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2006年6月7日(水)

任天堂経営方針説明会でWii『ポケモンバトルレボリューション(仮)』が発表に!!

 本日6月7日、任天堂の経営方針説明会が報道関係者やアナリスト向けに都内ホテルで行われた。

 説明会には、任天堂代表取締役社長の岩田聡氏、同社代表取締役専務 情報開発本部長の宮本茂氏ら同社役員が列席。岩田氏によるプレゼンでは、快進撃を続けるDSや、同社が開発を進めている次世代ゲーム機Wiiに関して、今後の展開が説明された。

 岩田氏はまず、日本のゲーム市場、海外のゲーム市場の推移を資料で説明。日本では2005年にゲーム離れの歯止めがかかり、DSが爆発的な普及を記録した2005年12月~2006年5月には携帯型ハード、対応ソフトの販売数が大きく伸びるなど、DSを中心に携帯型ゲームの市場が拡大していると話す。2005年末の年末年始商戦では、携帯型ゲームハードおよび、対応ソフトが据置型ゲーム機を上回り、ゲーム市場は据置型から携帯型にシフトが進んでいるとした。
 DSの発売前から「ゲーム人口の拡大」を提唱し続けてきた任天堂だが、そのために投入された『脳を鍛える大人のDSトレーニング』シリーズをはじめとする「Touch Generations」シリーズの果たした役割は大きいという。中でも『脳を鍛える大人のDSトレーニング』シリーズについて、岩田氏は「極めて異常な売れ方をしている」と表現しており、2005年末に爆発的な人気を博した本シリーズは、それ以来、コンスタンスに売れ続けているとのこと。「正直、ソフトを発売した任天堂でも今後の売れ方が予想できない。過去の常識が一切通用しない」というコメントどおり、予想以上の売れ行きに驚きを隠せない様子だ。
 ちなみに『おいでよ どうぶつの森』はすでに累計300万本を突破、5月25日に発売された『New スーパーマリオブラザーズ』は発売2週間で累計販売本数125万本を越え、現時点で流通からの受注本数は250万本以上を記録。これにより、ミリオンを達成したソフトは計10本を数え、岩田氏は対応ソフトの寿命が長いこともDS市場の特徴として挙げている。

 一方、海外のゲーム市場については日本よりもゆるやかだが、ハード、対応ソフトの販売数から北米、欧州ともにゲームソフト市場縮小の兆しが見えると分析。その中で、携帯型ゲーム機向けソフトの占有率が進んでおり、北米に関しても日本と同様に据置型から携帯型にシフトする傾向が見られるとのことだ。

●これからのDS
 上記のような現状を踏まえ、岩田氏はDSの展開について、まず第一に国内市場におけるDSの供給改善を挙げる。DS Lite発売からこれまでの3カ月間で200万台以上を出荷しているにもかかわらず、いまだ品不足を解消できておらず、海外でのDS Lite発売が開始された後も国内の供給量を減らさない方向で展開。早急にDSの供給バランスを整え、今夏には月産200万台以上の生産体制を確立するという。
 次に「海外市場におけるDSの強化」を推進。特に北米はGBAの需要が携帯ゲーム機市場の約半分を占めており、「Touch! Generations」シリーズの投入を加速しながら、欧米独自のテーマのタイトルを追加投入していきたいとした。
 日本国内でもDSを通じてゲームを始めた人のゲーム習慣を維持するため、「Touch! Generations」シリーズを継続的に投入。『DSお料理ナビ』や『日本常識力検定教会監修 今さら人には聞けない大人の常識力トレーニングDS』の発売が予定されている他、DS向けインターネットブラウザ「ニンテンドーDSブラウザー」やワンセグ放送受信カード「DS地上波デジタル放送受信カード(仮称)」といった新機能を持つ周辺機器を追加投入し、さらなるDSの普及を目指す。ちなみに、「ニンテンドーDSブラウザー」の発売時期は7月、「DS地上波デジタル放送受信カード(仮称)」の発売時期は今秋を予定しており、価格については、DS本体との価格バランスを考慮し、「1万円を超える値段はありえない。DS Liteの半額程度を目安にしている」とのことだ。

 また今後は、「Touch! Generations」シリーズだけでなく、難易度が高く歯ごたえがあるコアゲーマー層にも満足してもらえるようなゲームの存在も重要としており、『ファイナルファンタジー III』や『テイルズ オブ ザ テンペスト』など、サードパーティによる人気シリーズも続々と発売される予定。
 今秋には、人気シリーズの最新作『ポケットモンスター ダイヤモンド』、『ポケットモンスター パール』の発売が予定されているが、岩田氏によれば両ソフトはWi-Fiに対応しており、ボイスチャットを使用して対戦やポケモンの交換が可能になるという。岩田氏は、今秋までにDSの累計販売台数は1,000万台を突破していると予想しており、「DSでは従来のオンラインゲームにおけるインターネット接続プレイのハードルを1つずつ取り除いてきたが、Wi-Fiを普及させる本当の狙いは、安全で誰でも気軽にインターネットプレイが楽しめる環境が整ったうえで、『ポケモン』のようなタイトルを世界に送り出すことにあった」と明かす。

●据置型ゲーム機の今後。WiiとDSが連動する『ポケモンバトルレボリューション(仮)』も発表!
 続いて岩田氏は、現在開発を進めている新たな据置型ゲーム機「Wii」について話を展開。注目が集まる発売日や価格については今回明らかにされず、「今年の9月ごろまでには、話さないといけないと思っている」と発言するにとどまった。

 名称については、「常にゲームのことを考えている人はけっして多くない。ゲーム業界の人であれば、どんなに長い名前でも覚えてもらえるだろうが、いろいろな人が親しみやすく、覚えやすい名前を選んだ。また例えば、ゲームボーイアドバンスとGBAが同じ商品であるということを知らない人もいる。これ以上略せない名前にして、ユーザーを混乱させないということも考慮に入れた。あえてゲーム機らしくない名前を選び、ゲームに興味がない人でも拒絶しないようにしたかった」と説明する。

 市場において据置型から携帯型へのシフトが進む中、Wiiでは据置型や携帯型という区別がなく、日常の中のさまざまなテーマとつながり、生活の中にいかにゲームが入っていくかを重要視して開発したとのこと。加えて岩田氏は、コンセプトとして「Wiiは従来路線の延長にあるのではなく、いわゆる次世代ゲーム機とは一線を画している」、「技術の進歩を従来路線とは異なる方向に活用する」という2点を挙げ、米ロサンゼルスで開催した任天堂メディアブリーフィングでも紹介されたように、小さい、静かで消費電力が少ない、高速起動、すぐに中断できるといったWiiの特徴を改めて強調した。

 Wiiの対応タイトルについては、Wii本体の特徴を生かした分野で新しいジャンルのゲームを考えており、現在、具体的なテーマを挙げて投入するための準備をしている最中とのこと。新たなタイトルについては、「Wii発売前の発表会などで大々的に発表したい。本体の発売近く、もしくは同時期に複数の提案ができると思っています」と発言するにとどめた。
 また、岩田氏は、「豪華で大ボリュームのゲームがいいとされる中、あらゆる商品が大作化することに歯止めをかけることがもっとも重要。Wiiに搭載されている機能「バーチャルコンソール」の特徴を生かし、旧作だけでなく、コンパクトな新作も楽しんでもらいたい。Wiiではソフトのボリュームと価格のダイナミックレンジを広く取り、アイデア次第で新しい才能にもチャンスが与えられるようにしたい」と話す。会場では、新しいパッケージ形態でのスポーツゲームを提案した例として『Wii Sports』を挙げ、プロスポーツのライセンス、著名ゲームキャラクターは使用せず、誰でも直感的な操作で遊べるといった特徴を紹介。「パッケージングの工夫で、さまざまな問題が解決できると思う。Wiiでは、ソフトの市場価値を高める方法を実証していきたい」と提案する。

 加えて、5月の任天堂メディアブリーフィングで披露された『Wii Sports』のデモプレイでは、岩田氏や宮本氏をモデルとしたキャラクターが登場していたが、今回Wii本体に似顔絵キャラクターを作る機能が搭載されることも判明。この機能は、『Wii Sports』をはじめとするさまざまなゲームで活用できるようになるという。

 また、WiiとDSの連動についても触れ、WiiではDSのワイヤレスLAN機能を活用して、DS本体をWiiのタッチスクリーンコントローラとして使用したり、自宅にいながら「DSステーション」のようなサービスを利用したり、DS用ソフトをWiiで拡張したりといったことも可能だとのこと。
 ここで岩田氏は、「WiiでDS用ソフトを拡張する手段として、具体的な例をひとつお見せしたい」とし、Wii用ソフト『ポケモンバトルレボリューション(仮)』のデモムービーを公開。『ポケットモンスター ダイヤモンド』、『ポケットモンスター パール』のDSカードを差し込んだDS本体をコントローラとして使用して、各ソフトに収録されているポケモンのバトルが楽しめるというもの。3Dグラフィックで表現された全ポケモンを操作し、友だちやCPU、Wi-Fi接続を使用しての対戦が可能になっているという。
 『ポケモンバトルレボリューション(仮)』は、WiiとDSが連動して遊べる第1弾ソフトとして開発が進められており、発売時期は『ポケットモンスター ダイヤモンド』、『ポケットモンスター パール』のリリース後、2006年内が予定されているという。

 岩田氏によれば、今期におけるWiiの出荷台数は600万台を予定。「ゲーム人口の拡大」にこだわり、見事DSで実績を残した任天堂の取り組みに今後もおおいに期待したい。
任天堂経営方針説明会01
経営方針説明会では、岩田氏によってDSの展開、Wiiのコンセプトなどが語られた。
任天堂経営方針説明会02

任天堂経営方針説明会03

任天堂経営方針説明会04
冒頭では、日本におけるゲーム市場の現状、昨今の推移をさまざまなグラフや資料を用いて説明。岩田氏はゲーム人口減少の歯止めについて、「Touch Generations」シリーズの果たした役割は大きいと話す。
任天堂経営方針説明会05
『脳トレ』シリーズや『えいご漬け』がきっかけでDSを購入した人が、その後追加で購入したのは『おいでよ どうぶつの森』や『マリオカートDS』、『テトリスDS』、『Newスーパーマリオ』など。


任天堂経営方針説明会07
WiiとDSの連動要素第1弾として発表された『ポケモンバトルレボリューション(仮)』。公開されたデモムービーでは、3Dグラフィックで描かれたポケモンたちが必殺技を駆使して派手な対戦バトルを繰り広げる様子を確認することができた。
任天堂経営方針説明会07

任天堂経営方針説明会08
経営説明会の開始前には、Wiiの試遊会も実施。『Wii Sprts』のテニス、リモートコントローラのデモ作品としてE3にも出展された『REMOTE POINTER DEMO ~SHOOTING~』が体験可能となっていた。


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