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2003年9月5日(金)

【CEDEC】牧野幸文氏が語る、ゲーム開発におけるサウンドプロデュースの考え

 明治大学 リバティタワーで開催されている「CEDEC 2003」のセミナーの1つ、「ゲーム開発におけるサウンドデザイン」では、ウェーブマスターの牧野幸文氏と磯田重晴氏による講義が行われた。

 牧野氏はまず冒頭で、ゲームサウンド制作と、他メディアのサウンド制作との違いは、インタラクティブなシチュエーションを考える点と指摘し、それぞれのサウンドデザインの制作課程を説明。TV、映画などでは各パートごとに担当が異なり全体を把握しにくいが、ゲームサウンドではゲーム内容をはじめ、ユーザーがどのようにゲームを進めていくかを考慮して全体を見据えながら制作するため、スペックにとらわれないベストなサウンドを作れると語った。また、他業種でもゲームと映画などサウンド制作については「同じ仕事をしている」と話し、ゲームのサウンドプロデューサーは他の業界でも仕事ができると述べた。

 「サウンドプロデューサーの考え方」をテーマに話しを進めていた牧野氏は、「著作権や原盤権の管理が、インターネットなどの新メディアに対しては不明瞭であり、これらの交渉、権利処理、バジェット管理などはサウンドプロデューサーが担当すべき仕事」と指摘し、「すべてを把握するサウンドクリエイターがもっと増えてほしい」とまとめた。

 セッション後半からは磯田重晴氏にマイクが譲られ、ゲームサウンド制作の作業の流れを中心に話が展開。音量表現の範囲やリファレンスの重要性などが語られた。これまでサウンド関係のセミナーが行われていなかったこともあり、途中にはサウンド制作に携わる受講者たちに質問を投げかけ、関心をあおる場面も見られた。

 なお、最後に牧野氏は、“インタラクティブなサウンドの具体的な内容”について、セガサターンの『NiGHTS』を例にあげて「“NiGHTS”の能力が上昇していくとともに、サウンドが変化する」と解説。牧野氏は、このようにゲーム制作の全体を見据えたサウンドデザインを、何よりも重要視しているとのことだった。

ウェーブマスター代表取締役社長の牧野幸文氏。アーティストとのコラボレーションや声優、俳優の起用など、サウンドプロデュースの最近の傾向とあわせて、サウンド担当者がすべき仕事を説明した。

セミナー後半からは、磯田重晴氏により音の3軸やプログラム的なことなどの技術的な話が進められた。


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