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DAILY NEWS
2005年9月17日(土)

導入から3年。CEROが考える 「レーティング制度」の未来とは?

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NEWS 2005年9月17日(土)

導入から3年。CEROが考える
「レーティング制度」の未来とは?

 開催2日目を迎えた「東京ゲームショウ2005」で『「CERO年齢別レーティング制度」の未来を考える』と題したパネルディスカッションが行われた。(CERO:特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構-COMPUTER ENTERTAINMENT RATING ORGANIZATIONの略)

 今回のディスカッションではCESA副会長・調査広報委員会委員長である和田洋一氏(スクウェア・エニックス代表取締役社長)のコーディネイターを務めた。
 パネラーは、下記の4人。
・お茶の水女子大学 文教育学部教授、坂元章氏(CERO理事)
・慶應義塾大学 メディア・コミュニケーション研究所 研究員、渋谷明子氏
・浜松大学 健康プロデュース学部 講師、七海陽氏
・弁護士 武藤春光氏(CERO理事長)
 ステージでは、4人がそれぞれの立場から意見や考え方を述べた。
 詳細は下記。

■和田洋一氏(ステージ冒頭で)
 東京ゲームショウは今回で15回目。TVゲームが夜に出始め20年が経った。この20年でゲームは市民権を得て、エンターテインメントのジャンルとしても定着した。その中で社会的な影響力も持つようになった。その影響力に対して、今後どのように向き合っていくかを広い視野を持って議論していきたい。
 また一部で取りざたされている暴力表現などによる悪影響といわれているものに対して、独立したレーティング機関のCEROが、どのような役割を担っていくのかということもお話ししていきたい。

■武藤春光氏(CEROの役割について)
 CEROの定評するレーティングとは「割合」「分類」とことで「区分」するという事でもある。
 何をどのように区分するかというと、家庭用ゲームソフトについて有害であるか有害でないかということをまず判定する。
 では何が有害であるのか。東京都の青少年の健全な育成に関する条例では、「著しく性的感情を刺激する」「甚だしく残虐性を助長する」「著しく犯罪を誘発する」という定義になっている。しかしながら“著しく”“甚だしく”そういったことは当事者では判断が難しくなるため、どこが中立的な機関が必要ということで発足したのがCEROである。
 そして、有害だと判断されたソフトは流通不可ということでレーティング与えない。
 次に、有害ではなく流通が可能なソフトをレーティングによって、対象を全年齢(小学生)、12歳(中学生)、15歳(高校生)、18歳(大学生)に対応する4種類に分類していく。さらに恋愛、セクシャル、暴力、恐怖、飲酒・喫煙、ギャンブル、犯罪、麻薬、営業(その他)といったアイコンを付加することで、ユーザーに対するアドバイスとなるようにと考えられている。
 そういった情報をユーザーに提供し、自分に合ったゲームを選んでもらうようにしていく事がCEROの役割だと考えている。
 有害であるかないかという判断は、常識、一般的な社会通念であって、ある一定の基準はCERO理事たちが議論して判断する。しかし、個々のソフトについて実際に審査をするのは公募した20歳から60歳くらいまで間の男女を織り交ぜた一般市民である。
 できれば、より多くの人が審査員に応募していただき、審査してもらうのが望ましいと考えている。

■和田氏(武藤氏の話を受けて)
 CEROが行っている、もしくは行おうとしているはひとつのアプローチであって、他にもゲームが与える影響についての考え方があり、様々なアプローチがあると思う。
 その辺を他のパネラーの方々に聞いていきたい。

■坂本章氏
 TVゲームが与える影響があるということは認識している。だが、どんな方法がいいかということについては答えは出ていない。ここでは、悪影響があるといわれた場合の対処の方法について、私なりの考えを話していきたい。
 アプローチの方法として3つの考え方を提示したい。

 まず最初は法的規制。
 この考え方には幾つかのマイナス要因が伴う。
1)表現の自由の侵害
 これは、昔からよくいわれている。
2)技術の発展を停滞させる危険性
 ゲームソフトや映像作品には人を感動させる作品があり、クリエイターの自由な発想を規制することで、そういったものが世に出なくなってしまう恐れがある。またデジタル技術は福祉や医療などにも有効利用できる側面を持っているが、そういった動きまで阻害してしまう。
3)思考停止をもたらす
 法で規制することによって、判断をしなくなってしまう。そうなると使えないメディアと愚かな大衆だけが残されることになる。
 そういった理由から、法的な規制は最終的な手段と考えたい。

 2つめは自主規制。
 これについては、先の話の通りゲーム業界はCEROがレーティングというかたちでアプローチしている。

 3つめは、メディアリテラシー教育という考え方。
 この中にはいろいろなものが含まれるが、重要なこととしては「メディアの中のコンテンツやメッセージ(表現)は、誰かが何らかの意図で創ったものである」ということを理解していくという考え方。
 これはメディアの悪影響に対する対策としては有効だと考えられている。
 この考え方を学ぶことで、メディアからの表現の中で「何が描かれ、何が描かれていないのか」ということを考えられるようになる。
 その後で、それではなぜクリエイターたちがメディアの中でそういった表現をしたのかを考えるようになることで、表現方法やセンスの良さなどを感じるようになる。
 そうなることで「メディアへの没入から鑑賞へ」とメディアの見方が変わってくる。
 それが、メディアリテラシー教育の重要な部分である。
 
■和田氏(坂本氏の話を受けて)
 メディアのことを知ることで、メディアと共生する方法を学んでいくということになる。

■渋谷明子氏
 私個人もゲームをよく遊び、娘と一緒にゲームをすることを楽しんでいる。
 母親という観点から、子供を持つ母親を対象に、ゲームの暴力表現に対するアンケート調査を行った。
 母親たちは、家庭内でのゲームについて、まずは遊ぶ時間に対しての規制を行い、次に内容についての規制をする傾向がある。
 その際に、暴力表現に対して、親が批判的な意見を言うことでの指導では、あまり効果がない。
 暴力表現に対して、効果が見られたのは、親と子が一緒に暴力シーンを見て(共接触)、親がその表現を嫌がっていることを示すというもの。親が感じたその時の感覚を、きちんと伝え、それについて話すことが大切だ。
 ひとつの方法として、レーティングという考え方を広めることも重要である。
 またその他に、ゲーム内に倒せない敵などを登場させ、子供に考えさせていくことも大切なのかも知れない。
 また、親が一番心配しているゲームに没頭して子供が長時間ゲームをしてしまう事については、保護者が子供と一緒に考えることはもとより、ゲームメーカーも例えば一定時間を超えると時間を教える機能や、セーブのタイミングを多めにするなどといった対応を考えてみてはどうだろうか?
 そういったことを、家庭とゲームメーカーが意見交換をしあい、相互に協力しながら創っていければよいと思う。

■和田氏(渋谷氏の意見を受けて)
 ゲームを親と子で考えていく。そうした場合、渋谷さんのように親もリテラシーとしてゲームのことを知っていくことも大切なようだ。

■七海陽氏
 ファミコンの登場からパーソナルコンピュータ、webの発達、ケータイ電話など急速に普及した情報メディアは、現在に至って段階を踏まずに子供たちを直撃する。
 例えば車社会と比較してみると、車に乗るためにはまず年齢制限があり、その後に免許を取得し、やっと動かせるようになる。そうした段階を踏むことで、車社会には一定マナーも存在し、成熟していると言える。
 片や情報メディアは、年齢や免許といった規制はほとんどなく、未成熟のまま発展してしまった。さらに、マナーに至っては、大人たちの方が理解できていない場合が多い。
 生活の中に、まるで皮膚のように感じるまでになった情報メディアだが、産業、研究機関、家庭、教育現場などがバラバラに動いていて、きちんとした連携が取れていない。
 そうした事が連携を見せることで、初めて成熟へ向かう。
 急速な情報メディアの普及は、大人たちが推進してきた。そのため社会が変容してきた。
 それなのに、現在では大人と子供の間で逆転現象が起きている。
 生まれた時から身近の情報メディアに触れてきた子供たちは、親たちよりも扱いに長けている。そうした現象を見て、子供たちが変容したように感じるのは間違いである。
 親たちは、情報メディアを理解できないことで漠然と不安を感じストレスを感じている。子供たちは、親たちが理解を示してくれないことでストレスを感じてしまう。
 そうなってしまわないように、親たちも歩み寄り、日常の中でメディアや情報を共有していき、相互的な理解を深めていくことが必要だ。

■和田氏(ディスカッション全体を通して)
 まずは大人たちがしっかりとした価値観を持ち、しっかりとサポートしていく事が大切である。そのためにもインフラとしてのCEROを整備し、誰かのせいとかでなく、全体が責任をもって考えていく
 そのために、大人の社会がコンセンサスを持ち、立場を越えた取り組みをしていくことが重要になる。


■関連サイト
コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)

 
坂元章氏、渋谷明子氏、七海陽氏、武藤春光氏の4人によるパネルディスカッションが行われた。
コーディネイターを務めた和田洋一氏。