダイナミック・リージョン”の醍醐味といえます。」

■所有する:家はもちろん、教会や城を自分の所有物にすることができる
「『2』では、プレイヤーは目に見えるものほとんどすべての物を、所有することが可能です。城や教会はもちろん、町すら所有することが可能ですし、町なら町長、教会なら司祭になるわけです。さらに、家を所有して人に貸せば、家賃を得ることもできますね。
 ただし、自分が所有しているエリアで戦いが発生した場合は、それを鎮める必要が出てきます。ゲーム内に用意された物をすべて所有するには、数百時間かかる予定です。」

■家族:交際、結婚、出産を経て家族をつくり、養う
「プレイヤーは、ゲームスタート時に主人公を男性か女性のどちらかから選ぶことになります。プレイを進めていくと『1』と同じように異性と交際することができますが、『2』では結婚することもできますし、主人公が女性なら子供を出産することもできます。主人公が容姿を、子供が受け継ぐことになります。ちなみに、避妊もできますよ(笑)。
 そうして家庭を作ったあとは、家に帰れば家族が「お帰りなさい」といって、暖かく出迎えてくれるわけです。たとえあなたが冒険中に人を殺したとしてもね。これは無条件の愛情だし、プレイヤーはそこに幸福感を見出せるはずです。注意が必要なのは、子供はプレイヤーの行動の影響を受けます。あなたが悪行を重ねていけば、子供も学校で他人をいじめたり、体に刺青をいれたりするようになります。
 また、家族を作るということは、家族を養うことでもあります。プレイヤーが貧乏なら家族は飢えてしまいます。ですが、そんな飢えている家族の前で、あえてご馳走を食べる、または娘にセクハラをするという行動も可能です。非常にひどい仕打ちだと思いますが、ロールプレイをする=どんな自分にもなれる、という意味では、これは不可欠なものだと考えています。」

■バトル:周囲にあるものを利用して戦う
「戦闘については、前作は失敗したと考えていますので大幅に改良する予定です。『2』の戦闘のコンセプトの1つは「制限された場所での戦い」ですね。
 例えば、刀を振ったときのリアクションは、プレイヤーが立っている地形によって同じボタンを押してもリアクションが異なるんですね。ジャッキー・チェンが映画で見せるファイトのように、その場にある道具や地形を最大限に活用して戦うことが重要になってくるわけです。」

■謎のフィーチャー:「バカげている」と思うようなコトを実現する
「最後に、『2』の目玉となるような要素を盛り込みたいと思っています。これはまだ明かせませんが、もし聞いたら全員が「バカげている」と思うものでしょう。スタッフとのミーティングでも、みんなから「やめた方がいい」と言われたぐらいですから(笑)。
 ですが、私はあえてこの要素に賭けると決めてスタッフを説得しました。このフィーチャーに関しては来年の3月に発表する予定ですの楽しみにしていてください。」


 以上が、ピーター・モリニュー氏が語った『2』の概要だ。これを聞いたときあまりの壮大さに驚くと同時に「完成するのか?」という不安もよぎった。しかも、これらのコンセプトを詰め込んだ『2』が評価されなかったら、ピーター・モリニュー氏は「ゲームデザイナーを辞める」とまで言っているのだ。
 もし、ピーター・モリニュー氏が言う「単純な善人と悪人が繰り広げる勧善懲悪を超えたロールプレイ」が実現するなら、究極の人生RPGが完成するだろう。来年の3月に発表するという“謎の要素”も含めて、今後のニュースが気になるところだ。

制作状況についてピーター・モリニュー氏は、「ゲームの1つの段階を作るのに52日間かかる」と言っていた。このことからも、かなりの労力をかけて、制作が進められていることがうかがえる。


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