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2005年6月25日(土)

日本科学未来館「恋愛物語展」で『きみしね』ディレクター吉永氏のトークショー

 本日6月25日、お台場の日本科学未来館で開催されている特別企画展「恋愛物語展-どうして一人ではいられないの?」にて、セガのDS用ソフト『きみのためなら死ねる(以下、きみしね)』のディレクターである吉永匠氏のトークイベント「ゲームと恋愛:指先から芽生える愛情」が実施された。

 『きみしね』は、あこがれの彼女に振り向いてもらうため、少年がさまざまな試練に挑戦していくという設定のミニゲーム集。本日行われたトークイベントでは、吉永氏がスクリーンに映し出される『きみしね』のゲーム画面を利用しながら、今作のコンセプトや開発裏話を紹介していった。

 吉永氏によると、DSのタッチパネル機能を使ってどのようなことができるかと考えたときに、女の子に触るのが一番楽しいだろうという発想が浮かんだという。そこを出発点に、女の子との“恋愛”が自然にテーマとして上がり、“恋愛”をもっと日常的なものに、身近なものにしたいという思いで開発が進められた。『きみしね』では、ゲームの中で恋愛対象となるヒロインのデザインがシルエットで表現されているが、古くは“ミロのヴィーナス”から“モナ・リザ”、最近では“峰不二子”(モンキー・パンチ作「ルパン三世」のヒロイン)と、女性は謎が多いほど魅力的という考えからこの表現が採用されたとのことだ。
 続いて、『きみしね』という印象深いタイトルに関しての話題となった。開発時には、総数100以上ものタイトル案が出されたが、“きみのためなら死ねる”という一方的な感情を最初に打ち出すことにより、ゲームをプレイしていくうちに本当に大切なことは“一緒に生きていくこと”だと気づくような内容にしたいという理由から、『きみしね』が採用されたと語った。
 最後に吉永氏は、現在開発を進めているタイトルに関して「今は『きみしね』で確立した世界を広げていくようなタイトルを開発中です。僕はプレイすることで幸せになれるゲームを作りたいという気持ちでゲームを開発しています。そのためには開発スタッフがまず幸せにならないといけないんですけどね(笑)」とコメントした。

 また、トークイベント終了後には吉永氏へのインタビューが行われた。以下に、その様子をお伝えしていく。

――まず本日のトークイベントの感想は?
吉永氏:『きみしね』は発売からすでに半年以上経ったタイトルですが、改めて振り返ってみると自分の中でも新たな発見がありました。恋愛をテーマにした展覧会ということですが、僕は「愛とはためらわないこと」だと中学時代に“ギャバン”隊長に教わりました(特撮TV番組「宇宙刑事ギャバン」のテーマソングのフレーズ)。そういう意味で、直感的に操作できるDSのゲームとして恋愛ものが生まれたのかもしれません(笑)。

――カップルで「恋愛物語展」に展示されている『きみしね』をプレイしている人がいましたが、開発時に2人でプレイするという遊び方は想定しましたか?
吉永氏:初めは女の子に触るちょっとエロティックな出発点だったんですが、開発が進むうちにカップルでイチャイチャしながらという遊び方も意識しました。『きみしね』の開発スタッフは半分以上が女性なので、彼女たちのおかげでユニセックスなタイトルになりましたね。それにDSのインターフェイスは触るだけで遊べるという簡単な操作になっていますから、普段ゲームをしない人にもすすめられるという要素もあると思います。

――吉永さんの実体験から生まれたミニゲームのアイデアはありますか?
吉永氏:まったくありません(笑)。僕の実体験からのアイデアはマニアックなものが多いらしくて、具体的には彼女のムダ毛処理をしてあげるミニゲームとか……。一応言っておきますが、そんなにマニアックな体験ばかりしているわけじゃありませんよ(笑)。

――発売後のユーザーからの反応はどうでしたか?
吉永氏:基本的には20代以上の大人のユーザーが多いんですが、中には中学生からの反応もありました。そのぐらいの年頃って、恋愛でもまず自分の気持ちが大きいじゃないですか。でも「相手を思いやることが大事だと思いました」っていう感想をもらって、プレイした結果が現実に戻って来るのがうれしいですね。

――現在は『きみしね』の世界を広げるタイトルを開発中ということですが?
吉永氏:細かいことはまだ話せませんが、こういったプレイした後に何かが残る作品をこれからも作っていきたいですね。ポイントは人と人の心の交流です。

――本日はありがとうございました。

 『きみしね』の開発秘話や吉永氏の恋愛感、現在開発中のタイトルの話題まで飛び出した「恋愛物語展」のトークイベント。残念ながら吉永氏の出演は本日のみとなっているが、「恋愛物語展」にはゲームの中での“恋愛”や生物進化上の“恋愛”の変遷、“恋愛”から生まれるコミュニケーションの歴史など、興味深い展示品が多数出展されているので、足を運んでみてはいかがだろうか。



日本科学未来館の特別企画展「恋愛物語展」で実施された吉永氏のトークイベント。吉永氏は「会場の売店でも『きみしね』を販売中です。買わないと外に出られないようになっていますので、よろしくお願いします(笑)」とセールストークを展開していた。



100以上ものタイトル案の中から最終選考に残った「電撃恋愛」と「奇跡の恋人 恋愛タッチ」。

会場には『きみしね』のチーフプロデューサーである中裕司氏の姿も。

「恋愛物語展」では、『きみしね』の他にも恋愛をテーマにしたゲームタイトルを展示。カップルの来場者がプレイする姿が見られた。


データ

■「恋愛物語展-どうして一人ではいられないの?」開催概要
【開催期間】2005年4月23日~8月15日
【開催場所】日本科学未来館1階 催事ゾーン
【入場料】大人 900円(税込)/18歳以下 350円(税込)

■関連サイト
『きみのためなら死ねる』公式サイト
「日本科学未来館」公式サイト
セガ